きょう心にしみた言葉・2023年1月23日
米国オレゴン州にある「ダギーセンター」は、死別を体験した子どもたちが集い、遊びやおしゃべりを通じて、自分の経験や気持ちに触れることのできる家です。2012年夏、このセンターの研修会に参加した人たちが立ち上げたのが一般社団法人「グリーフサポートせたがや」です。「哀しみに寄りそい ともに生きる」は、グリーフサポートせたがやが2013年9月から2014年2月にかけて開いた連続講座の講演録です。講師は、世田谷一家殺害事件の遺族で「ミシュカの森」を主宰する入江杏さん、ライフリンクの清水康之代表ら6人です。今回は、6回目の講演をした水野治太郎さんの言葉を紹介します。水野さんは、当時、麗澤大学名誉教授、NPO法人千葉県とうかつ「生と死を考える会」理事長などを務めていました。ナラティヴについて、水野さんはこう説明します。「ラテン語のナラーレ『語ること』に由来します。同時に、ラテン語には『熟知する』という意味のグルナスという言葉もあります。ですから語ることによって、出来事の深みや広がりなど、いろいろなものを熟知するようになる。語るたびごとに語り方が変わり深化するのです」。語り直すことで人生全体を再構築する。その言葉の中に、希望の光を強く感じます。絶望を乗り越えた先に灯る、あたたかく力強い光だと思います。