宮浦宜子/Life on the table/食卓ディレクター

3歳で「鰊漬けの汁を最後の一滴まで飲み切る子」と言われた筋金入りの食いしん坊。19歳、イタリアの食文化に出会って衝撃を受ける。以後、食の体験は人生の糧と古今東西の料理を食べまくる。39歳、ある町の食文化を丸ごと味わったことをきっかけに、42歳より台所と食卓と机での活動を始める。

宮浦宜子/Life on the table/食卓ディレクター

3歳で「鰊漬けの汁を最後の一滴まで飲み切る子」と言われた筋金入りの食いしん坊。19歳、イタリアの食文化に出会って衝撃を受ける。以後、食の体験は人生の糧と古今東西の料理を食べまくる。39歳、ある町の食文化を丸ごと味わったことをきっかけに、42歳より台所と食卓と机での活動を始める。

マガジン

  • ウィークエンド世界食堂

    月1回、大阪府豊中市のカフェ・サパナで行われる、さまざまな国の週末家庭料理を楽しむイベントの開催レポートです。日本で暮らす外国人のみなさんがシェフとなり、母国の家庭料理をつくり、その料理にまつわるエピソードや食文化などについてもお話ししてくれます。食を通して、多様な文化を理解し、その魅力を豊かに味わうことを目的としています。Life on the tableが企画協力しています。

  • 食雑記

    日々の食卓、食卓での会話、食材やレストラン、食に関する本や映画、イベントなど、食にまつわることだけ書く日記のような「食雑記」。節気毎に更新。

  • 食の本棚

    食にまつわる本や映画の紹介や感想。

  • 食卓記

    自分のために、誰かのために、用意した食卓の記録。

  • 釜ヶ崎イタリアまかない

    大阪西成の「釜ヶ崎芸術大学」(通称釜芸、旧称ココルーム)のカフェにて、月1回「釜ヶ崎イタリアまかない」と称して「まかないごはん」を担当しています。 つくるのは、あるものを活かし、時間をかけて美味しくするイタリア家庭料理。食卓を囲むのは、旅人、ふらりと立ち寄った人、近所に暮らす人、インターンやスタッフなど様々。そんな食卓の備忘録。

最近の記事

ウィークエンド世界食堂|ハシニさんのスリランカ料理

2024年10月26日(土)、大阪府豊中市のカフェ・サパナにて「ウィークエンド世界食堂」を開催しました。今回のシェフは、スリランカから大阪大学への留学生を経て現在はインターナショナル幼稚園で働く、ハシニさん。29名の方が参加されました。今回も異国の家庭料理を通した、普段着の国際交流を、みなさんに楽しんでいただきました。 シェフについて ●ハシニ・ヘッティアーラッチ|Hasini Hettiarachchi コロンボ出身。大阪大学博士課程の留学生を経て、現在はインターナシ

    • 夢のルンダン

      インドネシア、スマトラ島の伝統料理、ルンダンを食べた。場所は、この週末に京都国際交流会館で行われていた「インドネシアハラル料理デー」。インドネシアとつながりの深い友人がこんなイベントあるよと教えてくれたのだ。たまたま京都に行く用事があったので、これ幸いと立ち寄った。会場はインドネシアの留学生たちや、家族などでとっても賑わっている。 ルンダンを知ったのは、ウィークエンド世界食堂での、インドネシアのインタンさんとの打ち合わせがきっかけ。メニューの決めるときは、基本はシェフにつく

      • ノケドリすごい

        ノケドリというパスタに、はまっている。きっかけは、ウィークエンド世界食堂だ。先日のゲルゲイさんのハンガリー料理編で、プルクルトというシチューの付け合わせとして提供した。 ノケドリは、小麦粉と卵に塩と水を混ぜてぼってりした種をつくり、穴の空いた板(現地には専用のものがあるが、我が家ではおろし器)にのせ、ヘラでポタポタと沸いた湯に落とし茹でる、卵パスタだ。小粒のニョッキと言ってもいい。衝撃的に簡単だ。しかも、2人分でつくると、種に対する卵の割合が高くなるせいもあってか、とても美

