⑱次男が20歳になり、「親権」から解放されたものの長男と次男の間にできた亀裂
子どもを育てている親が離婚した場合、直面する問題が「親権」です。海外では「共同親権」といって父親と母親の「双方」が親権を持ちますが、日本は「単独親権」といって「どちらかの親」にしか認められていません。これは子どもが成人するまで続きます。
その子を産んだ母親自身であっても、必ず親権が取れるとは限りません。父親側が親権を獲得し、子どもと同居することになったとします。「別居親である母親が自分の子どもに会えるかどうか」は同居親である父親次第。同居している親が子どもと会わせることを拒否すれば、我が子には会えません。これは母親と子どもが同居していて、父親が別居している場合も同じです。
私が離婚したときは、親権を持ったのは元夫でした。これにより、私は法的にその子どもの母親ではなくなります。
私が自分のお腹を痛めて産んだことは事実です。
けれども、「母ではない。」なんとも理不尽な法律だと思いませんか。
長男と長女は、元夫のところから家出をして、私と一緒に暮らしています。
次男は、元夫の新しい家族と一緒に暮らしています。
離婚して2年目、次男が5歳頃のことです。突然に、元夫の意向で次男に会わせてもらえなくなりました。
約11年後、次男が16歳のときに再会してからは、ごくたまに私の家に来て一緒に食事をするようになりました。
[⑮11年かかって次男と再会~今までごめんねへの返事が「もう時効だよ」]
しかし、こういう形で次男とコミュニケーションを取っていることは、父親と継母には内緒にしていました。
ある日、次男が私の家でご飯を食べてゆっくりしているときのことです。長男が次男に対して「もう、ここには来るなっ!」と声を荒げて、次男に説教をしはじめました。
次男はむこうの家で、父親・継母とほとんど話をせず、反抗的で自由奔放な態度をとっているようでした。そういう状態でしたから、継母は次男の扱いに苦労したようです。いちいち長男に連絡してきては、次男のことを相談していました。
次男が反抗的な理由について、継母は「離れた母親と次男が隠れて会っているからにちがいない」と疑いを持ち、何度も長男に尋ねたそうです。長男は、私と次男が会っていることを知られると揉め事が起こると察して、「会っていないと思う」という返事を繰り返してごまかしていました。
長男は継母に本当のことを言っていないわけですから、バレた時の自分の立場を考えると苦しかったようです。
嘘をつく罪悪感や、長男としての責任感や使命感、弟妹を守りたい気持ち、さまざまな感情が噴き出したのでしょう。
「今後一切こっちには来るな」と、次男を厳しく責め続けます。
そのとき長女は、幼い弟をかばって泣きながら兄を説得しようとしますが、長男は聞く耳を持ちませんでした。
最終的に、私の話も聞き入れることなく、次男を力ずくで家から追い出してしまいました。
その日から次男は、兄の様子を伺いながら私に連絡はくれるものの、パッタリと、家には遊びに来なくなってしまいました。
それから2~3年の月日が流れ、次男が20歳を迎えました。法的にも成人です。
かねてから、長男は「(次男が)20歳になったら、あいつが何をしたってもう自己責任だから自由だろ。好きにすればいい。」と話していました。
そのことを次男に話した上で、こちらの家にご飯を食べに来ないかと誘ったところ、次男が家に来てくれました。
その日は長男も家にいました。部屋にいる長男に挨拶するよう次男に促しましたが、「いや、いい。やめとく。」と断られました・・・
昔、兄に強く叱られたことがまだ尾を引いているようでした。
以前、次男は長男のことが大好きであんなに慕っていたのに、いまでは次男はなるべく長男と話をしないよう避けるようになってしまいました。
元夫と継母が私と次男を会わせないようにしていたことの弊害が、めぐりめぐって長男と次男との間の亀裂を生んでしまったのです。
「はざまに置かれた子ども」への影響は、こんなところにも出てきてしまうことを身をもって体験し、子どもたちに申し訳ない気持ちです。
これから丁寧に時間をかけて関係を修復していきます。
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