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SHISHAMOと人生/GRC通信10月号

2018年、夏。

とあるところでたまたま耳にした曲が、なんとなく気になった。
歌詞をいくつか聞き取って調べてみると、それはSHISHAMOの『お菓子作り』だった。

「SHISHAMOって、『明日も』のSHISHAMOか。
興味なかったけど、他どんな曲があるのかな」

……そう思って聴き始めたときには、まさか6年経ってもずっと好きでいるとは夢にも思わなかった。

中学3年から大学生の今まで、人生の大事な局面でずっと支えられてきたSHISHAMO。今回はそんなSHISHAMOの中でも特に思い入れの深い曲について、僕の自分語りとともに思う存分語ります。

×××


お菓子作り


https://youtu.be/qp-iW7ULTw0?si=CseMy9iUWNnWoWbe
この曲に出会わなければ今の僕はない、SHISHAMOを好きになったきっかけの曲。この曲を知ってからというもの、ひたすらSHISHAMOの曲を漁り続けた。

この頃パズルゲームをプレイしながらずーーーっとSHISHAMOを聴いていたので、未だに似たようなゲームをプレイすると頭のどこかでSHISHAMOの音楽が聞こえる気がする。

楽しげなドラムのリズムが好き。

ねぇ、


https://youtu.be/cNcyp6p7ym8?si=aOETgMAcQqt_VPRf
中学生のとき、好きな人とカラオケに行ってこれを歌った。緊張したのと気持ちがこもりすぎたのとで上手く歌えず恥ずかしかったのも、今ではいい思い出。

「変わらなきゃ変えられない」
という歌詞がいちばん好き。恋愛だけでなく全てのことにおいても言えることだなと思い、あの頃は何度も自分にそう言い聞かせていた気がする。

中庭の少女たち


https://youtu.be/CvY8Qj9dgW8?si=OJOVjDlyai3hm6Ab
中学生のとき、同じ部活の同級生7人のことが大好きだった。でも、7人もいれば進路が別々になるのも当然。離れ離れになった先で、果たしてこの縁を繋ぎ続けることができるのかとずっと不安だった。そして、こうやって不安に思っているのは僕だけのような気もして、勝手に寂しくなっていた。
そんなことを直接みんなに言うのはなんとなく気恥ずかしかったから、ただずっと聴いていたのがこの曲だった。

やがて卒業して、僕たちはしばらく会わなかったけど、この夏数年ぶりにみんなで集まった。留年したり転職したり中退したり、みんないろいろあったけれど、元気で笑って会えたから大丈夫だよと、あの頃の自分に伝えたい。
そう思いながら、久しぶりにこの曲を聴いた。

ほら、笑ってる


https://youtu.be/GWlNlWEDjG8?si=DzEfuiBRcOMIAHT1
中学時代は落ち込みがちで、よくひとりで自分はダメだ自分はダメだと繰り返し考えていた。「ほら、笑ってる」には、そんな自分が衝撃を受けた歌詞がある。

「もう痛くなんてないのに 痛いフリしてた」

驚いた。
というか、本当は気づいていたけど目を逸らしていたことに、真っ向から向き合わせられた。

後ろ向きでいるのって、楽だ。
やっているときにその自覚はなくても、同じ傷口を何度もえぐってわざと血を出してみたり、同じことで悩んでうじうじ踏みとどまってみたりするのって、勇気を出す必要がない。走らなくていい。だから、楽なのだ。
……ということにも、たぶん本当は気づいていた。だからこそ落ち込んでばかりいたんだと思う。好き好んで。

でも、そんなみじめで情けない自分もまた、自分自身だというのがこの曲。
だから、必要なときは自分で自分を叱りながらも「だから僕はダメな奴なんだ、いてはいけない存在なんだ」とは思わないでいたいなと思う。
自分を愛するってそういうことなんだろうな。難しい。

なんだか、この曲は歳を経るごとに味わいが深くなってくる気がする。
来年この曲を聴いたとき、僕は何を思うのだろう。何を思い出すのだろう。

OH!


https://youtu.be/g9qRXdSFlEU?si=4x5ilpfJ-cEXOKmm
高校に無事合格して、中学を卒業して、3月後半。母と連れだって高校の説明会に行った日。

説明会が終わったあと、高校に入ってから使う文房具を買いに行こうとショッピングモールに向かった。
高校からショッピングモールに向かう車の中でラジオから流れていたのが、まだリリース前だった『OH!』だった。

