忘れられない、消えない

息苦しくて

まるで

呼吸してる気がしなくて

叫びたいのに

声が出なくて

心の中で

何度も言った

[お願いします]

そして

[もう止めて下さい]



[ごめんなさい]

逃げたくて

でも逃げられなくて

体は動かなくて

生きてるのに

[怖い]って事以外

痛みも感情もない

追われてるのに

逃げられるのに

どうしてそこに居たのだろう

大切な人だったから

守ってくれる筈の人だったから

[すぐに終わる]

[今だけ]

[きっと大丈夫]

そんな

どこからきてるのか

分からない

希望が

そんな

意味のわからない

信頼が

しがみつきたかった

信じたい気持ちが

少しでも

残っていたからかな

でも

たぶん違う

目に映る

光景が

表情が

耳に響く

声が

信じられなかったんだ

だから

全部終わったら

[ごめんね、嘘だよ]

って

笑顔で

抱きしめてほしかった

その言葉が

その笑顔が

…たとえ嘘でも。


[夢だよ]

って

誰かに

体を揺さぶられて

起こされたかった

何が起こっているのかさえ

全然分からなかった

全く知らない人が

目の前で

自分を掴んでいる気がした

まるで体から

心が抜け出している様で

何故か

第三者みたいな場所から

それを見てる自分

恐ろしい程に

冷静で

助けたくて

悲しくて

悔しくて

心細くて

だけど涙も出なくて

その反面

[バカじゃなぃの]

って自分を嘲笑う自分が

もう解らなくて

心は締め付けられても

頭は酷く冷静で

そんな自分が

イチバン

怖かったのかもしれない

その瞬間の自分に

[理解する]

なんて努力は到底無理で

[理解しようなんてしない]

事しか出来なかった

したくなかった

そうする事が

イチバン、ラクだった

[何も無かった事にする]のが

イチバン、ラクだった

[すべて私のせい]だ

と思う事しか無かった

それ以外

見えなかった

見たくなかった

知りたく無かった



それでも

自分が生きる事には

貪欲で

我が儘で

勝手で

自分が消えてしまう事より

自分以外の人が

皆消えてしまえばいいのに

と思った

あの瞬間

何よりも

思い出したくなかった

あの瞬間

世界は

そこしかない様な気がした

そこに居る

自分達以外は

存在しない気がした

あの瞬間

助けて欲しいと

願った

あの一瞬に

私の頭によぎった

大切な人の顔

あの瞬間感じられなかった

[未来の自分]

今、現在の自分にとって

何に代えても守りたい

愛する人の顔

それが無かったら

救われずに

終わっていたかもしれない


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