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2022.12月(10冊ログ)

毎月、読んだ本から「10冊」紹介しています。

1. #白い闇の獣 #伊岡瞬

伊岡瞬さま、今回の作品は、いつにも増してえげつなさがエグすぎました。私の脳も感情も壮絶なほどに煮えたぎりました。〝すべてにおいて衝動的、感情的、そして刹那的であり残虐〟〝暴力依存症の性向〟その獣(けもの)である少年たちに。

簡単に人間は殺されて捨てられることがありうる。現在の少年法、警察の対応、無念さは小説にするしか世に出せない真実だった。どの親の元に生まれてくるかで人生の半分は決まることも真実。親の小さな裏切りが命に関わることも間違いない。雨の日に娘が「傘を持って父親を迎えにいく」と言った時には行かせてはいけない。女性が身を使って貫くしかない正義なんてあってはならない。ダメ、ゼッタイ。

2. #深夜生命線をそっと足す 

#燃え殻  さんが深夜で配信されたラジオ番組を聴いては、“もう少し生きてみようかと思えた”と書かれていた、深夜の生命線だったラジオ番組の書き起こし本。本のタイトルのとおり、生命線がそっと足される感じ、わかる、その気持ちがとてもわかる、わかりすぎるくらいわかりました。

「ある一定の間、僕たちは地球にいるけれど、ずっとはいない。だからいる間は、もう少し気持ちよかったり、ゆったりとゆっくりと―。」

深夜、生命線をそっと足す


そう、こんな風に思うことができる人が1人でも増えると、やさしい世界になる。生きる気力を失って、それでも人に寄り添って、不安な自分を自分で支えて、ぎりぎりまで壊して・・それでもやさしい話ができるってすごいです。

3.#スローシャッター #田所敦嗣

紀行が本になっていて、写真もとても渋いかっこよさがありました。旅先の場所の話というより、旅に行くと出会う人の話という印象が強かったです。出てくる人たちのそれぞれの短編映画のようでした。

旅先に住んでいる人たちとの出会いがすごく素敵で、誰かに出会いに行くことが旅になるということを知りました。そして旅先では自身が日本人代表になるんですよね。旅先で会った人たちは、「日本人」と聞くと彼のことを思い出す。著者が出会った旅先の人たちはきっと日本人はやさしい人だと思っている、それが伝わりました。とてもとてもあたたかい旅人のお話。

4. #強さの磨き方 #二重作拓也

スポーツドクター/リハビリテーション科医師の書。脳への刺激と能力向上の関係がとても面白いです。源流の知識を選ぶこと、そして考え方が変わると前に進むことができます。強くなるってことは一歩でも前に進む、後退はしないことなんですね。

自分以外の誰かになることは、やっぱりできません。DNAの影響もあります。でも、自分を嫌いにならないようにするためには、少しテクニックを使って弱みを強くした方が生きやすくなりそうです。自分が強いと思わなければどれだけでも強くなることができます。

5.#獅子座、A型、丙午。#鈴木保奈美

鈴木保奈美さんが溢れていました。知的が溢れかえっていました。芯がしっかりあって、とても慈悲深い。地に足がしっかりついて、女性性を大切にする強さがある。賢明でユーモアに品があって。

こんなふうに日常を見て考えたり、人と接したり、凛とした中に儚さがある女性になりたいなぁ〜と思いました。はぁ、うつくしかったです。鈴木保奈美さんがエッセイを書いてくださっていてよかったです。

6. #吹上奇譚 第一話 ミミとこだち #吉本ばなな

唯一無二の哲学ホラー、開幕。老婆と少女の双子占い師のサイキックカウンセリングからスタートします。吉本ばななさんは、私が言うまでもなく小説でたくさんの人を救ってきました。もちろんこの小説でも。

虹の家、虹の祈り、虹の橋。このファンタジーな世界を異世界で済ませることはできません。あの街で確かに今日もこの人たちは生きています。次元を行き来して生きていく世界はもう始まっています。

7.#吹上奇譚 第二話 どんぶり

吉本ばななさんが書くことでこの世に登場した人たちは、つらい夜にそっと寄り添ってくれます。この本に出てくる人たちは誰かに寄り添うためにこの世に来たのでしょう。魔法を使って。

あとがきに“これこそがほんもののカルトだな!”と書かれています。人間がどうやったらその人らしく生きることができるのかが隠された物語。もう一度生まれる意味、肉体を取り戻す意味。やり残したことがある人に肉体を貸していることがあるかもしれません。


8.#吹上奇譚 第三話 ざしきわらし

吉本ばななさんが目の前の生活を書くときには、彩がとてもキレイです。情景というだけで済まされない、瞑想に近い感覚で、この物語を読み進めていくうちにその世界に入っていきます。

これは予言の書。すごいものを読んでしまった、という爆発的な感覚が私の細胞に残っています。300年後くらいに、「コノ時ノ事ヲ予言シタ書物ガ残ッテイタ」と異世界の住人に発見されるに違いありません。


9.#吹上奇譚 第四話 ミモザ

1~4巻の吉本ばななさんの長編。登場人物みんなが生きづらさを抱えていて、少しずつ解放に向かって前に進み、でもやっぱりまた生きづらさと向き合っていく、哲学でホラーでファンタジーでした。

吉本ばななさんは、生きづらい人たちをそっと解放する魔法使いだなぁと思います。何が生きづらいのか、どう捉えると解放されるのか、それでも生きづらいまま、そのままで生きていく、次元を超えた異世界人生哲学でした。

10. #BANANA DIARY 2023-2024 生きていく

吉本ばななさんのお守りのようなメッセージ60が入った、オールカラーの書き下ろし。毎年、買っています。普段使う手帳とセットで手元にずっと置く用です。

やさしい気持ちを自分の中に入れたい時は、吉本ばななさんのこの本のメッセージが最高なんです。日常をそんな風に思えたら、そんな感覚で今日も生きることができたら、やさしい世界に生きている気がするんです。

おわり。
今月も読んでくださってありがとうございました。来月も書きますので良かったら遊びに来てください。



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