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青春18×2 君へと続く道


#青春18 ×2
#君へと続く道

はじめに

#藤井道人 監督。
映画、特に邦画好きなら知らない人はいないのではないでしょうか。

内閣府の闇に踏み込んだ #新聞記者 で話題を掻っ攫ったと思えば、 #ヤクザと家族 では暴力団の栄枯盛衰を描き、 #余命10年 では少女の儚い一生を美しく彩ったりと、様々なジャンルの映画を手がけられている弱冠37歳にして稀代のフィルムメーカーです。
近年はとても多作で、毎年1本は新作が公開されてるというハイペースっぷり。2023年は2作が公開されてました。

そんな監督が手がけた今作は、台湾の作家による紀行エッセイを原作とした台湾人×日本人のラブストーリー。

一夏の恋が切なくも眩しい、前向きなメッセージのこもった素敵な作品でした。
余命10年でも思いましたが、藤井監督ってラブストーリーが実は一番得意なジャンルだったりする?

あらすじ

台湾でゲーム会社のCEOを務めるジミーは、自身が社員に激昂する動画が炎上し、退職を余儀なくされる。
最後の仕事である日本での商談を終えた後、彼は日本国内を巡る旅に出る。
道中思い出すのは、現在36歳の彼が18歳だった頃のこと。
日本人バックパッカー、アミとの出会いだった。
旅の途中、彼女の故郷へと向かう電車の中で、18年前の日々が甦る。

登場人物

ジミー(現在)
現在36歳でゲーム会社の元CEO。
18歳の時、バイト先にふらりと現れたバックパッカーのアミに出会い、彼女に恋心を抱く。
好きなアニメはスラムダンク。
演じるのは台湾の人気俳優 #シューグァンハン

アミ
18年前のジミーが出会ったバックパッカー。
当時22歳。
旅先で財布を無くした先でジミーが働くカラオケ店に辿り着き、そこで住み込みでバイトを始める。
絵が得意で、明るく活発な性格。
演じるのは #清原果耶

シマダ
ジミーとアミが働くカラオケ店のオーナー。
一文無しのアミを快く受け入れる。
演じるのは #北村豊晴

ユキコ
ジミーが日本で出会うネカフェの店員。
ある場所に彼を連れて行く。
演じるのは #黒木華

ユウコ
アミの母。一人旅に出ている娘を心配する。
演じるのは #黒木瞳

感想

とても素敵な作品でした。
映像で静謐さを語れる監督が日本にどれだけいるのでしょう。
台湾も日本も、叙情的で美しい映像ばかり。
娯楽というより映像作品という言葉がしっくりくる。

18年前のジミーの不器用な恋心と天真爛漫に生きる清原果倻の笑顔がとても眩しく、周囲の温かさも相まって顔が綻んでしまいました。

一期一会とはよく言ったもので、ジミーが日本で出会う人物も素敵な人たちばかり。
若手からベテラン俳優陣まで盤石のサポートっぷりでした。

台湾の湿度を感じる街の景観もとてもエモーショナルで雰囲気ばっちり。
アジアでも台湾は危険な匂いがしないんですよね。不思議と。その優しい空気感も映像に表れてた気がします。


また、36歳のジミーは18歳の時と顔つきが全然変わっています。

18歳のジミー

CEOとして立ち止まる事を許されない社会の厳しさを憂いてしまうと同時に、終盤明かされる空白の18年とアミの視点で始まるもう一つの物語。
ラブストーリーながら練られた脚本がお見事でした。
もう一度最初から観てみたくなる作りです。

終わりに

時間が解決してくれるという言葉があります。
確かに時間が経つほど記憶は薄れていくものですが、起こったことが無かったことにはなりません。
順調にキャリアを重ねてきた主人公がなぜ過去を振り返る必要があったのか。

昔読んだ漫画にこんな場面がありました。
辛い過去から抜け出せない同僚に対し、主人公が声をかけるシーン。

なるほどなぁとストンと落ちたのを覚えています。

自分と向き合う時間って絶対必要ですよね。
色々未精算のまま目の前の事に終われている人は多分たくさんいると思う。

それはそれで楽なんですけど、楽と幸せってまた別なんですよね。

今作を観て、時には立ち止まってもまた進めばいいという優しいメッセージが込められているように思えました。

台南いつか行ってみたいな。

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