読書記録『エンド・オブ・ライフ』
「一万円選書」で選んでいただいた10冊のうちの1冊。
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書籍紹介
作品の感想
泣きながら読みました。
誰かが亡くなることが初めからわかっているものは、小説でも映画でもドラマでもとてもツラいです。
ここに登場する患者さんたちは、大変な病を抱え、人生の最期を迎えようとしています。それでも懸命に命を燃やそうとする人、必ず治ると信じて戦う人、静かに身を任せる人、運命を受け入れられず壊れてしまう人、当然のことながら、迫りくる「死」との向き合い方はさまざまです。
ノンフィクション小説ですから、これらは実際に起こったことで、2013年時点で彼らは確かに生きていたのです。
患者さんを支える家族や医療関係者の覚悟や葛藤、複雑な感情がリアルに表現されており、胸がつまる思いがします。
もし自分だったら、どうなるだろう。どうしたいだろう。
家族や大切な人が宣告されたら、支えきれるだろうか。
そんなことを考えずにはいられない作品でした。
この記事を書いているだけでも思い出して涙が出てしまいます。
看護師から患者へ
京都の訪問医療の現場と著者の両親の暮らす家を舞台に、「6年前」と「現在」を行ったり来たりしながら、終末医療のあり方を描いています。
この物語の大きな軸となるのが、渡辺西賀茂診療所とここで訪問看護師として働く森山さん。彼らが患者さんとどのように接していたか、また「現在」病を得た森山さんの自分自身との向き合い方にフォーカスしたドキュメンタリーになっています。
自らの病を知らされた森山さんの心情が表された場面です。
泣き崩れるでも、激高するでもなく、世界が止まってしまったかのようにすべてがセピア色になる。受け止めきれないことが起きると人はこうなるのか、と感じさせられました。
この日を境に、森山さんはがんと対話していくことになります。
命を燃やす
自分の命が今日で燃え尽きるかもしれなくても、確固たる意志を持ってひとつひとつ望みを叶えていく女性の強さと美しさ。その姿によって逆に周りが励まされ勇気が湧いてくるのです。
また、別の患者さんが息を引き取ったときのこと。
この方もまた命を燃やし尽くした人でした。大好きなディズニーランドに出かけ、魔法にかかったように夢の国のすべてに目を輝かせて、家族とのひとときを魂に刻み込む。その後入院することになっても最後の最後まで笑みを絶やさず、大切な人たちに囲まれて命を閉じます。
この物語のテーマが「命の閉じ方のレッスン」です。
重美さんや敬子さん、その他の先に旅立っていった人たちの、それぞれにやりたいことをやり尽くす姿が、「6年後」病を得ることになる森山さんの学びの種となっていきます。
命の閉じ方
がんの言い分を聞いて、体が喜ぶことをすればきっと治ると信じていた森山さんも、だんだんと自分の最期を受け入れるようになっていきます。そして、「一番いい日」を選んで旅立っていくのでした。
看取りのプロとして数々の旅立ちに立ち会ってきた者から、その後に続く者への命の閉じ方のレッスン。こうやって誰かの想いは人から人へ確実に受け継がれていく。人は2度死ぬとよく言われます。1度目は肉体が滅びる時。2度目は人々の記憶から消え去る時。彼らのように命を燃やし尽くした人々は、その「生と死」を目の当たりにした誰かの記憶に刻まれ、影響を与え、形を変えてどこまでもつながる。そういう意味では、彼らの存在が喪われることはないのかもしれません。
自分ならどうしたいか
想像してみようとしましたが、実際にその時が来なければきっとわかりません。
ただ、「エンディングノート」はずっと書いていて、状況が変わるたびに更新しています。
これは、以前がんで若くして亡くなった方と、同じく若くして脳の病気で急逝された方の影響によるところが大きいです。昨日まで話をしていた相手が今日はもういない。とても淋しくて打ちのめされました。人間、いつどうなるかは誰にもわかりませんから、せめて残された人が遺品整理などを進めやすいように、との思いがあります。
ただ引用しただけの記事になりましたね。
読み終わってから10日もたっているというのに、衝撃が強すぎて全然まとまりません。もとより拙い文章がますますとっちらかってしまい、要領を得ないものになってしまいました。申し訳ありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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