【LIFULL×長野県中野市】地域おこし協力隊採用サポート 〜移住後の定着・育成を見据えた採用戦略が勝因に〜
地域づくりを担う定住者の確保は、多くの地方自治体にとって大きな課題の一つと言えるでしょう。採用の課題は、いかにミスマッチなく優秀な人材を採用できるかにとどまらず、移住後もどのように地域に定住し活躍してもらうかという課題も潜んでいます。
このような課題を抱える自治体向けに、LIFULL(ライフル)地方創生では「空き家活用」を軸とした移住者の採用サポートを行なっています。
今回ご紹介するのは、長野県中野市でのサポート事例について。長野県中野市では、地域の課題である「空き家問題」に取り組む移住者を募集するも採用ノウハウがなく、採用活動への不安があったといいます。そこで、LIFULLによる採用サポートを受け、二人三脚で採用活動を開始。募集から3ヶ月後には無事求めていた人材の採用に至ります。
採用成功の裏側で、どのような課題が存在し、いかなる採用サポートが行われていたのか——。長野県中野市の職員である大原弦太さんと実際に採用サポートを行ったLIFULL地方創生推進部の宇野美左希さんに採用に至るまでの道のりをお伺いしました。
採用した人材を「育てる」から始める唯一無二の採用サポート
—今回、採用サポートを受けるに至ったきっかけや経緯を教えてください。
大原:当時、中野市としても空き家問題についてはまだ取り組みが浅く、知見がない中、私自身も空き家担当になったばかりで正直右も左もわからない状態でした。とにかく動かないことには始まらないと思い、空き家問題に取り組むLIFULLさんにこちらからメールをしてみました。そこで、移住者を空き家相談員として採用し、空き家問題のスペシャリストに育て上げるプランを提案いただいたのがきっかけです。
—採用にあたっては、特にどのような点に課題を感じられていたのでしょうか?
大原:今回、「地域おこし協力隊」として募集を行ったのですが、やはり任期満了後に定住してもらうためのゴールをどのように作るのかが大きな課題でした。地域おこし協力隊の場合、うまくマッチングできず、定住までに至らないケースもあります。そのため自治体としての受け入れ体制を事前にしっかりと考えておく必要がありました。その点、今回LIFULLさんの採用支援は、地域おこし協力隊として来てもらった人材に対して「育てる」というところから始めてもらえる点に大きな魅力を感じました。来てもらうのがゴールではなく、採用後にも例えば「地方創生スクール」で空き家の知識を学べるなどの知識面のサポートがあったり、任期満了後に向けた自立支援も行っていただけたりするのは非常に心強く感じましたね。
宇野:弊社も単に採用のお手伝いをするだけでなく、その後の育成や出口戦略を考えた上で採用のお手伝いをさせていただきますというところをお伝えしました。そこがほかにない弊社の強みでもあるので、大原さんにはその点を強くプレゼンさせてもらったかなと思います(笑)。
大原:そうですね。LIFULLさんから育成プランをしっかりご提示いただけたので、中野市としてどのように定着してもらいたいかというイメージを持ったうえで、採用活動に臨むことができました。
採用サポートの中身とは?実際にサポートを受けてみて感じたメリット
—今回行われた採用サポートの流れを教えてください。
宇野:まずは大原さんと募集要項を作成したのち、弊社の方で求人媒体に掲載し、スカウトメッセージを送ってさまざまな方にリーチを行っていきました。オンラインイベントも開催したのですが、ただ単に「地域おこし協力隊を募集します」という内容ではなかなか人が集まりません。なので、「空き家の知識ゼロからでもカフェを作りませんか?」というテーマで、実際に中野市で空き家をDIYしてカフェを運営されている方に登壇していただき、「空き家に興味がある」「カフェ作りに興味がある」という方々を呼び込みました。その中で「実は地域おこし協力隊として空き家のことを学びながら、カフェ運営もできるんだよ」という形で周知を行っていった感じです。その後、オンラインイベントとスカウトメッセージの中から応募のあった方々を、「事前面談」という形で大原さんにも面談に入っていただき、中野市さんの方で「1次面接」「最終面接」をオンラインでやっていただくという流れでした。弊社では面接以外のところは全部やらせていただいたという感じでしょうか。
—大原さんは当初、空き家に関する知識がなく採用活動にあたっても孤軍奮闘されていた経験もあったとのことですが、実際にLIFULLの採用サポートを受けてみていかがでしたか?
