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高齢期リハビリのココロエ㊿ 高齢者リハビリって偏っている

医療保険下リハビリのある病院の種類

わたしは介護保険分野のリハビリに長年、携わってきましたので正直、医療保険リハビリ職員側の事情などはよくわかりません。

『患者の家族として』と『自分が入院をして感じたことと』『知り合いのリハビリ専門職から聞いた』高齢者リハビリの不安要素を書いていきますね。

急性期病院

知り合いのセラピストから聞きました。たとえば、脳血管障害などで『嚥下機能』が悪い方がいらっしゃる。飲み込むとむせたりするわけです。いわゆる発症直後は症状が一番悪い状態です。

そこから自然回復やセラピストなど専門職の後押しで『嚥下』が回復することもあるのですが、医師は『あ、もう今後嚥下機能回復は見込めない』と経管栄養などに切り替え、リハビリのオーダーさえ出さないことがあるそうです。

セラピストは当然、そうなった患者さんの存在さえわからないまま業務につきます。患者さんの可能性が置き去りになるケースですね。

急性期病院のリハビリがあるからこそ回復の土台ができます。

回復期病院

こちらが一番、手厚い頻度、時間をリハビリに費やせますね。毎日マンツーマンを長時間行ってくれます。

詳しくはわかりませんが、『脳血管障害後遺症』にしても『骨折』など機能が回復しやすい時期ですので、ガンガン機能回復と日常生活動作や移動手段の獲得がすすめられます。

療養病床

うちの義母が入院してびっくりしました。リハビリ時間は一週間に0分から40分程度でした。

褥瘡をつくるわ、起立性低血圧になるわ、発熱したらすぐに食事を止めるわ、止めた後もほったらかしやわ、関節がちがちになるわ、この病院だけなのか、それともこんな病院が多いのか、とにかく寝たきり製造病院でした。

褥瘡はこちらが尋ねるまで、看護師は家族に知らせずでしたし。

こんな病院が多いのか、少ないのかはわかりませんが二度と関わりたくない病院でした。

目標が『在宅復帰』でないことも多いことが関係しているんでしょう。

地域ケア病床

こちらもうちの義母が利用しています。リハビリは一日平均40分ほどでしょうか。ないよりある方が良いに決まっています。最低限、褥瘡管理・関節可動域の維持・嚥下状態の評価・摂食練習などをしてくれています。

療養病床にいるころに比べると口数も増え、目に光が戻りました。

病院の印象まとめ

まずもって療養病床は最悪でした。

他の方からも『そんなもんだ』とよく聞きます。制度や出る杭は打たれる集団主義の日本人の気質も相まってぬるい空気感があるんでしょうね。わたしは関わった病院だけかもしれませんが。

病院側からしましたら『手のかからない患者』の方が良いに決まってます
し。

それにしても最低限の医療管理ができない私たちが接した病院は本当に『やばい』です。

京都府宇治市の病院です。

確かに回復期病院を退院すると、途方に暮れる方もたくさんおられるでしょう。

では次に

介護保険下のリハビリ

です。

介護保険をもっていればどなたでも利用ができます。ただし特別養護老人ホームは介護度3以上が入所条件です。


介護老人保健施設

医療保険で言いますと、地域包括ケア病院ですね。病院と在宅の間の介護保険におけるリハビリ施設の位置づけです。

個別のリハビリは週2回1日20分以上が基本です。他にも短期集中のリハビリ期間もあります。詳しくは上記の表をご覧ください。

病院と異なるところは『離床(ベッドから起こす)』を積極的に行うところだと考えます。

離床すると、それだけで『起立性低血圧』『関節拘縮(かたまる)』『せん妄(寝ぼけた状態)の予防になります。

これだけでも本当にすごいことだと思います。

ただ、老健の弱点は離床させた後の生活スケジュールです。

人は何か活動することにより元気になるわけですが、それが食事・排泄・更衣・整容・入浴以外に数分の体操と時に簡単なレクリエーションのみになり一日の大半、ボーっと暮らすことになるパターンが多いのです。

個別リハビリも週にたった二回、一回20分ですし。

ボーっと暮らすと心身ともに弱るのは明白です。

介護保険下リハビリの課題

介護保険リハビリサービスを利用する頃には疾患由来の機能回復(麻痺・骨の変形・高次脳機能障害など)そのもののスピードが著しく遅くなります。

しかし、介護保険リハビリは機能回復目的と称して医療保険リハビリと同じく『機能訓練』や『歩行練習』をするわけです。

または『認知機能訓練』なるもので『読み書き計算』『塗り絵』などが実施されるわけです。

効果が出るか出ないか微妙な薬をずっと飲み続けてもらうイメージですね。

わたしの経験上では『本人の実感が伴い生活が変わるほどの機能回復する方』は2割程度です。

本来のリハビリテーションの意味であれば『ハンデのある身体でどう生活に適応するか』を考えることも必要です。

多くの方は『機能回復しないと元に戻らないと元の生活には戻れない』という思い込みがあります。

すると生活上の役割や活動がなくなり、より『機能回復』に期待を込めることになり、機能訓練中心の生活になります。

老化している上に後遺症がある身体というのはどこかで受け入れないといけないんですね。

そういったことから、介護保険下でのリハビリは『生活の組み立て』を最優先にするべきなはずなんですが…、難しい状況ですね。

『リハビリ=機能訓練・歩行練習』の図式は専門職自体ももっており崩すことは困難です。

ただ、医療保険下より介護保険リハビリの方が多職種連携が密だと実感しています。

一方、医療管理やリハビリを徹底している療養病床もどこかにはあると思います。入院・入所してからでないと内情がわからないのが、よろしくないですが。

どちらが良い悪いではなく一長一短な感じもしますが、わたしは介護保険サービス下でのリハビリのほうが良いのかな、と思います。


というわけで駆け足で簡潔的にお話しました高齢者リハビリの課題ですがいかがだったでしょうか。

現場のリハビリ職員はたくさんの書類や患者さん、利用者さんのリハビリで疲弊しています。

それでも向上心をもって自腹をきって研修会に参加する働いているスタッフもたくさんたくさんおります。

その中でリハビリに対する価値観(リハビリ=機能訓練・歩行練習)とういう価値観が変わらなければ高齢者リハビリの前途はあまりよろしくない、といいますか、どんどん政府からの加算も減らされ、衰退していくと考えます。

高齢者リハビリの結果は『生活が変わり患者さんや利用者さんの生活満足度や充実度がいかに変わったか』『生活が変わったことにより心身がどう変化したか』で測るべきだと考えます。

さらに患者や患者家族は医療や福祉の前では『従順』『受け身』になりやすくなります。『預かってもらっているから』『医者は偉いから』『先生やそのほか医療職の言うことを聞いていたら治るだろうから』といった感じです。

はっきり言います。リハビリは自身の心身状態や将来どうなるのかを把握して、どう生活するかを自ら考えることで良くなっていいきます。

受け身では何も起こりません。高齢者も現役時代の『行動』を起こさないと何も変わらないことと同じです。

『思考』『判断』『実行』が基本です。良くなる自助努力をしていきましょう。

そんな考えが広まりますように。


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