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「本を読ませなければ…」の呪縛から開放されると親もラクに〜リケジョな子育てVol.14〜

noteマガジン『東工大飛び級ママの「リケジョな子育て」』/第14号です。
このnoteマガジンは、発行人・福所しのぶが日経xwoman Terraceブログに投稿したオピニオンのうち、「子育て・教育」テーマのものをピックアップし、一部再編集してお届けしています。

今回は2023年1月21日の投稿から。元の投稿は、日経xwomanに掲載された記事『親による読書の強制に「勉強嫌い」を招く可能性』(下記リンク)を受けて、感じたことや気づきをシェアさせていただいたものです。
では、どうぞ!

※以下の本文中、「参照記事」とあるのは上記リンクの記事を指します。


読書習慣のある子供は学力が高いと聞けば、「我が子にも本を読ませなければ…」と呪縛めいた感覚になりがち。

子供の興味は本人次第とわかってはいても、環境も大切といわれると子供の学習に対する成果は自分のせいかもと思って親の側がイライラしてしまうこともありますね。

参照記事はそんな呪縛を楽にしてくれたのでご紹介。こちらの記事によれば、そもそも『小学生では活字が好きという子の方が珍しく、活字を読むことに抵抗を感じたり面倒だと感じたりする子の方が多い』のだそうです。

そして、子どもに無理やり本を読ませようと強制すると、子どもが勉強嫌いになってしまうという本末転倒なデメリットも。だから、活字に触れるハードルを下げてあげることが大切とのこと。

我が子の場合も、読み聞かせもがんばってきたつもりですが、どうやら必ずしも「お話を聞くのが好き」から「自分でも読むのが好き」につながるというわけでもないようでして…。

はて、どうしたものか。
確かに、「知りたい!読みたい!」がなければ、強制される読書は楽しくもないし、身にならないですよね。これは大人だって同じだなと思います。

子どもがよく図書室で借りてくるのは、お菓子のレシピ集や工作・手芸の本。もうちょっとお話の本も…と思ったりもするのですが、活字に触れるハードルを下げるという意味では、本人が知りたいものを尊重してあげればよいのだと紹介記事を読んで納得しました。

あとは、音読の宿題でも説明プリントでも、本人が乗ってこないな〜、というときは、1文ごととか1ページごととか、親子で交代で読んでみようというと食いついてきたりします。本人がすべて読むことにはあまりこだわず、楽しく情報を吸収するには?ということを考えたりもしています。

一方、そもそも読書習慣と学力の向上とがどの程度関連するのか、も深堀りしておくと少し親の気持ちが楽になるような気もしています。

読書習慣のある子供は学力が高いというと、一見、「読書習慣=高い学力」のような強い結びつきがあるように感じてしまいます。

ですが実際の数字としては、読書・読み聞かせと学力の相関について『教育は遺伝に勝てるか?』(安藤 寿康・著、朝日新書)では、行動遺伝学の分析結果として、親が子供に読み聞かせをする環境的働きかけの影響力が3.9%あることが紹介されていました。

この3.9%を高いと見るか、低いと見るか。

単独のアクションとしてみた場合、読み聞かせというアクションが学力に及ぼす影響は大きい部類といえるようではあります。でも、見方を変えれば高々4%。残りの96%を説明するための要素は?

学力には他の要素も絡み合うわけなので、読書からの影響が少し下がったとしても他の要素で補う可能性もあるとも考えられるのではないでしょうか。

なぜそんなことを思うかというと、私自身、大人になった今でこそ読書好きですが(とはいえ、文学よりビジネス系がメインです)、子ども時代は読書習慣があまりない方だったからなのです。

小学校時代は海外に住んでいる期間が長かったので、そもそも日本語の本が手に入りにくい環境でしたし、かといって現地語の本はまだ読めず、という状態でした。本が好きかどうかというより、本にアクセスできるチャンスが限られていました。

(かといって、読める本にアクセスできるようになったら堰を切ったように読書を…というわけでもないので、チャンスが限られていたからというのは言い訳なのですが(笑)。)

それでも、高校受験以降は日本の受験に対応してきて、大学では飛び級もさせていただいたので、必ずしも読書習慣=学力ではないかもしれないというのは薄々感じるところではあったのです。

つまり、読書から何を得ているかということを考えておかないと、読書と学力を単純に関連付けてしまい、闇雲に「本を読みなさい!」ということになってしまうのでは、ということです。

では読書から何を得ているか、を考えてみると
・語彙力
・言葉の使い方/表現方法
・言葉の解釈
・多様な世界観
・他者の気持ち/意図を汲み取る力
といったところでしょうか。

そうして考えてみると、私の場合は、
言葉に関しては海外で英語を覚える過程で辞典をボロボロになるまで使い込んだり、受験勉強を通じて覚えてきたようなところがありますし、
世界観や他者の気持ちに関しては、転校を繰り返したことで色々な環境を経験したことが役立っているのではないかな、という気もします。

なにはともあれ、子どもが楽しめることや子ども自身が必要と感じることから手を付けるのが一番。読書が苦手であれば、読書から得られるであろうことを、他のことに置き換えて吸収できる取り組みをを考えてみる、など高い視点で見守りたいな、と思うのでした。

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