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過去を成仏させるために書くわたしのためのエッセイ
半年ぶりに母から連絡が来た。
半年前にわたし宛に来たのは「クズ!」「父親がクズだから娘もクズだよな」「人の優しさを踏みにじる奴は地獄に落ちる!」という内容のLINEだった。
この類のLINEを見ると、手が震え動悸が止まらなくなるので、冷静に返事をした上で、即ブロックをした。
こういうことは初めてではなく、これまでに幾度も幾度もあった。もっと辛辣な罵倒もされてきた。
さて、半年ぶりに来た内容はというと、ポンポンポーンと何通かに分かれたLINEで、そこにはよく分からない数字が並べられており、その数字には全て彼女にとって都合のいい解釈となった意味を持たせた説明があったのだけれど、わたしには理解不能な内容だった。
それに加えて、私の妊娠についても触れていた。
現在妊娠4ヶ月。
先月の母の日に手紙を書き、第二子を授かった旨を伝えた。
腹を据えてLINEのブロックを解除したものの、彼女から連絡が来ることはなかった。
それから1ヶ月余りが過ぎて、唐突に来た連絡がこれだった。
年休が5日間使えるから生まれたタイミングで休みを使って会いに行く、むすこ(長男)と遊ぶのが楽しみだわ~と張り切った様子を見せた。
勝手な人だ。
わたしの親は、勝手だ。
母は日本人ではない。彼女と離婚したわたしの父はハーフで、二人の共通の国で出会い交際3ヶ月でこどもを授かり結婚。
そのこどもがわたし。
わたしが2歳になる頃に家族総出で来日。
父は根っからの遊び人で、わたしが生まれた後も女遊びが絶えなかったらしい。(母から聞いた話なのでどこまでが事実かは定かではない。)
外面が大変によく普段は陽気で穏やかそうな雰囲気を出しているが、ひとたびキレると包丁を振り回すような男だった。
彼が切り刻んだチェストの傷の上には銀色のアルミテープが貼られ修繕されたつもりになっていた。それを指で撫でるとアルミテープの上から木片のトゲが感じられ、今でもその感触をよく覚えている。
そのチェストは中学3年まで家の中に鎮座していた。
そんな二人は、わたしの高校受験の合格発表の日に離婚をした。
最高なことと最悪なことが同時にやって来た、まさにジェットコースターのような1日だった。
いや、最悪ではなかったのかもしれない。
なぜその日を選んだ、という彼らの身勝手さは最悪だったけれど、離婚自体は実は心の奥底でずっと願っていたことだったから、最悪とは言えないかもしれない。
自分の親のこんなあれやこれやを人に打ち明けたことは今までなかった。
13年一緒にいる夫にすら、打ち明けたのはむすこ(長男)が産まれるかどうかの頃だった。
それをなぜ今、こうしてわざわざアウトプットしているのか。
お腹の中に命を宿し、未来について思いを馳せる時、わたしにはどうしても過去がくっついて来てしまう。
その過去を、そろそろ清算したいと思ったからだ。
これまで自分の中にだけ閉じ込めていた過去を、想いを、自分の中から外へ連れ出したいと思った。
もうわたしの中に留まっていてほしくない。
わたしには、2人のこどもの未来がある。
わたし自身は何度もこう思って生きて来た、「生まれて来るところからやり直したい」と。
それを、わたしは自分のこどもには絶対に言わせたくない。
そのために、隠したかった、消したかった、思い出したくなかった過去に向き合い、そして成仏させたい。
ひとつ書くごとにお炊き上げしていこうと思う。
そんなわたしの「わたしのためのエッセイ」です。