        • 春巻きのお手前

          隣町の友人宅の「換気扇バー」に招かれた。家族や恋人など親密な相手以外では、私が初めての客とのことで、とても光栄なことだ。 彼女が換気扇バーと呼んでいるのは、通路状の空間にあるI型キッチンのコンロの前に、小さなテーブル、両脇に椅子を置いたスペースのこと。冷蔵庫で白ワインは冷やせるし、揚げたてのおつまみは食べられるし、パンやチーズの追加もすぐできるし、すべてがその場所で完結して、会話が途切れないのが、とてもいい。ターコイズブルーの壁紙に、白地にオレンジが入ったタイル柄の床、暗い

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        • ウィークエンド世界食堂
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          3本
        • 茶事懐石での学びの備忘録
          6本

        記事

          白露の買い出し

          スマイル阪神に買い出しに行く。 無花果は右側にふた島。開店と同時に人だかりができるのは、奥側の訳ありジャム用のものが置いているコーナーだ。訳ありといえども、最初に選べば、結構いいのがある。私も20個以上入っている小さめだけど、結構綺麗めのものを買った。無花果食べ放題ができる。 端境期の白露の時期において、ボリュームゾーンは茄子だ。夏もたくさんあるけど、胡瓜が終わり、トマトが終わっていく中で、茄子はずっと島が山盛り、より丸々ピカピカとなっていく気がする。秋茄子は嫁に食わすな

          ウィークエンド世界食堂|ゲルゲイさんのハンガリー料理

          2024年9月16日(祝・月)、大阪府豊中市のカフェ・サパナにて「ウィークエンド世界食堂」を開催しました。今回のシェフは、ハンガリーからの留学生、ゲルゲイさん。32名の方が参加されました。今回も異国の家庭料理を通した、普段着の国際交流を、みなさんに楽しんでいただきました。 シェフについて ●ゲルゲイ・ラースロ・ベンス|Gergely László Bence ハンガリー北東の都市、ニーレジュハーザ出身。大阪大学公共政策大学院の博士課程に在籍中。学業以外に、極真空手をやって

          ウィークエンド世界食堂|ゲルゲイさんのハンガリー料理

          完熟トマティーヨの衝撃

          8月頭に蓼科で、トマティーヨという野菜に出会った。メキシコ原産のトマティーヨは、トマトの小さいの、みたいな意味だと思うが、実は食用ほおずきの一種らしい。 直売所のワゴンには、蓼科のレストランによる、トマティーヨについてのポップがあって、そこには未熟だと酸味が豊かで、完熟になると甘くなり、状態にあわせていろいろな料理に使っているとあった。 買ってきてすぐは、確かに酸味が強くて、柑橘のかわりにサラダにいれたり、セビーチェのように、生魚とあわせたりが、直売所のポップのメニューを参

          乳製品との距離感

          関西に来て、北海道で生まれ育った私の乳製品との距離感は、本州、特に関西においてはかなり特異なのではないかと思うようになった。牛乳は学校給食に必須のものだし、食材へのなじみという意味では、日本全国変わらないはずだ。でもやっぱり違うな、というのが、関西に移住して4年近くなって、確信に変わってきた。 きっかけは何だったか。二日酔いの日の朝食だったか。なぜだかとても牛乳を飲みたくなって、小さい頃、母がよくつくっていたミルクがゆ(雑炊)のことを思い出した。その時、関西の家庭で朝食にミ

          ザリガニ、赤紫蘇、クミンー「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」

          フレデリック・ワイズマンの新作、「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」を観た。4時間の長編。「公共図書館」もそれくらいだったか。 トロワグロは、フランスの老舗三つ星レストラン。デパートの食品フロアの店舗を通して、特に首都圏の多くの日本人にとって、初めて聞くフランスの星付きレストランの名前のひとつだったはず。その後、ハイアットリージェンシーにレストランができたが、私は行く機会がないまま、閉店してしまった。 こういうドキュメンタリー、しかもワイズマンのような、なにげない会話が

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          何度目かわからない、お好み焼き考

          お好み焼きはだんだん好きになってきた。ただ、いまだ、お好み焼き定食には抵抗がある。 お好み焼き自体の理由ではない。お好み焼きは一品料理で主食と主菜を兼ねている料理という認識なので、そこにさらに主食がくるのは受け入れられない。ラーメン定食(ラーメンとチャーハン)、そば定食(そばと五目ご飯とかいなり寿司)も同じだ。 昨日の夕飯、お好み焼きにしようとなった。私は今、食事コントロールをしていて、たんぱく質をきちんと摂ることは、常に課題だ。夕食がお好み焼きでは、なかなか必要量までい

