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8日目:運動会の一日。終えて気づいたことは、"つくる人にとって、心地よいものをつくるのがいい"ということ。

10月18日日曜日。

おはようございます。こめ氏の起床時刻、午前5時30分。早(笑)

どんだけ気合い入ってん(笑) 遠足が楽しみすぎて早く起きちゃった小学生か、と突っ込まれそうなほど早い時間に、寒くてうめきながら布団から這い上がって、いそいそと準備を始めます。

待ちに待った運動会、ついに当日を迎えました。

…とは言ったものの、本当はこの投稿をするかしないか少し迷っていました。
というのも、世間は言わずと知れたコロナ禍。
こんな内容こんなときにどうなのだろう…と思い若干気にしておりますが、
それでもここまで追って記事を書いてきたので、記録として残そうと思います。

運動会開催にあたり「こんな状況なのにやるの?」という声があちこちから上がることは半ば予想されました。

毎年恒例のずっと続いてきた『ふれあい運動会』。
高齢者にとっての健康促進につながる事業でもあり、この地域が一年で一番盛り上がる一大行事でもある。

そもそもこんな山の中で運動会なんてできるの?と思う人は多いと思うのだけど、4日目の投稿でも書いたように、当日は市街からたくさんの人がやってくるのです。
すると総勢400人くらいになって、小中学校と変わらないような大きさの規模で本格的な運動会に。

なぜそんなに人がやって来て盛り上がるのかというと、大保木の運動会にはマッチング企業といって、運動会の運営を手伝ってくれる企業を誘致する仕組みがある。これには大保木と街・企業の人の交流を図る狙いもあるそうだ。

手伝ってもらいつつ競技にも出てもらい、最後は大保木VS各企業というレースを行う。そこで足の速い若手が走るので盛り上がるという。

去年は大保木の若者が企業チームと接戦になり、最後はこちらが先にゴールテープを切って見事優勝するという華々しい結果を残したという。
なんと、ふれあい運動会始まって、初の大保木優勝だったとのこと。主事さんは泣いたそうな。
…なんとも盛大かつ熱気溢れる会場だったのだろうなと想像する…。

が、今年はコロナでさすがに人が大集合したらまずいので、
7月に一度、大保木地区に住む住民の多くが揃って運動会開催について話し合い、世間の様子を見ながら開催を慎重に決めていこう、なるべく開催できるように規模や形式を考えていこう、ということになりました。

もちろん、みんながみんな賛成したわけではありませんでした。
こんなときはやめておいたらいいのに。そんな声も聞こえました。

ただ、運動会に関わる多くの人に、
こんなときでも、こんなときだからこそ、この土地柄できる範囲で、なんとか行事を潰さずに実行していきたいという想いがありました。

こんな田舎にイベントごとがなくなってしまうと、高齢である皆の拠り所がなくなってしまう。ただでさえ、すぐそばに寄る辺もないような山奥に住んでいるので、この状況では一層、人との距離ができてしまう。
そう思う私がいたこともあって、私自身も運動会が無事に開催できたらなと思っていました。

その後、田舎だからこそ、人がそこまで多くはないわけだし、せめてこの大保木と周辺の日ごろ関わり合いのある人たちだけの参加にして、小規模で実行しようと方向性は決まり、マッチングを無しにするなど以前のやり方を改め、先日開催するに至ったのです。

今日の天気は晴れ。これから日も出るだろうし、動き回って熱くなるのもわかってるけど、それでもこの時期の朝方は寒くて厚着してしまう。家も車も暖房つけます。
今日は昨日の反省を生かして、機敏に動いていくぞい。

集合の7:30に公民館へ行くと、まだまだ人はまだら。
文化祭会場を示す紙を講堂に貼って戻る頃には、外はもう大保木の人々がわんさか集まって準備を進めておりました。

昨日は雨だったので、机と椅子運びやテント張りは当日になりました。御年75歳を超える皆さん、率先してテキパキ動いていきます。

本当に動きが素早いんです。無駄なくパパっと手を動かし脚を動かし…写真じゃ伝わらんのがかなしい。

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8:30を過ぎると、受付は人で溢れ、会場が賑わってきました。
入場する際には、まず体温を測り問題なければ、入場時刻、名前、住所、来歴、体調など、用紙にしっかり記入してもらい、マスクと消毒をし、感染症対策をきちんと行ったうえで、来場者をきちんと把握するようにしました。

時刻は9:00。開会式が始まりました。
大保木地区で暮らす人、大保木出身の人、日ごろから大保木と付き合いのある人、少しですが、そうした人々の親戚や知り合いも集まりました。

まずはラジオ体操を、続いて大会長として神野顕彰(じんの けんしょう)さんがあいさつを行いました。

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顕彰さんは極楽寺という寺の館長であり、本業は僧侶なのだけど、大保木で行う各行事のほとんどの代表を務められています。これからもここに何度も登場することでしょう。

さて、開会式の後は、いよいよ競技がスタート。

ボールを高く蹴り上げ相手がキャッチしたら一緒に走ってゴールする「天高く」、

一つの大きなスカートの中に二人で入って、コーンを回って帰ってくる「二人は仲良し」

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風船を椅子の上に置いて、上から座って風船を割る「けつあつ測定」
…尻(けつ)の圧で行う競技なので、「けつあつ」と名付けているのだとわかったときは、笑った(笑) ネーミングセンスあると思う。

