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#201「ニーズに着目し、その解決に焦点を当てる!」

今日はですね。「ニーズに着目し、その解決に焦点を当てる!」ということについて話をしてみようかな。と思っております。

これは「クラス会議」のもとになっている「クラス会議で子どもが変わる」っていうコスモスライブラリー社の本にもですね。繰り返し「解決に焦点を当てる」という話が出てきます。これまでよく使われていた「教師のコントロール」とか、「罰」とかではなくて、「解決に焦点を当てて話し合っていく」ことで、子どもたちは変わっていく…ということがちょっとずっと繰り返し書かれてるんですよね。

で、クラス会議をやっていると、それがだんだん分かってくるんですよ…っていうのは、「クラス会議」のやり方でやっていくと、子どもたちがもうこっちが予想してないような姿を見せるからなんですけどね。まあ、僕もクラス会議やり始めてから、思い返せば、子ども達が見せてくれる姿で、「あっ。こういう事なんやな…」ってことを何回も何回も感じて、それを肌で感じさせてもらって、積み重ねてきた…というのが事実かなと思っています。

で、特にこの「ニーズに着目して、解決に焦点を当てる!」という話は、クラス会議を始めた年ぐらいの小学校3年生の子どもたちの姿に教えてもらったんで、ちょっと今日はその子たちのことを紹介させてもらおうかなと思ってます。これもクラス会議の議題から出てきたんですが…。3年生の子らが「夕方2人でキャッチボールしてたら、突然そのボールを近所の6年生の奪って草むらに投げて、『へへへー!』って走って行ってしまいました」という議題だったんですよね。想像できますけどもね…。

その子らは、それを議題に入れて、クラスの子たちから解決のためのアイディアをいっぱいもらったわけですよね。先生に言うとか、一緒に探しに行くとか、6年生に話に行くとか…。なんか、いっぱい出たんですよね。家の人に怒ってもらう…とか言ってたと思いますけど、子どもらが選んだことはよう覚えてるんですけど…子どもが選んだのが、「クラスのみんなに助けてもらって、6年生と話しに行って、みんなに助けてもらって、ボールを探しに行く。」という解決策を選んだんですよね。

これすごいな…と思って、ちょっと様子見てたんですけど…、休み時間になったら、3年生のその男の子2人が、クラスの周りの子たちにあの助けを求めて10人弱連れて、6年生のところに行って話をしに行きました。どんな話するかな…とちょっと遠目に見てたら、6年生の子に「昨日ボール奪って投げたやんか。あれ今日、夕方探しに行くから一緒に探しに来てよ…。」って言って行ったんですよ。「あれっ?」と思って、「あっ、そっち頼むんや…。」と思ってね。そしたら6年生も「おっ、おう…。」って言ったんですね。

僕の姿もチラッと見えたんで、まあ彼の予想やったら、多分なんか先生に言われるんかな…と思ったと思うんですけど、僕は何も言わずに、「まあ頼むで。」って言って帰ったんです。

そしたら夕方、その6年生と一緒にクラスの子たち数人と男の子2人が、その草むらにボール探しに行ったんわけです。僕は、ちょっと他の会議かなんか仕事があって行けなかったんですけども、子どもたちは行ってくると言って行ったわけですね。

夕方になって「先生見つけたで!」と野球ボール持ってきたんですよ。そしたら新品のボールに彼の名前が書いてあって…「なるほど…。」とその瞬間思ったんですね。この子はボールが無くなるのが嫌だったみたいだと。投げられて嫌やったとかじゃなくて、とにかく草むらにあるボールを探し出したい!って思ってたんやな…って事が分かったわけです。新品だったんで。「これ、どうしたの?」って言ったら、「買ってもらって、大事やねん。」っていう話をしてたけどね。

