見出し画像

スマホ&高齢者の落とし穴 -思いを伝える-

街でスマホを持つ高齢者の姿を見かけることが増えました。コロナの影響もあり、今まで敬遠してた人々も重い腰をあげ、親や祖父母にスマホをプレゼントしたという話を聞きます。

2017年に台北に行った時、すでにスマホを使いこなすご高齢さまをたくさん見かけたので、数年遅れで日本にも変化があってよかったなあ、、、と思いきや、一つ大きなトラップが!

一番大事になる機能とは...

ジジさまババさまにスマホを贈ったあとに悩ましい「テキスト入力できない」問題が勃発。

あるババさまは携帯メールを使えていたのに、スマホになって面倒くさくなり、メールをしなくなったと聞きました。

また別のババさまはスマホデビューを83歳で果たしたものの、テキストが入力できず、LINEスタンプで代用するももどかしくて放置。

じゃあもう、とりあえず受信だけでも使えればいいか...などとその場をやり過ごしていませんか?

そうしていると、一番大事な機能にたどり着けなくなってしまうかもしれません。

「あれ買ってきて」が伝えられるのか

ケアマネさんと今後のmy母(82)の暮らしを相談している最中におっしゃっていたセリフが明解でした。

「人は事故や事件で突然死ぬのでなければ、ほとんどの人が病院で人生を終えます」

漠然とそうだろうな〜と想像できても、事実を白日の元に晒すとドキッとしませんか。病院生活=ベッドの上なのです。

もちろん、同居をしていたとしても看取りまで完全に自宅というケースは稀です。私の父も家で介護もしましたが最期の2週間は入院してから息を引き取りました。

体が弱って一人で起き上がれなくなっても、携帯を握りしめて病床から「元気か」「ちくわの甘辛煮が食べたい」「お稲荷さん買ってきて」などメールを送ってくれました。

そして本当に今際の際には「感謝してるよ」と。

父が病床から携帯メールで送ってくれたメッセージのスクショは今でも宝物です。

まずは真っ先に発信手段を習得する

人生の終わりに向かって携帯端末の一番大事な機能は「自分の思いを家族や友達に伝えられる」こと。

まずは高齢者にそれができるかどうかはとても大事なのです。

スマホは多機能なので、高齢者が使いこなしてくれたら申し分ないです。スマホを使えるなら退屈凌ぎにYou Tubeを見る、今いる場所を伝えるなど、役に立つさまざまな機能があります。

しかし、ほかの機能で満足していると「思いを伝える」手段の習得を放置して、ますます歳をとってしまいます。新しい機能を覚えるのは、衰えていく脳みそに定着するまで習慣化やマンツーマン教習など、80オーバーには難関です。

新しくスマホを持ったら、あれこれ覚えさせずに、まず最初に意思を伝えることから覚えてもらうとよいと思います。

テキスト入力、スタンプ、音声入力などどれが一番扱いやすいか、思いを伝えるワザを決めて、その習得にまずフォーカス。ジジさまババさまが覚えやすい機能を選び、そこからまず練習すること。

そして伝える必然性をつくって、やる気になってもらうこと。

他界した父の最初のモチベーションは孫と連絡を取ることでした。

昔好きだった人と話したい、趣味のサークルで連絡を取りたい、なんでもいいのですが、「連絡取りたい!」と駆り立てられる衝動が前にぶらさがっていると上達の速度がぎゅんとあがります。

そして元々携帯メールを使いこなしていたら、移行期間のダブル持ちも必要。また思い切って変えないという手もあります。

とにかく大事なのは「どんなときでも思いを伝えられる術を持っている」こと。

若い世代にとって当たり前の機能でも、今の戦中生まれの高齢者にとっては初めての経験。

これから世の中から離れる準備をしていく高齢者にとって、いつでも思いを伝えられるというのは、とてもありがたい大切な機能なのです。どうかそこをあきらめず、できるだけ早いうちからご家族で取り組んでみてください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?