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精神病棟で、変なおっさんとデート

前回の精神病院の記事で、評価が少し持ち直しました。ありがとうございます。なので、続編として、精神病院で出会った変なおっさんのことについて書きます。

 

二回目に入院した時には、母親が死んで、落ち込んでいました。その時の入院仲間が、病棟内で、ぼくに「歩く?」と声を掛けてくれて、二人で病棟内をグルグル歩いていました。坊主頭で、かなり抜けていて、愛嬌のある、子どものようなおっさんでした。本人は、病棟の外に出たくて、しょうがないのですが、閉じ込められていて、病棟が二重扉で、スタッフさんでないと、開けられません。なので、外に人が出るときに、脱走を試みていました。スタッフさんも、おっさんのことをマークしていて、人が出るときは、おっさんが扉に近づかないように、見張っていました。

 

おっさんが、外に出られるときは、おっさんのお兄さんが来る時だけで、たまに本当に来るのですが、いつも、ぼくを含めた周りの人に、「今日、お兄さん来たよ。そっくりでしょ?」と言っていました。お兄さんは、おっさんと双子で、確かに、よく似ていました。お兄さんが来た後、どこに行ってきたんですか?、と尋ねると、寿司食ってきた、と答えるので、ぼくも人が悪いんですけど、どこの寿司屋ですか?と尋ねると、決まって、魚代、と答えていました。魚代なんてお店は、病院の近くには、ないんですけどね。あと、お兄さんは、コンビニの店長で、お金持ちとも、言っていました。なんでも、自分はどこも悪くないのに、お兄さんがお金持ちだから金巻き上げられているとか。

 

おっさんは、オムツを履いていて、オムツのままお風呂に入るから、スタッフさんを呼んだんですけど、スタッフさんは、おっさんは、介助浴なのに、自立浴の日に入っちゃダメ!と仰っていました。

 

病棟生活は、大部分は退屈な時間で、食事が唯一の楽しみでしたね。本読むのに疲れるとおっさんとの病棟内デートに勤しんでおりました。でも、休息をとるのには、退屈な時間も必要です。貴方も、いま持っているスマホから、ちょっと目を離して見ては?



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