あんなロシアから生み出されたジメジメ芸術のアンシェヌマン
ロシアは好感はないですが気になります。
ロシアは恐ろしい国柄ですし、ドイツや日本の民間女性を暴行しながら侵略する気質はいまだに健在でロクでもないのですが、時々ある素晴らしい芸術に気になるのです。
アンドレイ・タルコフスキー監督の映画に、ロシア人の風景を感じます。
「ストーカー」の、ジメジメ湿気漂うロシア風土の中で、未知なる"ゾーン" の他に見ない独特の世界観にゾクゾクします。
「ノスタルジア」は、苦悩する大地で魂を殺していく美しい圧迫感です。
その他、タルコフスキーの作品は、SFでもない幻覚でもない何か象徴するけど説明もない爽快感ゼロなのに美しいのです。
言葉での説明は極力なく、心象風景を映像で見せる映画です。
一方、言葉という文字で風景を想像させる文学、ドストエフスキーの作品です。
個人的にインパクトあった「カラマーゾフの兄弟」。
兄弟で神学論争するシーンで、修道士の弟が地獄を認めてしまう。
現れたキリストに対し、信仰する大審問官が真理を逆に説教するなど、徹底的に神との論争を物語上で繰り広げます。
「罪と罰」も、ソーニャの自己犠牲からの穢れと聖なるものと善悪の葛藤です。
ところで、同じロシア文学でもトルストイは全然面白くないんですよね、私にはただの人間の凡庸なドラマです。私の戯言ですのでお許しを。
そして、なんといっても音楽芸術であるチャイコフスキーなどのロシアバレエです。
バレエの発祥はフランスですが、パリのオペラ座よりもレベルが上ですね。主観です。
マリインスキーのソリストは何処でもトップになれます。コールドが評価されるようですが、コールドなら合わせるの得意な日本も頑張ってます。
やはりワガノワメソッドの、余計なバリエーションなど幼い頃はやらずに、引き上げや重心の関節の乗せ方などを積み上げる底力があります。
ボリショイの重厚さも、閉鎖されたソ連を思わせる気がします。
やはりクラシックの王道の振り付け、プティパなどがロシアバレエに合いますね。
自由な創作発想のダンスなんて西欧諸国の堕落に任せてればいいんです。厳格な規則性の追求されたアンシェヌマンがロシアの息の詰まる感じに合ってます。細部に血を滲ませた所作に凄みがあり、ドンキもパヤデールも眠りも、幻影の世界こそ映えてきます。
ロシア正教の空気感も良いです。
御茶ノ水にニコライ堂があり正教会のですが、イコンや装飾がカトリックのとは違う雰囲気です。
スラブ人の僻みのような、西欧白人の中でも田舎で下の扱い受けているような、土臭い空気感があるんですよね。
ロシアは行ってみたいとは全く思わないし、共感する歴史はありません。
しかし、文学的な陰々とした所や、精神性を描く幽玄な感覚が、日本の気質に合う芸術性が、時々ある気がします。
アメリカンエンターテイメントの真逆です。
そんな芸術を生み出すロシアに、ちょっとだけ気になる話でした。