継続は力なりと言われるが、継続出来すぎてしまうのも辛い。
勉強も、仕事も、スポーツも、すぐに上手になるわけではないので、毎日少しづつ、コツコツと努力を重ねていくことが重要だと子供の頃から言われてきた。センスが良くなくても、コツを掴むのが遅くても、頭の回転が良くなくても、記憶力が優れていなくても、ある程度時間をかけて練習すれば、なんでも人並みのレベルではできるようになるのだと実感してきた。
私は特に、目標に必要な投入を、毎日の単位に小さく分け、それを数ヶ月〜1年単位で継続することに秀でていると自認している。
大学生の時に英語を勉強して留学しようと決めた後は、その後1年半にわたって、留学に至るまで毎日4時間のリスニングと、2時間のリーディングを続けることができた。仕事を始めてからは、始めの2年間、毎週の仕事の目標の作成と振り返り、毎日のタスクの作成と振り返りを上司と毎日行い、最低限必要な社会人としての能力を身につけることができた。1年前から続けているランニングも、急な予定が入らない限り2日に1度は行っている。半年前から始めたプログラミングの勉強も、時間の多少はあれ毎日何かしらのコードを書いている。3ヶ月前から始めたyoutubeも、毎日の投稿を続けている。
これら全てを、そこまで「頑張ろう」と気合いを入れなくても、自然と継続できてしまうのである。続けることが大変だと思ったことはあまりない。誰かに誰に見られていなくてもできる。勝手にサボったりせずに、淡々と日々を刻めるのである。
おそらく少数派だと思われるが、こういった「続けられる人」が世の中には一定数いる。こういった人たちは、おそらく、物事を処理できる小さな単位に分けて、生活の中にルーティンとして組み込むことが上手かつ、好きなのだと思う。頭の中にスタンプカードのような機能があり、継続すればするほどポイントが貯まり、気分が良く、逆に一度辞めてしまうとカウンターがゼロに戻ってしまうために、生活の中で自然とルーティン活動の優先順位が上がってしまうのだ。
こういった人は、「努力できる才能」や「続けられる能力」がある人だとそれなりに褒められることになる。私も、これまでそれなりに褒められてきた。
しかし、続けられる能力には、ネガティブな側面もある。手放しで喜んでいいものではない。
最も大きなデメリットは、途中でやめるタイミングを逃すことだ。自分が好きなことや、続けていることである程度の成果が出そうなものであれば、続けることには意味があるだろう。でも、「続けられる人」そんなに好きじゃないことでも続けられてしまう。しかもスタンプカードが貯まってしまっているため、なかなかやめるきっかけをつかめない。続けていること自体に満足感が伴うため、新しいことを始めるよりも、今やっていることを続ける方が、毎日の快適度が高いのだ。やめるハードルが高くなる。
次の負の側面が、やりたいことができない、ということだ。続けられるということは、やることの新陳代謝が遅いということでもある。2日に1度のランニングを続けている間は、トレイルランニングはできない。プログラミング言語を学んでいる間は、中国語やピアノを学ぶ時間はない。日々のルーティーンで毎日が埋まりがちであり、余白が少ない。やりたいことがあっても、整理券を渡して1年半や2年くらい待たせないといけないこともある。先に始めたものが終わらないからである。
最後の副作用が、効率が高まりにくいことである。続けられる人は、続けることが好きでそれが行動理由の大きな位置を占めているため、活動が止まらない。物事の上達には、時には立ち止まって、振り返って、目標や内容の改善を行うことが必要なのに、続けられる人は、続けることを優先してしまうため、効率を高める機会を逃す他、次第に手段が目的化しやすいのである。ルーティーンの中に自分が埋没してしまうのである。マラソンを完走するためには、ランニングだけではなく、筋トレや、水泳、短距離走なども練習として取り入れることが効果があると言われているが、2日に1度のランニングがルーティンになってしまっては、その他の練習を入れる時間を取りにくいほか、ランニングするのが好きになってしまって、他の練習に手を出さなくなってしまう。
30年ほど生きてきて、学校の勉強や大抵の仕事などは「続ける」才能でなんとか対応することができたと感じる。しかし、大きなプロジェクトに取り組んだり、新しい技術を勉強したり、クリエイティブな活動を行う時などは、ただ黙々と続けているだけではうまく上達しないということもわかってきた。
辞め時を計画に入れたり、改善するための余白をスケジュールに組み込んだり、チームで動きチームのペースに身を任せてみるなど、工夫はするもののなかなかこれが難しい。継続することが得意なため、すぐに継続しようとしてしまう。ポイントを失いたくないのだ。
noteは絶対に不定期更新にしよう。毎週更新とか絶対しない。ルーティーンには入れない決意とともに、この記事を公開する。