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風船の真下にて異国情緒を満喫することが出来たならば
「この町ではどこを廻りたいの?」
その町を案内してくれるはずの知人兼ガイドさんが訊ねて下さった。
私は、観光を希望する箇所を早口に羅列した。
ガイドさんの表情に陰が差した。私が最後に挙げた観光名所に拒絶反応を示されたのだ。「やはりそう来たか」、という心情であろう。
その場所は一応観光地としての扱いはされているが、そのような場所を苦手とする人にとっては、出来れば避けたい場所であるのであろう。
「どうしても行きたいの?」、と確認された。
人様の嫌厭されることは出来ればしたくない。しかし、この場所の観光に関しては妥協したくなかった。私は「どうしても行きたい、今日のハイライトだ」、と返答した。
気が進まないのであれば一人で行くからどこかで落ち合おうと、とガイドさんに提案した。しかし、ガイドとしての責任を感じたのか、私の方向音痴ぶりを心配したのか渋々と付いて来てくれた、どうしても譲歩できない以下の条件を提示しながら、
「敷地内では絶対に写真は撮らないと約束してくれる?」
と、いうわけで残念ながらこの場所の写真はない。
写真は撮れなくとも中をゆっくりと観て廻ろうと考えて歩き出した。
しかし、ガイドさんの蒼白な顔色を無視してまで観光を続けるのは忍びなくなってしまい、結局、その場所は早足で通り抜けてしまった。人間、苦手なことは苦手なのだ、無理強いすべきではなかった。
そして、お礼/お詫びとして、近くのカフェにて労いコーヒーとケーキを買わせて頂いた。
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この町を歩いていると、下の写真にて見られる国旗が、要所要所で掲げられている。事情を知らなければ、この国旗がこの国のものであると勘違いされる可能性もある。
この行動は、この国の、戦争に対するスタンスを明確に表現しているものであろう。スウェーデンにおいては、戦争難民の受け入れは行っているが、戦争に対するこれほど明確なスタンスを目にした記憶がない。
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ちなみにスウェーデンの国旗も青と黄から構成されており、ボートなどではその二色が水平に並べられることもあるため、戦争当事国の国旗との区別が難しくなることもある。
数々の局面において興味深い点の多いこの国とこの町に関して、今後時々、テーマごとに分類した紹介をさせて頂きたく思う。
インテリアと買い物
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街並みと観光、美術館
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カフェ、ケーキ、食事とビール、ホテル朝食
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ところで、冒頭のガイドさんが拒絶反応を起こした[観光地]であるが、中からの写真を撮らせては頂けなかったが外からは数枚撮らせて頂いた。
この美しく平和な町の中心地にて独特な雰囲気を醸し出す34ヘクタールの一空間には、自治とアナキズムを象徴する850人ほどの人々が住んでいる。
私は何故、この空間を訪れてみたかったのか。
ここが美しく造形された人工の観光地ではなく、中世からの立派な建造物の残る場所でもなく、本物の歴史を現在進行形にて目の当たりにすることが出来る場所であるからである。
ガイドさんが何故この場所を怖れていたかは定かでないが、Wikipediaに依ると、この空間には暴力行為等を禁ずる独自のルールが適用されているそうである。
治安が悪いと思われている地域では、人通りの少ない所よりは多い所のほうが安全であるはずであると言われる。
この場所を訪れたのは二回目である。いずれも日中であるが、前今回とも人だかりが見られた。この界隈のストリート・アートの数は夥しいが、特に治安が悪いという印象は受けない。人々の表情は比較的明るく感じられる。
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サムネイルの風船は、モダンな地下鉄駅の天井にて目撃したものである。地下鉄を利用したのは実に二年ぶりである。地下鉄の再デビューは異国にて果たせた、ということになる。
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メタリック色の風船はところどころで浮かんでいた。これは果してアートであるのか、あるいは、風船を持っていた人が「あっ」、と離してしまったものなのか。
謎は謎のままで、異国において印象に残った一光景として残しておくこととしよう。
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ご静読頂き有難う御座いました。
最近は投稿が続いてしまいましたが、この記事のあとは通常の(ゆったり)ペースに戻りますので、今回もお付き合いを頂けたら幸いです。
今回も国名と町名を伏せさせて頂きましたが、お分かりになられたでしょうか?返答をして下さるかたがいらっしゃらなくても解答は次回発表させて頂きますね。ヒントはラーメンの写真に一部見えるロゴ、この自治区の存在です。
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