Money - 3:国の借金なんてない
前回、お金は銀行の貸し出す借金によってじゃぶじゃぶ作れる(笑)ってことを学びました。わたしはこの事実に一番驚きました。みなさんはどうでしょうか?
おさらいをしますが、お金は誰かの借金によって生まれています。つまり、仮に全ての借金を返済してしまったら、世の中からお金が全くなくなってしまうということでもあります。
お金は「使ったらなくなる」のではなく、お金は「返済したらなくなる」のです。ここが政治家を含めほとんどの人(わたしもですが…)が間違い続けている「貨幣観」です。
お金はいくら使ってもなくなりません。借貸です。誰かの赤字は誰かの黒字です。右から左に流れるだけです。ただ、世の中に生産されるモノやサービスを健全に運用するためには、それに対するお金の量(マネーストック)が確保されている必要があります。つまり、誰かがそれに相当する借金をし続けなければならないシステムであるということです。
では政府の借金はどうか?
もちろん、政府の借金であれ同じです。いま政府の借金は1000兆円ほどに膨らんでいるようですが、これを全部返済したら世の中に発行されていたお金がごっそりなくなってしまうということです。わたしたちの持っているお金はほぼゼロになってしまうでしょう。信じられないかも知れませんが、今の貨幣創造のしくみにおいてはそもそも政府は借金を返してはいけないのです。ここで、はじめの章の話に戻りますが、デフレが続く状況のいまは、むしろ積極的にお金を増やす(=借金をする)ことで、実体価値とのバランスを維持しなければなりません。
平たく言えば、現代の政府にとっての借金(自国通貨建ての国債)とは「お金の量を確保する」ということでしかありません。借金によって発行されたお金は政府の支出という形で民間の支払いに流れてゆくので、それを増やせば国民の黒字がふえるし減らせば国民の赤字がふえるというとです。
じゃ、政府は国債をたくさん発行して借金をしまくればいいのか?というと、理論上は可能かもしれませんが実質はそうではありません。それは一番最初の章で話したように、インフレとデフレのバランスが関係します。人が生産するモノやサービスとバランスさせる必要があるからです。
経済力が強化され生み出す実体価値の量が増えれば、それに応じてお金=国債の発行上限は上がるでしょう。しかし、そうでなければ逆に課税するなどして発行量を抑えるべきということになります。
次回は、政府の無駄遣いというキーワードで、これまでのおさらいととして中間テストをしてみたいと思います。