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          赤い万願寺唐辛子の味

          食べたことがないものを食べるのが好きだ。 先日、スマイル阪神で買ってきたのは、真っ赤になった万願寺唐辛子だ。ラベルには、「完熟、甘い!」と書いてあった。完熟ということはつまり、種ができあがるということだ。完熟のピーマンや甘唐の、あの種が口の中で主張しまくる感触を思い出して、一瞬躊躇したけれど、真っ赤な万願寺唐辛子を食べてみたい、という欲求が優った。 初めて食べるものは、できるだけそのものの味がわかるように料理する。唐辛子系といえば、フライパンでの蒸し焼きだ。オリーブオイル

          オクラは花の香り

          オクラに花のような香りがある。 気づいたのは、昨日の昼食につくった味噌汁だった。親子丼に合わせる、オクラと豆腐のお味噌汁。 いつもなら、小口切りにするところを、船のように浮かべたくて、縦切りにしてみた。豆腐は小さめの角切り。味噌は、最近買った三田の黒大豆の味噌。大豆の粒が残っている田舎味噌で、ふつうに溶いただけでは、完全に溶けきらないから、汁自体はあっさりしている。 オクラを口に入れて、噛んだ瞬間、ふっと香気が鼻に抜ける。気のせいかと思うくらいの微かなものだけれど、味噌

          ウィークエンド世界食堂|インタンさんのインドネシア料理

          7月21日(日)、大阪府豊中市のカフェ・サパナにて「ウィークエンド世界食堂」を開催しました。今回のシェフは、インドネシアからの留学生、インタンさん。31名の方が参加されました。今回も異国の家庭料理を通した、普段着の国際交流を、みなさんに楽しんでいただきました。 シェフについて ●インタン・ハウィナ・アンジャリ(Intan Hawina Anjari)さん ジャワ島のバンドン出身。大阪大学の博士後期課程1年。母国では、植物から天然化合物を取り出し、創薬の開発に携わり、現在は

          ウィークエンド世界食堂|インタンさんのインドネシア料理

          ウィークエンド世界食堂|ナーズさんの北インド料理

          6月22日(日)、カフェ・サパナにて「ウィークエンド世界食堂」を開催しました。今回は「ナーズさんの北インド料理」、32名の方が参加されました。異国の家庭料理を通した普段着の国際交流という、非日常の機会を楽しんでいただきました。 会場の様子 会場は、ナーズさんが持参した色とりどりのインドの部屋飾りと、小さなインド国旗を飾って、華やかで楽しい雰囲気に。参加者は大学生からシニアの方まで、またアジア料理の愛好家やプロのシェフ、また、日本人だけではなく、台湾、マレーシア、トルコの方

          ウィークエンド世界食堂|ナーズさんの北インド料理

          冬至|2023.12.22-2024.1.5

          12月23日(土) 丸鶏のロースト、ラムのビリヤニ詰め クリスマスシーズン恒例の丸鶏ロースト。今年はなんと、鶏のお腹の中に、ラムのビリヤニを詰めてしまった!謎の背徳感。 12月26日(火) 恋人の誕生日ディナー 苺とウドのサラダ、オレンジのサラダ、タコ・イタヤガイ・アサリのパッケリ、アグー豚のファルソマグロ(詰め物入りローストポーク)にカッサータ。ドリンクは、前半は山椒酒のソーダ割り、後半はネロ・ダヴォラ。私の調子が悪くて、いろいろ思い通りにはいかなかったけれど、恋人は

          大雪|2023.12.7-2023.12.21

          12月7日(木) いつもの食卓に友人夫妻を招く  夕食に、ご近所の友人夫妻を食卓に招く。料理は私が担当する。春菊と柿のサラダ、蕪の丸ごと焼き、豚スペアリブと玉葱の煮込み、ブロッコリーのオレキエッテ、手づくり苺アイスといただいた苺。 12月12日(火) いつもの料理を友人の台所でつくる 午後から東京。久しぶりに友人宅に泊まらせてもらう。居心地のいい友人の家でゆっくりおしゃべりをしたくて、ワインを持っていくから、一緒に料理つくって食べない?と提案する。せっかくだから普段つく