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「デジタル×発酵」とは何か?を考える読書の旅
2022年に書いた日記より
はじめに
「デジタル×発酵」という組み合わせが気になってから調べてみるとドミニク・チェンさんという人物に辿りつきました。
ドミニク・チェン
情報学研究者
関心ジャンル:科学教育国際IT・テック
1981年生まれ。博士(学際情報学)。早稲田大学文学学術院教授。テクノロジーと人間、そして自然存在の関係性を研究している。2020年10月から2021年6月まで、21_21 DESIGN SIGHT『トランスレーションズ展―「わかりあえなさ」をわかりあおう』展示ディレクターを務めた。 近著に『コモンズとしての日本近代文学』(イースト・プレス)、主著として『未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために』(新潮社)がある。監訳書に『ウェルビーイングの設計論―人がよりよく生きるための情報技術』(BNN新社)など。
ひとまず彼に絞ってインプットを開始してみたのでした。
「情報環世界」なる本が面白い!
ドミニク・チェンさんはこの書籍の中では著者の1人といった位置づけだが、情報と環世界という組み合わせが実に興味深い♪ㅤ
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ドミニク・チェンさんと小倉ヒラクさんの対談記事が面白い
ドミニク・チェンさんと小倉ヒラクさんの対談が面白い。特にヒラクさんが話された以下が興味深かった。
これはワイヤードのドミニクさん特集(2017年頃のもの)の一環なので引き続き読み進めたい。
特に印象に残ったのはこちら。
日本の創世記の神話ですが、神のイメージに、すごく面白いメタファーが出てきます。古事記によると、日本をつくった神には2種類あります。天から降りてくる神と、「葦かびの萌えいずる」という比喩で描かれる、水面(みなも)から葦とかカビがモヤモヤと立ち上ってくるように生まれた神の2つで、「天の神=天つ神」と「土地の神=国つ神」として分類されています。
で、古事記の世界では天つ神と国つ神がすごく複雑に入り乱れて、わけのわからないことになっているんですね。ぼくはカビの研究家だから「葦かびの萌えいずる神」が超気になる(笑)
カビの生態系を考えてみるとですね、取り付いた土や動物、植物なんかから栄養を吸い取って、花のように胞子のヒモをピョーンて伸ばして、そのヒモの先っぽからパコーン!って胞子を飛ばします。胞子をあたりに撒き散らして、その撒き散らされた胞子からまた根っこが出てきて栄養を吸い上げ、また胞子を撒き散らす…ということを繰り返す。古事記の国つ神、土着の神の生まれ方ってカビみたいなんですよ。
明確な意志をもって自分のクローン=子孫をつくるのではなくて、いろんな方向にランダムに生命を撒き散らしていく。撒き散らされた生命から、またカオスが生まれていく…ということを延々やっているのが、カビの一生。
それと似たような感じで、国つ神も自分の子孫をわけのわからない感じで撒き散らしていく。一方、天に住む天つ神はもうちょっと理性的です。どうやって日本の土地を治めるかっていうことに心を砕いていて、たまに国つ神たちに怒るわけですよね。「お前らもうちょっとちゃんとせぇよ!」と。
この対立構造は、ぼくのなかでは日本の創世記における中国と日本の「ルーツの対峙」だと思っています。日本が中国文明と最初に接したのは、おそらく周以降の時代。非常に理知的な統治がなされていた時代です。ルールをつくって法律をつくって、神ではなく人が治めるモダンな文明だったわけです。それに対して、日本はものすごくシャーマニックな文化。資料がないのであくまで想像ですが、おそらく大陸から渡ってきた人々は、人治の仕組みを日本にもち込もうとしたのだけれど、日本の人たちはシャーマニズムの民族だから、全然話を聞かない。素っ裸で踊り狂って盛り上がって…というカオスな状態が、まさに古事記に書かれていますからね。
こういう統一感の欠如が、日本の文明の曙あけぼのであることが、ぼくはめちゃくちゃ面白いなと思うわけです。
ドミニク・チェンさんがゲストで登場された連載「スマートシティとキノコとブッダ」が面白い
検索している中で見つけた記事なのですが、読んでみるとこれも面白い!特に気になった箇所を引用します。
「卒業するテクノロジー」
なくてもよくなるまでのプロセスで「伴走してくれるテクノロジー」というのは、「弱いテクノロジー」のあり方として志向できるんじゃないでしょうか。
死者たちと関係性を維持するようなテクノロジーって存在しないじゃないですか。「妖怪」表象や、「妖怪」の文化の認識論というものは、今のテクノロジーが太刀打ちできない、世界とのより良い関係の結び方だと思う
AIを使ったおもしろい研究があるんです。ここ約100年間に書かれたインターネット上の英語のテキストを機械に学習させて、固有名詞と共起する言葉をクラスター分析したところ、例えば、男性はパワフルでポジティブで肯定的、女性はより弱くて否定的な言葉と紐づけられていた[13]。一個一個のテキストを読んでもわからないような微かなバイアスをAIが読みとり、自分の歪みに気づける。そういう骨盤矯正のようなもののためにテクノロジーを使うということはすごくいいんじゃないか
これは、言葉の「ぬか床」の中にあるフローラを見えるようにして、こういうことになっていますよ、と教えてくれるセンサと表象のシステムと同じですね、可視化されるということは助けになるでしょうね。
基礎情報学が興味深い!
こちらもドミニクさん関連で検索している中で、分野なのですがサイトの説明が興味深かったので載せておきます。まだサイトをさらっと見たぐらいです。
基礎情報学とは?
生物が生きているのはそれぞれの環境世界ですが、僕たちホモ・サピエンスはサイバースペースのような不思議なものを次々に生み出しつつあります。21世紀に文と理の架け橋をするのが情報学であり、そのベースこそが基礎情報学なのです。
さいごに
当時、このままの流れでドミニク・チェンさんの書かれている著作・共著も関連しそうだと感じるものは一通り読んでみました。
私としては気になるテーマばかりだったので、用語が分からない点も含めた難解な書籍もありましたが、また読み返したいと思うものばかりでした。
ウェルビーイングについても、テクノロジーという前提の上で語られているという意味で、他で語られているそれとは質が異なるので、興味深かったです。
また、今回このテーマの記事を書いてみてせっかくなので今は止まっていますが、当時の「デジタル×発酵」についての考察なども記事化してみようと思いました。