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きょう心にしみた言葉・2022年7月5日

語らいを重ねゆきつつ気がつきぬわれのこころに開きたる窓                       皇太子明仁(昭和33年)

現在の上皇陛下が皇太子時代、美智子さまとのご結婚に際して詠まれた歌です。著名な歌人であり、宮中歌会始詠進歌選者で、細胞生物学者の泰斗でもある永田和宏さんが、自著の中で見事な解説をしています。ものごころつく前から実父母の手を離れて養育され、寂しい幼年時代を過ごされた皇太子は、婚約に至るまでの時間、美智子さまに胸のうちを打ち明けられたはずであり、その過程で、はじめて「われのこころに開きたる窓」に気がつかれたのだと推察しています。
 永田さん自身、幼いころに母をなくし、心に鎧をつけて育ったといいます。その鎧を解いてくれたのが、すべてを話すことができた歌人の河野裕子さんだったと。永田さんと河野さんは結婚し、ともに卓越した歌人の夫婦として短歌の歴史を刻みました。
 人は話ことによって救われ、話すことによって「心に開きたる窓」に気づきます。

ところで、永田さんが河野裕子さんとの若き日の恋愛を振り返った「あの胸が岬のように遠かった 河野裕子との青春」(新潮社)は感動の一冊です。

「あの胸が岬のように遠かった 河野裕子との青春」(永田和宏著・新潮社)


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