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トレーニングあるある「背中は小指側」の間違った解釈
トレーニング界隈では、「背中のトレーニングは小指側に意識を向けるべき」というアドバイスがよく聞かれますが、その理由として
「背中は尺骨神経だから」
これは、解剖学的に完全に間違いです。
まず、尺骨神経は、主に前腕内側の感覚や、小指側、薬指内側半分を含む手の筋肉の運動を司る末梢神経です。
この神経が直接的に「背中の筋肉の働き」に影響を与えることはありません。
背中の主な筋肉(広背筋、僧帽筋、大円筋)の支配神経は胸背神経や副神経、肩甲下神経などであり、尺骨神経の範囲外です。
この点で、「背中=尺骨神経」という理論は根拠がありません。
では、なぜ「小指側」が効果的だと
言われるのか?
「小指側を意識する」というアプローチには別の理由があります。それは神経ではなく、以下の要因によるものです。
橈屈・尺屈の影響
親指側を意識すると、橈屈(手首を親指側に傾ける動作)が強くなり、前腕筋群や上腕二頭筋がより働きやすくなります。
その結果、背中の筋肉に効かせるはずの動作が腕の筋肉に逃げてしまうことがあります。
一方、小指側を意識すると、腕の介入が比較的少なくなり、背中の筋肉をターゲットにしやすくなります。
トレーニング界隈にはそれっぽい説明や迷信が多く存在しています。その代表例が「背中は尺骨神経だから小指から」です。他にも「高回数で筋肉を引き締める」や「トレーニング中の筋肉への意識」など。。しかし、それらが科学的根拠に基づいた正しい情報かは慎重に見極める必要があります。
みなさんも正しい情報を武器にトレーニングライフを充実させましょう!