GHOST(えいむ)

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意欲作! 『しかのこ』と「日常系」の違いについて考察してみた

はじめに 『しかのこのこのこしたんたん』は、いわゆる「日常系」とも異なる、独自の魅力を備えた作品なのか?  誰もが一度は抱いたことがあるであろうこの疑問に「Yes」と答えることは一見難しくない。第一に、「ギャグ」というトピックがある。『しかのこ』は破天荒なギャグを題材とした作品であり、「日常」にフォーカスを当てる日常系とは異なっていると。また第二に、これは作者のディスコグラフィーからも裏付けられるように思われる。作者・おしおしお氏は元々、日常系の宝庫である「まんがタイム

    • 24/09/20 自動筆記

      蜜柑の夢を信じたことがない。 私は不安に襲われている。自宅に帰っても、全てのスペースを使うことができない。鬼。鬼のような母親の顔が浮かんでくる。なんたる精神分析!私はこの解釈に抵抗したい。 全ての解像度が落ちている。犬や家、自動車に至るまで。よくよく見ると操作可能なのだが、それはシミュレーションの上で操作が可能であるという気が私の心の中にある。 影が部屋に入ってくる。あなたは笑っていて、影越しにもそれを伺うことができる。私は傘を立てかけたところに座っていて、雨漏り、いや

      • 『しかのこのこのここしたんたん』とはいったい何なのか——中間考察

        はじめに 『しかのこのこのここしたんたん』で、私たちは一体何を見せられているのだろうか。ここでは論点を絞って、簡単に考察していくことにしよう。なお、筆者は単行本は未読であるため、その点はご容赦願いたい。 日常系(きらら系)との緊張関係について まず、おそらくは視聴者の多くが抱く疑問として、「しかのこは日常系(きらら系)か?」というのが論点として挙げられるだろう。確かに女の子がたくさん登場し、ある意味平和なやり取りが繰り広げられるという意味では日常系に近い。しかし他方で

        • どこでもいい土地のなんでもないホテル——「陰キャが生成変化」するには?

          はじめに——「ヒト」の無限の不在、「モノ」の無限の不在 「いつもとは違う場所へ自分探しの旅に出かけても、そこで発見するのはいつもと変わらない自分だ」とよく言われる。では、「いつもと同じような場所に出かければ、そこで生まれるのはいつもとは違う自分」になるのではないか?そんな混乱したことを考えながら小旅行によく出かける。 風光明媚ではない場所がいい。とはいえ寂れた土地のような、それはそれである種の美学に貫かれた場所でもないところがいい。変わった風景だと、それを眺める「自分」

          共通ルートの午後へ!〜やったことない美少女ゲームのOPEDを聴くのは如何なる体験か考えてみた〜

          はじめに:幽霊性について 美少女ゲームのOP・ED曲を聴くのを趣味にしている。曲と言っても色々だが、特に「まどそふと」のそれのようなポップで明るい曲が好きだ。こんな曲(2曲目)。聴いてもらえると分かると思うが、独特の感慨が湧いてくる。確かにノレるのだが、どこか白々しいような……。そしてそうした感想は、キャラクターやひいてはそれを見ている自分にまで転写される。キャラクターも、自分も、幽霊に思えてくるのだ。どういうことか。 まずはキャラクターについて。この目の前に映るキャ

          共通ルートの午後へ!〜やったことない美少女ゲームのOPEDを聴くのは如何なる体験か考えてみた〜