FF14で「顔が影になってる」黒魔道士になりたかった話
待ちに待った年末休み! まとまった時間をとれるので、ここぞとばかりにゲーム開発を進めたい……と思ったのですが、その前に。1日くらい、創作活動とまったく関係ないことをしたいと思い立ちました。なにか、制作とは違う脳の領域を使うような、楽しいこと……
そうだ。
FF14のキャラクタークリエイトをしよう。
説明するまでもないと思いますが、FF14とはすなわちファイナルファンタジーXIV。FFシリーズのナンバリングタイトル第14作目ですね。最大の特徴はMMORPGである点で、オンラインで知らない人と一緒に冒険することができます。
そしてMMORPGといえば昨今当たり前になっているのが、キャラクタークリエイト。自分の操作するキャラクターの見た目などを好みにカスタマイズして、お気に入りの主人公で物語を体験することができるのです。
さて、私には忘れられない人がいます。それは今から7年前のこと。FF14の拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』がリリースされた際のキービジュアル、右下あたりにいたこの人です。
黒魔道士!!
もともとFFシリーズに登場する黒魔道士が大好きでした。影の差した真っ黒い顔にほの明るく光る瞳がなんともミステリアスで、中学生のころからずっと心惹かれています。そして紅蓮のリベレーターのイラストにおける黒魔道士。装備のディティールがアップし、鋭い眼光にまさしく心を射抜かれました。こんな黒魔道士に、FF14でなれるの!?
なれません。
ちょっと調べて分かったのですが、どうやらこの顔面を覆い隠す出で立ちはキービジュアルにたまたま描かれただけで、この通りの見た目になれる装備はFF14には登場しないようです。ちょっと似てるのはあるんですけどね。でもダメなんだ。顔面が影顔になる黒魔道士になりたいんだ、俺は!
ならせめて、キャラクタークリエイトで近しい顔立ちになれないでしょうか。
顔の明度をなるべく下げて、目の光を明るくして。ついでに顔が鱗で覆われた種族にして、できる限り肌の露出度を抑えよう。これで黒魔道士に近い顔立ちが再現できるはず……! どうだ!
………………。
炭化したギャル男?
敗因としては、やはり肌ツヤでしょうか。黒魔道士風の顔を目指すには顔面を黒ベタで塗り潰したいのですが、FF14は高精細の画面です。どうしても黒い肌の上にもきめ細かいハイライトやシャドウが乗ってしまい、人間の面影を色濃く残してしまうようです。
では、顔つきの凹凸が少ない種族ならどうでしょうか。幼い子どものような顔立ちの種族をセレクトすることで、顔面の彫りを比較的浅めに。この種族で……目だけを明るくして……露出度を下げて、こうだッ!
おお……薄目で見れば、黒魔道士に見えなくもないかも?
でもやっぱり、拡大すると鼻の穴などのパーツが目立って黒魔道士には見えませんね。これも決定打ではありませんでした。
そうこうしている間にも、Xで検索するとFF14を遊ぶ光の戦士たちの楽しげなスクリーンショットが流れてきます。そのほとんどがキラキラな美少女やイケメンたち。ああ……そうだ。俺はこの世界には馴染めないのかもしれない。たとえ上手く黒魔道士になれたとて、FF14の世界で1人も友達ができないまま、孤独に挫折していくのかもしれない……。
キャラクタークリエイトが上手くいかず、Xで勝手に疎外感を味わい、傷心のまま一旦ログアウト。いつもの日課で通話を繋いだ友人に、ふと上手くいかないアバター作りについて愚痴をこぼしてしまいました。
「じゃあ黒魔道士作るのやめて、好きな俳優とかモデルにしたらいいんじゃない?」
俳優!? でも映画とか全然観ないし、知ってる俳優さんなんていないしな……
「たとえば……マッツ・ミケルセンとか」
マッツ?
知ってる!! 『デス・ストランディング』で黒い液体まみれになってたカッコいいおじさんだ!!
私の乏しい「顔の一致する人間」フォルダの中でも、奇跡的に「カッコいいよね、あの人!」というラベルが付けられたマッツ・ミケルセン(59)。そうだ、あの人を作ってみよう。たとえ人外にできなかったとしても、どこかしら愛着のもてるアバターにはできるかもしれない。もはやこれは黒魔道士を作るための戦いではない。俺が楽しくFF14を始めるための戦いだ!
というわけで、壮年っぽい種族を選択してマッツ・ミケルセン作りに挑みます。画像検索で実物の写真と見比べながら……慎重に……
…………!?!?!?!?
そういえば私には大きな弱点があり、「見たものを見た通りに再現する」のが致命的に苦手なのでした。唯一自信があった「この髪型なら絶対マッツ・ミケルセンじゃない!?」というパーツは、実は「FF14の世界で他のプレイヤーと結婚式を開いたときだけもらえる限定の髪型」であることが分かり、使えませんでした。
べらんめえ、もう見本は無しだ! 心の中のマッツ・ミケルセンを再現するしかねえ!
…………………
……………………………………!!!
……………………誰?
とりあえずマッツ・ミケルセンではなさそうです。しかし、どうでしょう。黒魔道士縛りをなくし、お手本の束縛からも離れ、自由に作ったおじさん。その眼差しは心なしか、今までで一番穏やかな表情をしている気がします。
そうだ、俺に必要だったのは、自分を縛る枷を解き放つことだったのかもしれない。大切なことは、自分を必要以上に縛り付けるルールを見直し、一度解放された自分でキャラクタークリエイトに向き合うことだったのかもしれませんね。今、この自由なおじさんとともに、私はようやくFF14の大地「エオルゼア」へと降り立つ……。
でもさあ。
やっぱり欲しいよ、黒魔道士装備!!
そういうわけで、年末年始特別企画「FF14のキャラクタークリエイトを遊び倒そう」はおしまいです。実際にこのキャラクターでゲームを遊んだかどうかは、またの機会に。最後に、マッツ・ミケルセンファンの方々、すみませんでした。