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などなど名前からでは想像のつきにくい競技が順々に行われていきます。

それから「ボール送り」。前から後ろの人に上からボールを渡し、一番最後の人が列の一番前に移動して、またボールを送り…を繰り返すという、よく知られているであろうゲーム。

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それから「パン食い競争」。年齢的に、走るだけだったら、そんなに速さは変わらないのだけど、パンをくわえるというミッションがあると、そこで差が出てくる。
どのパンにしよっかなあ、なんて選んでいる暇はありません。皆さん、必死でパンに食らいついていきます。

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「うちわでボール運び」という競技は、その名のごとく、うちわの上にボールを乗せて運んでいきます。これがなかなか難しいみたいで、バランスを崩してボールを落とす人もぼちぼち。

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ところで、こめ氏は一番最後のリレーとやらに出場しました。
いやあ、こりゃ、けっこうしんどい(笑)

グラウンドには一周が100メートルになっているトラックが一つあり、そこをぐるっと回るのだけど、走っているときやその日はとくに問題はなかった。が、翌日。

ものすごい筋肉痛になった。痛い。太ももが腫れたようにじんじんする。足を伸ばすと、いたたたた…声を上げずにはいられない。
完全に運動不足だった。多分、参加した高齢者の皆さんより身体疲労した。普段からろくに運動していないことがよくわかった。
というか、そもそも突然全力で走り出すからだと思う。

年齢混合のリレーだったので、最初若者が走ってリードするチームがあっても、後に高齢者が走ると結果が全く読めなくなる。頑張って追い越しても後半にはつながらないので特に意味がない(笑) それがまた面白いな。

結果的にアンカーが走り始めたときは黄色チームが一等だったのだけど、ラスト50mを切ったところで白色チームが追い越して優勝した。最後の最後まで何が起こるかわからない。ある意味、高齢者はミラクルを起こすのだ。

閉会式のあとは、恒例の抽選会。
こめ氏は擦りもしなかったが、当選した人のなかには地元の高校生の姿もありました。景品は大保木の人がつくったかずら細工作品。

見た瞬間、いいなあと。
山のものを街の人がもらっていくというのがすごくいいなあって。
山の恵みを地元の人が生かして手掛けたものを、街の若者が受けとっていく様には、文化の受け継がれていく感じやつながりが生まれていく感じがしました。

こういう、この土地だからこそ用意できる品が賞品になってるって素敵。
お酒の缶はアサヒだったので、その点は愛媛にビール工場があるからそこを考慮してだと思うし、二等の一升瓶は「石鎚」で地元の銘柄だったのだけど、それでもどこでも買えるものだ。

ここならではの品を送りたいと思うし、これからはそういう品をもっと増やしていけたらなと思う。

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今回は自粛開催のため、いつもなら午後からも競技をするところを、午前中のみの開催にし、参加者全員へのお昼の提供も無しに。

そのため昼過ぎにはもう片付けを終えて、スタッフは軽い昼食を取りました。

前日準備の時にもクリ子さんや貞子さんという生粋の大保木出身在住のおばあちゃんたちがつくってくれたカレーをいただき、今日もいただ…く予定だったのだけども、
男性陣が食べちゃったので、女性陣は急遽コメを炊いておむすびをいただきます。

あられなんかのお菓子も一緒に食べて、今日の運動会のお疲れ会という感じで、みんなが思い思いのことをしゃべり、互いを労い合いました。

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今日の運動会に対しての大保木住民の感想としては、
正直、このくらいがちょうどいい、ということでした。

例年、マッチング企業があり賑やかだったけれど、企業が来ると終わった後の打ち上げ(飲み会)のお接待が非常に煩わしく大変なんだという。
こちらは、もてなしてばかりで楽しむ暇はないし、片付けが終わると地元民の大半は帰ってしまうという。

「今までの運動会のなかで、今日が一番楽しかった」
ある方が自然な笑顔で一言。
そうだよね、私もそうよ、と共感する人続出。

マッチングがなくても住民だけでも準備も競技もできるし、今回みたいにこの地域の人たちだけで集まってゆるっと飲み食いする方が楽だし、いいよね。
大保木でやってるんだから、大保木の人に負担にならずに、そしてどこの誰より関わる自分たちが楽しめる運動会の方がいいよね。
昼過ぎまでやると疲れるし、面倒なことはやらずに自分たちのできる範囲で考えてつくってわいわい楽しくやったらいいね。

皆、口々にそのような感じのことを言い合って、来年もまた今回とおんなじ感じでいこうよという雰囲気に。

私もそう思う。
なんだかんだ言ったって、作り手の皆さんが、一番心地よくいられるものが一番いいに決まってる。

コロナのおかげで大保木にも一つ、よい気づきがあったようです。


以上、とっても長くて濃い、今日の大保木でした。
筋肉痛で21日まで動けなくなっていた人より。

広報活動や事業づくりなど、これからの大保木を盛り上げるために使っていきます。