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僕は中学生になった
晴れて僕は中学生だ。
自分でも信じたくないが、やっぱりクラスで1番チビだった。
しかし、神様はいた。
学年では、僕より小さい奴が一人だけいた。
何故か、妙に嬉しくて仕方がない僕に相変わらず「チビ」という声が聞こえてくる。
女子に「可愛い」って言われて嬉しいはずもない。
ふと、入学式の写真を見て思うことがあった。
おばあちゃんに見せたいなぁ~
でも、いまだに僕は会えずに、おばあちゃんからのきっかけを待っていた。
「いなくなればいい」と言ってしまった僕におばあちゃんは、今も怒っているのかもしれないと僕からの勇気はなかった。
みんな「おめでとう」って声が溢れたけど、やっぱりどこか寂しかったのかもしれない・・・
親戚の付き合いも、あの日から変わってしまった。
胸が痛い。
もう、駄菓子屋にあったインベーダーゲームがいつの間にか無くなっていた。
違うゲームが来るのかな・・・
ある日、僕が家に帰るとお母さんが
「コロがまた妊娠したかもしれない」と言った。
そういえば、オス犬がウロウロしてるのをよく見かけていた。
お父さんが塀を高くしたりしても難なく入り込めてしまうんだ。
僕は、コロに「おめでとう」って言ってやりたかったけど、きっとまた子犬たちは貰われていくのだろう・・と思っていた。
あの日、「今度、生まれたら欲しい」と何人かに言われていたことを思い出したからだ。
「また、赤ちゃんあげるの?」
「う~ん・・そうね」
僕よりもコロは、いったいどう思っているのだろう・・・
おばあちゃんと離れたことで、こんなにも辛いのに、コロは子供と離れることになる。
「おめでとう」って言葉が虚しく聞こえていた。
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