26日目:田舎ならではの賑わいとつながり
2月25日木曜日。
昼過ぎへ公民館へ顔を出すと、今日は13時から確定申告とマイナンバーカード発行の手続き会場となっていました。
限界集落でも、そんな手続きできるんだなぁ。便利だなあ、と思いました。
大保木で暮らす人々は、元気だけれども年相応に足腰に衰えを感じている人がほとんどなので、こうして公民館まで役所の方に出向いていただけると大変助かるようです。
13時を過ぎた瞬間、人がわらわらとやってきました。
そう遅くないうちに、女房の手続きを待ちよるんじゃと言う人や、手続きしたら5000円分ポイントもらえるって聞いたけどもあれはどういうことじゃと周りに聞く人などなどで事務所は人で溢れだし、廊下は人と人が行き交い、そのたびに世間話の一つを交わし、またそこに誰かが合流し…という具合で、廊下は廊下で大混雑に。
おう、大して広くない空間に何人もの人が動いております。
私は事務所に付き添いで来た方とあれこれ会話をしていました。
今どこに住んでるん?ちゃんと住めてるん?家賃いくらなん?山に住みたいとか思わん?
などなどいろいろお家のことについて聞かれました。
私は西条市に住まいを移そうと決めてから、家がなかなか決まらない期間があったので、それを知っている方の多くは住まいの心配をしてくださいます。
気にかけていただいてありがたいなあと思う一方、心配させてしまって申し訳ないような気もします。
家のことを説明するとき、別の方が会話に加わり「○○さんの家、どこか知っとる?」「ああ」「あのすぐ近くの家でね…」という会話があり、そこで「ああ、そうなん~」と場所をだいたい理解したご様子でした。
そのときは何も思わなかったのだけれども、在住のみならず、出身やゆかりあって大保木に関わる人たちの家でも、大保木にいる方々にはけっこう知られているのだなあ、と思いました。
私の住んでる家もだいたい、というかほぼ認知されているって…なんだかすごいなあ。
これって、本当に田舎ならではだなあと思います。
これまでに、とある島に計2,3週間ほど滞在していたことがあったけれど、「○○港の近くの■■店ってあるじゃないですか」「ああ、ありますね。そこよく行きますよ」「そこのすぐわきで…」「え、そうなんですか!そしたら…」みたいな会話になるのを聞くことがありました。
あまり聞こえはよくないけれども、島という地がすでに閉鎖的な空間で、そこだけでみたらコミュニティは限定されがちなもの。けれど、言い方を変えれば、島にあるもの・ある場所・いる人は、島にいる人の大方みんなが知っていて、だいたい共通言語になり得る。もちろんそれにはメリットのみならずデメリットとなることも時としてある。けれどもよい点をみれば、それゆえに人と人の距離が近くなる。
大保木のような限界集落も同じく、そこにいる誰もが何かしらの関係性を持ってつながっている。
このカードは使えないって言われてねぇと口にする人、忘れ物してまた取りに行くの面倒やから後で街で申告するわと言う人、手続きに必要な書類が届かなくて役所に電話したらなあ…と手続きに至るまでを話す人などなど、
公民館はいろんな人のいろんな会話、そこに生まれる感情や疑問や笑いで、いよいよ賑やかになってきました。
あっという間に手続き終了時刻になりました。
この2時間、マイナンバーの事務手続きをやっていた方は、主に1人だったそうで…大変だったのではないかなあと思います。
聞けば、大保木ってこんなたくさん来られるんですね、すごいですね、と言ったこともおっしゃっていたそうな。
私はその言葉の言外には、まさかそんなに人が手続きに来られるなんて、という言葉があるように感じました。
それを悟ったのか、ある方が「山を舐めたらあかんよ」と笑いながら声をかけていました。
人口150人程度のこの集落で、こんな短時間にわいわいと人が押し寄せてくるなんて、全然来たことのない人には想像できないかもしれないなあ(笑)
*
この時期、公民館のグラウンドには、しだれ梅が咲いておりました。山の緑が背景にあるとは言え、普段これといって何もない場所に、ピンクが一際目立っています。
すごい、綺麗。ここで写真取ったら、自分も華やかに映るかも…!?(笑)なんて思いながら、花のすぐそばでパシャリ。
もうすぐ満開になるそうです。
以上、今日の大保木でした!
大保木住民の活発さを改めて認識した人より
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