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インディーゲームの魅力と未来。ソニー・インタラクティブエンタテインメント吉田氏が語る、創造力の可能性

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8月14日(水)に成蹊大学で行われたイベントでは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント インディーズ イニシアチブ代表の吉田修平氏が登壇し、インディーゲームの魅力と今後の可能性について語った。本記事では、その講演内容をレポートする。

吉田修平氏
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
インディーズ イニシアチブ代表
1986年にソニーへ入社。1993年、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の創設メンバーとして参画し、初代プレイステーションの立ち上げに貢献。1996年からはゲームプロデューサーとして数々のヒット作を生み出し、2000年にアメリカのゲーム部門責任者に就任。2008年にはグローバルゲーム部門の統括責任者となり、世界中のゲーム開発をマネジメント。2019年からはインディーズ イニシアチブ代表として、インディーゲームの支援と次世代のクリエイター育成に力を注いでいる。


クリエイターの個性と創造力が光る、インディーゲーム

こんにちは。ソニー・インタラクティブエンタテインメント インディーズ イニシアチブ代表の吉田です。今日はみなさんにインディーゲームが持つ魅力や、その可能性についてお話ししたいと思います。

インディーゲームとは、基本的には少人数のチーム、ときには1人で制作されるゲームのことを指します。大手のゲーム制作会社がつくるゲームとは異なり、インディーゲームはクリエイター自身が本当につくりたいものを自由につくれる特徴があります。

一方、大手のゲーム制作会社がゲームを開発する場合は、ゲームの内容や発売日、予算などは資金を出資するパブリッシャー(ゲームの発売元)が決定することが一般的です。

よって、インディーゲームでは、純粋に自分が「つくりたい!」と思ったものを制作する自由度が高いと言われます。この自由度の高さが革新的なゲーム開発を可能にしていて、プレイヤーたちに強い印象を与え、大ヒットにつながっているのです。

デベロッパーとパブリッシャーの違いは?

さて、次にインディーゲームデベロッパーとパブリッシャーの違いについてお話ししましょう。

先程も簡単に触れましたが、パブリッシャーとはゲームを発売する会社のことです。大手のパブリッシャーはゲーム開発会社に資金を提供し、ゲームの販売やマーケティングを担当します。

一方、インディーゲームデベロッパーは、自分たちでゲームを開発し、場合によっては自分たちで販売も行います。以前は、ゲームを販売するにはCDやDVDといった物理的なメディアが必要でした。これには多くの資金と人手がかかるため、パブリッシャーの力を借りることが必須です。

しかし、現在ではデジタル配信が主流となり、開発者が直接、ゲームを販売できるようになりました。たとえば、PCならSteam、PlayStationならPlayStation Storeを通じて、簡単にゲームを配信することができます。

このデジタル配信の普及により、インディーゲームデベロッパーにはパブリッシャーを通さずに自分たちでゲームを販売するという選択肢が生まれました。
ただし、オンラインストアにゲームを並べただけでは売上にはつながりません。パブリッシャーは広告を打ったり、YouTuberをはじめとするインフルエンサーにゲームをプレイして拡散してもらったりして、様々なプロモーション活動を行います。
そのため、より大きな販売につなげるためにパブリッシャーと組むこともありますが、現在では、それはあくまで選択肢の1つです。

もう1つ、インディーゲームの重要な特徴は、自分の作品の権利を開発者がすべて持てる点です。大手パブリッシャーがゲーム開発への出資を行う場合、完成したゲームの権利は多くの場合パブリッシャーに帰属します。
そのため、続編をつくりたいと思っても、開発者自身に決定権がないことがあります。しかし、インディーゲームでは開発者が自分の作品の権利を保持するため、続編や関連作品の制作、グッズ化や映画化など持ち込み企画への決定も自分たちで行うことができます。

ゲーム体験を豊かにする、おもしろいゲームの要素とは?

では、面白いゲームとはどのようなものなのでしょうか。私が考える面白いゲームの特徴をいくつか挙げてみたいと思います。

まず、重要なのは操作性です。ボタンを押したときの反応や、キャラクターがどのように動くかなど、プレイヤーがゲームを操作する際の感覚は、ゲーム体験に大きな影響を与えます。

私がゲームクリエイター時代に理想としていたのは、プレイヤーがコントローラーを持っていることを忘れてしまうような操作性。どのボタンを押すとどう動くかが直感的にわかり、考えなくても自然に操作できるというインタラクティビティを意識していました。

次に、ゲームのビジュアルやキャラクターのデザインも重要な要素ではないでしょうか。グラフィックが美しいとか、キャラクターがかわいいとか。プレイヤーがその世界に引き込まれる要因となります。

また、ゲームを通じて、プレイヤーがリアルな世界ではできない体験ができる点も、ゲームならではの魅力です。たとえば、主人公になりきって冒険することで、現実では味わえない感動や興奮を感じることができますし、最近では、VRを使ったゲームも増えています。プレイヤーがまるでその世界にいるかのような没入感を味わうことができるのも、幅広い世代にゲームが楽しまれている理由でしょう。

さらに、難易度が高く、挑戦のしがいがあることも、ゲームの面白い要素の1つでしょう。クリアが難しいゲームは、プレイヤーに達成感を与えます。

また、複数のプレイヤーが協力してプレイするゲームでは、他の人とのコミュニケーションや協力が楽しさを倍増させます。オンラインで友達と一緒に遊ぶことや、リアルな場で集まってみんなでプレイすることも、現在主流となっているゲームの楽しみ方の1つです。

観察力と体験が、クリエイティビティを伸ばす

最後に、みなさんがクリエイターとして成長するために、普段の生活でどのようなことに取り組めばいいのかをお話ししたいと思います。

まずは、観察することです。
世の中で流行っていることや人気のあるものを観察し、可能であれば自分でもそれを体験してみてください。ゲームであれば、とことんプレイしてみる。本を読み、映画を鑑賞し、人気のスポットに足を運んでみてください。観察をしながら、実際に自分の手で触れてみることが大切です。

次に取り組んで欲しいのは、体験を通じて得た感覚を深掘りしてみることです。
何が面白かったのか、なぜその体験が自分にとって特別だったのかを考えてみてください。こうした問いかけを続けていると、人気のコンテンツに共通していることや発想のコツのようなものが見えてきます。
自分にとって、あるいは他の人にとって、本質的に人間の心に訴えかけるものが何かを理解することが、面白い作品を生み出すための鍵となります。

観察と体験、自分への問いかけを続けてみてください。

最後になりますが、これからクリエイターを目指す方は、ぜひ自分の興味や好奇心を大切にしながら、創造的な世界に挑戦してみてください。きっと、そこでしか得られない素晴らしい体験が待っているはずです。

文:VALUE WORKS 浜 大和


吉田さん、ありがとうございました!
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