大原さん:以前、所属していた部署で地域おこし協力隊の採用事務をしたときは、広告を打って、ゴールを決めて、面接をやって——という一連の業務を全部一人でやらねばならず、とても大変でした。それを今回はLIFULLさんにほぼ全部やってもらえて、本当に楽をさせていただきましたね(笑)。自分だけで採用活動を行っていたときにはほとんど集まらなかった応募者も、LIFULLさんが色んな方にお声がけいただいたことで、応募者の数も増やすことができました。あとは精神面でもかなり心強かったです。採用業務は、その人の人生を大きく変えるきっかけにもなるので、一人でやっていくには業務として重く、心細い部分がありました。しかも採用のノウハウもなく、初めて経験することばかり。その点、ノウハウを持った第三者に入ってもらえたのは、非常に心強かったなと思います。採用後のプランニングもご一緒できたのもかなり大きかったです。
—逆に宇野さんの方で、採用サポートを行う上で特に意識された点などを教えてください。
宇野:広告を打って露出を増やし、応募者の数を増やすことはもちろん大切なのですが、実際にこだわったのは人材の「質」です。ただ求人目的で来られるのではなく、地域おこし協力隊の任期を終えた4年目以降のビジョンをしっかり持っている方や、こういうことをして中野市に定住したいという考えを持っている方を意識してお手伝いさせいただきました。やはり地域と応募者とのミスマッチを防ぐためにも、4年目以降に中野市で何をやりたいのかを意識して活動できる方をつないでいきたいという思いがありました。あとは、採用をお手伝いさせていただくには、どういう自治体さんなのかをきちんと知る必要があると思います。今回の場合は、中野市さんに何度か足を運ばせていただき、一緒に働いていただく方や職場の雰囲気、地域の魅力などを拾い上げていくということはやらせていただきました。
大原:宇野さんとは頻繁にやりとりさせていただくことが多くて、例えば中野市の伝統野菜「ぼたんこしょう」をお土産でお渡ししたら、後日「実際に調理しました!」と連絡をいただいたり……。そんなたわいのないやりとりも含めて、よくお話しをさせていただきました。話していく中で「こういう風にしたいよね」というアイデアが出てきて、そのあたりをうまく汲み取っていただけたと思います。
人材の満足度は? 着任後の具体的な活動内容
—今回採用された村井照太さんはこちらのインタビュー記事でもご紹介させていただきました。着任早々から積極的に動かれていて、すでにご活躍のようですね。
大原:そうですね。2021年7月に中野市の地域おこし協力隊に着任してから半年も経たないうちに、ご自身が住まれている空き家をDIYして「空き家相談所」を開設しました。現在、そこを活動ベースにしてさまざまな空き家相談を受け付けています。村井さんは、すごく勉強熱心で、かつ自分から積極的に動かれる方なので、移住して間もないと思えないほど地域に溶け込んで、トントン拍子で色んなことをやってくれてすごく助かっています。
—ものすごいスピード感ですね!
大原:そうなんです。「空き家相談所」の開設は、空き家のオーナーさんの許可を得て、1階を空き家相談所に、2階を居住スペースにという形でDIYを始めたのが、着任から3ヶ月後くらいでしたね。建築コースのある地元の高校もうまく巻き込んで、授業の一貫として高校生たちと一緒にDIYに取り組み、メディアにも取り上げていただきました。
この4月からは契約形態も職員扱いではなく委託型という形で、空き家相談所を拠点に活動を行っていただいています。今後は、空き家相談所をベースにワークショップを行ったり、SNSで中野市内のDIY好きを集めてグループ活動を行ったり、さまざまな空き家活用に取り組んでいく予定です。
—ちなみに4月から契約形態を委託型に変更した大きな要因はなんだったのでしょうか?