だから。6年生の子にも話しに行くのは「謝って!」とかじゃなくて、「投げたボールを知ってると思うけど、ボール探しに行ってくれる?」ってだけですね。多分投げた本人が一番よく知ってるから…だと思うんだけども。で、見つけた翌日に、ぼくも6年生のとこに一緒に行って、昨日のボールの話やけどな…って言って。

「なんか言うことあるか?」って3年の2人に言ったら、「昨日、ボール一緒に探してくれてありがとう。」って言ったんですよ。「えっ?」っと思ったんですけど、ほな、その話を聞いた6年生の子も「おぉ…。」って言ったわけですね。で、「ごめんな。投げて。」って言ったんですよね。「あっ、こうなんねや…。」と思ってね。僕、横で見てて思ったわけですけども…。

もしかしたらですよ、ボクらが間に入って子どもの話し合いの解決をしようとしたらですね。6年の子を呼び出してね。男の子3年の2人の前に立たしてね、「昨日何があったんや?」と聞くと「ボールを投げた。」と。そして、「そんなことしていいと思ってんのか?」って言うと「いや、あかんと思う。」って答えて、こっちから「どうすんねん?」って聞くと「謝る…。」とか言って、「ごめんな…。」とふてぶてしく謝って…。そして、3年生のふたりが「いいよ。」って言って、「絶対今度したらあかんぞ!」みたいな話をして終わるパターンかなと思うんですけども。

なんら関係ない、そんなこと関係ない形で過ぎて行ったんですけどね。で、3年の子たちはボールを探してもらいたくて、6年に頼みに行って、一緒に見つけてくれて、「ありがとう。」まで言ったわけですけどね。教師なんかが想像がつく姿ではないんだけれども…。そしたら、6年生の子はまともに謝ったわけですよ。「ごめんな。」と。ボクら教師がちゃん話し合いさせたら、ふてぶてしく謝る気もないのに謝ってたりして、それで解決した風に見えるけども、あの子たちがやったことで、6年生はもう心の底からっていうか、心から謝れたわけですよ。それを聞いて「いいよ。」って、ほんまに「いいよ。」って言ったわけですけどもね。これを見てて、これって僕らが入ってやるよりも、子どもらがちゃんと考えて選んでやってみて、そこからやっていったほうが、ちゃんとするんちゃうかなってことは思ったわけですね。

まあ、とにかく「ニーズ」に着目する。まあ、僕らが思っている「ニーズ」っていうのは「謝る」…ということしか…、たぶん大人の想像力だと「謝る」いうことしか着目せえへんかもしれへんけども、子どもたちの「ニーズ」は他のところにある可能性があるのでね。話し合いさせて謝って終わらすみたいなのは、大人が教え込んでしまってるけども、実は子どもたちは違うとこ狙ってるっていうこともあり得るんでね。まあ、そのことについてもですね。このクラス会議していると、だんだん見えてくる…と。「ニーズ」に着目して「解決に焦点を当てて」進めていくということで、かなり教室の風景を変わっていくんちゃうかなというふうに思っていますので…

繰り返してクラス会議のやり方で、困ったことを出して解決策を出し合って、そこから選んでやってみるってことを繰り返していくことで、本当に子どもたちは僕ら大人が思ってないような姿を見せることがあるし、大人はそこから教えてもらうことがいっぱいあると思います。僕ら大人の方が、ちっちゃい頃がそんなことしてきていないし、やっぱり今もですけど、そういう教室でそういうことをやるってことは、やっぱり実践されてないわけですよね。

僕らクラス会議を始めたのは、もう20年も前の話です。でも20年経って学校の姿、教室の姿が変わってきてるか…?っていうと、まだまだそんなことはないし、まだクラス会議の話っていうのは、ここから始めていく話として十分大切にしていくべきことになんちゃうかな…ということを思っています。Voicyでこのクラス会議の話をさせていただけるというこの幸せを毎週かみしめておりますけども。今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。今日は「ニーズに着目して解決の焦点を当てる!」という話をさせていただきました。ありがとうございます。

(文字起こし協力:高橋章さん)


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