睡眠と勤務間インターバル
厚生労働省が、睡眠時間に関するガイドラインを取りまとめたとのニュースが昨日報道されていました。厚労省のホームページには「健康づくりのための睡眠ガイド2023 (案)」が掲載されています。(案)なので、のちに整理されたものが正式なものとして公表されると思いますが、高齢者や子どもなど年代別に推奨する睡眠時間が示されており、なかなか興味深いものでした。
厚労省「健康づくりのための睡眠ガイド2023 (案)」
「ガイド案」では「個人差等をふまえつつ日常的に質・量ともに十分な睡眠時間を確保し、心身の健康を保持する」と全体の方向性を示したうえで、成人は個人差はあることを前提に6時間以上を推奨。同時に、睡眠休養感を高めることとされています。
読みながらいろいろ振り返ってみると、もうずいぶん以前の話ですが、私の最初の就職先のことを真っ先に思い出しました。
残業時間は平均でだいたい90時間以上。就労後の研修もあったのであわせるともっとあったかもしれません。帰宅が深夜に及ぶこともしばしばで、翌朝も7時前に出勤ということもあり、睡眠時間は4時間余りという毎日でした。1年半でほぼ体を壊し退職。
また、直近の仕事は16年間しましたが、仕事そのものが不規則だったので、睡眠時間もばらばら。睡眠時間はだいたい4~5時間でときどき7~8時間睡眠するという日々でした。途中に大きな病気を患いましたが、治っても生活は変わらなかったので、結果として体を壊してしまいました。
睡眠時間の改善効果を実感
今の仕事に変わり、生活が大きく変化し時間の融通が利くようになりました。おかげで、睡眠時間が7時間以上とれるようになり、何より最近では前日の疲れを感じなくなったのはとても良かったと思います。
残業もあまりなく、勤務間インターバルでみると12時間は確保できています。
仕事が変わってから半年以上たちますが、体調がずいぶんよくなっています。睡眠の量・質ともによくなっていることが、身体にもいい効果をもたらしていることを実感しています。
少ない労働世代の睡眠時間
「ガイド(案)」に話を戻します。
令和元年の「国民健康、栄養調査」の結果として、「労働世代である20〜59歳の各世代において、睡眠時間が6時間未満の人が約35〜50%を占めており、睡眠時間が5時間未満の人に限定しても約5〜12%と高率です」と書かれています。理由はいろいろでしょうが、相当身体に負荷のかかっている方がとても多いという印象です。
勤務間インターバルと「快適な職場環境の形成」
このニュースでふと頭に思い浮かんだのが「勤務間インターバル」。
厚労省の助成金サイトでは、支給対象となる取り組みとして『事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着を図ること』とされています。
仮に9時間の勤務間インターバルを設定した場合、通勤時間や食事、家事の時間や睡眠以外の休息時間を考えると、6時間の睡眠を確保しようと思えば残りは3時間しかありません。これで満足な睡眠の質が確保できるのか?と疑問を感じます。もう少し時間がほしいところです。
単純に考えると、数時間の残業となってしまいます。とてもスムーズな睡眠にはつながらない可能性が高いのでは?と感じます。
より長い「勤務間インターバル」を確保することが、生産性の向上にもつながるのではないでしょうか。
企業の労働者に対する“働かせ方”改革は、もっと進めていく必要があります。そうしないと、生産性すら上がらず、労働者の使い捨てにもつながります。労使ともに、「快適な職場環境の形成」をすすめるためにも労働時間の改善は何より大事だと思います。
「十分な睡眠時間が健康維持に重要」
厚労省の「ガイド(案)」には「脳波を用いた厳密な睡眠時間と床上時間を調査した研究では、40歳から64歳までの成人では、睡眠時間が短くなるにつれて総死亡率が増加することが明確に示されました。この世代は、睡眠不足傾向が顕著であり、十分な睡眠時間の確保が健康維持に重要と考えられます」とありました。
自分の経験からも、本当に納得しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。