【詩】汚泥の花

布団の中だけが安全なんて嘘だ 
本当の敵は身体の中にいるから
人間はみんなゴミなんて嘘だ 
気分が良くなったらそうは思わないんだろ
やっぱり他人はどうでもよくて 
この世界に人間は僕一人だけ

それでも僕は その人間に救いを求める
「今までよく頑張ったね」って言ってくれないか
「もう頑張らなくていいよ」って言ってくれないか
そう求める心はどこでも綺麗にデフォルメされる
そんなわけない 粘着性の高い黒い心だ
まるで埃と生ゴミとペットボトルにまみれたこの部屋みたいだ
こんな場所じゃ花は咲かない



洗っていないシーツに何度も染みついた涙
そこに溜まった朽葉色の沼に 
僕はゆっくりと飲み込まれていく
涙すらも干からびて 喪失だけの世界へと
大切なものが少しずつ崩れていくのがわかる
歪んでいく 消えていく

夢の中の僕が 線路の前で立ちすくんでいる
あれほど死にたがっていたのに 
いざ目の前にすると怖くてたまらない
これが僕の本性だ 中身が空っぽのただの怖がりだ
何かが芽生えた音がした 
でも誰もそれを花とは認めないだろう


目覚めたときには朝は終わっている
また今日も生きてしまった 
遠くで家に帰る子供たちの声が聞こえる
僕だって君たちみたいに生きたかった 
そうして始める妄想
クラスで1番嫌いだったあいつに僕の凄さを思い知らせてやりたい
好きだったあの人にどこまでも求められたい
鏡を見てごらん きっと悪役の顔をしているよ

孤独から来る思い込みと勘違いで 
少しずつ異常になっていく
「僕は馬鹿ですから」と自虐する 
その目は全人類を見下してる
ふとした瞬間に妄想の糸は切れて 現実に戻される
その落差で首を絞められる 
誰も悪くないのに被害者ヅラをする
ただ生きるだけでも難しいのに 
どうして上手く生きようとしてしまうのだろう
散った花びらが踏み潰され泥にまみれる
こうなるとわかっているなら 
もう二度と咲かなければいいのに


やらなければならないこと わかってる
今すぐやったほうがいいこと わかってる
やらなければ後悔すること わかってる
それでも身体は動かない 動きたくない
意志の弱さだ甘えだと自分を責める

ずっと漠然と悲しくて
理由もわからぬまま涙が出る
花は咲かない 涙だけじゃ咲かない
咲いたとしても僕が認めない 
僕は金木犀がよかった
これでいいと思っても 
周りがそれを泥と呼ぶ

優しい世界を夢見たはずなのに
見える世界は暗くて黒くて汚れていて
そんな僕には的外れな線しか描けない
真っ白なキャンパスが黒く塗り潰され
描かれたのは化け物みたいな汚泥
それでも僕は花と呼びたい
お願いだから花と呼ばせて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?