大原:まず前提として、地域おこし協力隊の任期を終え、地域に定住していくためには、将来の仕事——つまり収入源について考えていかなければなりません。今後、村井さんには柱となる仕事を見つけてもらうためには、委託型の方が副業も始めやすく、動きやすいよねと着任の段階から村井さんと話をしていました。さらに市の職員扱いの場合、実際にお金を使って何かをやりたいと思ったときに行政の手続きを踏まなければならず、時間がかかってしまいます。モノを一つ買うにしても最低1週間ほど手続きに時間がかかるので、動きをよくするために委託型という選択肢を当初から検討していたんです。ただ中野市では前例のないことだったので、色んな自治体の担当者に手法をお聞きして、4月から委託型という新しい契約形態を作ることができました。
—お話をお伺いしていても、村井さんとは良い関係を築きながら、同じ方向を向いて取り組みをされている印象です。ちなみにお答えしにくいかもしれませんが、大原さんにとって今回の採用に対する満足度を教えてください!
大原:100点満点な方を見つけてもらえたなと思っています(笑)。「こんな人、本当に来てもらえるのかな……」というのが、実のところあったのですが、まさに理想通りの方に来ていただけました。実際に着任してからも、自分とは違った方向から物事を考えてもらえるので、イメージしたよりも多角的な視野を持った方に来てもらえたなという印象です。
宇野:ありがとうございます!!
—ちなみに宇野さんにとって、今回の採用の勝因はどんな点だった思われますか?
宇野:やはり応募者の方々に対して、しっかりインプットを行ったことが大きかったと思います。「地域おこし協力隊とはこういうものだよ」「中野市はこういうことを知ってもらいたいんだよ」という点を応募者の方々にお伝えして、すり合わせを行った上で、それを踏まえてもチャレンジしたいという方に応募をいただき、結果として良い人材に辿り着くことができたように思います。
自治体さんによっては、とりあえず地域おこし協力隊を採用したら何かやってくれるだろう……みたいな期待感をお持ちかもしれません。実際に何かやってくれる方もたくさんいらっしゃるとは思うのですが、着任後の道筋がないと何をしていいのかわからないまま、結局3年間が終わってしまう可能性もあります。ある程度の道筋——「この3年間は何をする」というレールをひいてあげて、それに沿って——村井さんの場合であれば、プラスご自身でやりたいことを積極的に提案いただいて、結果的にいい形に至っているのかなと思います。
地域人材の確保を検討する自治体へのメッセージ
—最後に大原さんから、定住を見据えた地域人材の採用に取り組む自治体に向けて、メッセージをお願いします。
大原:現在、各自治体の職員の皆さんは、人手が多いとは言えない中、仕事量はおそらく昔に比べてかなり増えていると思います。さらに、日本全体で「人口減少」という問題に直面し、以前に比べアクティブに動くことが求められています。地域おこし協力隊を呼んで地域を活性化させようという取り組みもアクティブな取り組みの一つです。アクティブな取り組みは、そもそも初めてのことが多く、すべて一から始めるというのは腰が重いですし、心配事もかなり多いですよね。
なので、アウトソーシングじゃないですけど、頼れるところは外部サービスに頼るのがいいんじゃないかなと個人的には思います。今回の地域おこし協力隊に関しては、国から募集に関する経費が出るようになって、予算的にも頼りやすい部分もあるので、「やらなきゃいけないけど大変そうだな——」というところで募集を諦めるなら、ちゃんと頼れるところに頼って募集した方がいいかなと今回の経験から感じましたね。
—確かに外部サービスに頼ることで、時間と手間を省き、職員の方もご自身の業務に集中できますよね。さらにノウハウを持つ第三者に任せられるので、効率的な採用活動を叶えられるというメリットもあります。空き家活用人材の採用にお困りの自治体の方々にはぜひ広く知っていただきたいですね。大原さん、宇野さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
(終わり) インタビュー時期:2022年5月
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LIFULL 地方創生では、持続可能な地域社会の実現を目指し、空き家課題・移住促進・人材育成・子育て世代の就労支援などに取り組んでおります。
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モチベーションやスキルを高め、満足度の高いマッチングを実現します。
現在、地域おこし協力隊の採用にも注力し、採用全般のサポートも行っております。
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