希望に満ち溢れた歌詞と明るいメロディーに、これから始まる高校生活へのワクワクが合わさって、なんだその数分がくっきりと記憶に残っている。

ラスサビ前のギターの特徴的なメロディーが好き。

ともだち


https://youtu.be/_8v8w1peeiM?si=6ib2U097TUwSEd3i
地元の友達がインスタのストーリーで使っていて知った。高校時代から好きな曲だったけど、大学進学に伴って無二の親友と離れ離れになってからはより沁みるようになった1曲。

「いっぱい助けてもらったから 手段は私選ばないよ」という歌詞が特に好き。
相手をちょっと大事に思っているくらいではこんなこと言えないと思う。なんというか、確固たる覚悟を感じる。この人のためなら、本当の意味でなんでもできるのだろうなと思う。

まだまだ友情は恋愛に比べて軽視されがちな世の中なので、ここまでの重さで友達同士の関係性の深さを描いた曲が存在してくれることが嬉しい。

ベースから静かに曲が始まるのも好き。


https://youtu.be/_0_bBObnGFE?si=s7jeMaj7i-lmJN4N
大学に進学した頃、地元の親友がさっそく新天地で友達を作っていたことにかなり焦っていた。
別に付き合っていたわけでもなければ恋愛対象として見たことすらなかったけど、幼稚園から高校までずっと近くにいた親友が一気に遠くに行ってしまったように感じて寂しかった。

そんな自分の気持ちを投影して聴いていたのがこの曲。
歌詞の内容とは全然違うけれど、あの時期『花』があってくれたおかげで、僕は孤独にならずに済んだと思う。

君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!


https://youtu.be/MxPPHBRktz4?si=OiwtuOP8efcKUlCJ
恋人ができたばかりで有頂天のときずっとこれを聴いていて、恋人とカラオケに行ったときにも歌った。
照れて困ったように笑う恋人の顔を、これを聴くと未だに思い出すけど、そろそろ他の人のためにこれを歌えるようになりたいなと思う。

君の大事にしてるもの


https://youtu.be/KOErTi6qLB0?si=70ONe-hmoOprJp9R
恋人と上手くいかなくなり始めた頃に聴いていた一曲。
だがこの曲は思い出があるからというだけでなく、単純に曲としてすごく好きで、歌詞を聴くために聴くことがある。

だって、見たことない。恋人のギターを窓から投げ捨てるラブソングなんて。いくらなんでもロックすぎる。しかもこんなにかわいい声でそれを歌っているのだ。最高に痺れる。

SHISHAMOの好きなところってそこで、綺麗にとか、かわいくとか、そんな感じで曲が描かれていないように思うのだ。全体的に。
いつも情熱的で真っ直ぐで不器用で、泣いたり怒ったり、泥水すすって必死に生きている感じが、SHISHAMOの曲からはする。だから好きなんだと思う。別に音楽に詳しい訳でもないのにこんなこと言っていいのかわからないが、とにかくロックなのだ。
そして、あんまり性別でものを言いたくはないのだが、そんな曲たちを女性が書いて女性が歌っているのがいい。ただただかっこいい。
SHISHAMOは、僕にとって初めて出会った、かっこいいガールズバンドだ。

またね


https://youtu.be/WkJPd2d8Xpg?si=RekDtZHkCCJ3BeF-
恋人と別れて最後にバイバイをしたあと、ひとりになってすぐに聴いた曲。あの日の自分のテーマソングと言っても過言ではない。
この曲をイヤホンで聴きながら歩いた夏の日の風景を、温度を、未だにはっきりと思い出せる。嫌になるほどの快晴だったその日、道端にうずくまってひとりで泣き崩れた。僕に笑って「またね」と言ったあの人と同じくらい、照りつける太陽は残酷に見えた。

サビ前の、全てを悟ったような「ああ」が好き。ボロボロ泣きながら、もうどうにもならないんだということをどこかで冷静に理解していた自分に重なるようだった。

正気で聞けるようになるまで半年かかった。

夢で逢う


https://youtu.be/X77Jsu3y38s?si=97IJkBjdB5T8ekmu
恋人と別れてから、長いことこの曲を杖のようにしていた。
完全に僕のせいで別れることになって、後悔と自責の念と好きだった気持ちとを1年近く引きずった。本当に何度も夢に出て、そのたびにこれを聴いた。
布団にくるまって、自分に聴かせるように、泣きながら口ずさんだ。何度も。そうして何とか乗り越えた夜がいくつもあった。

この曲があったから生きているとも言えると思う。あまりに支えられすぎた。

量産型彼氏


https://youtu.be/GgYgruGKuUA?si=as3g77Ximz17fOsH
好きな人に好きな人ができたとき、辛くてよくこれを聞いた。
「僕じゃだめなのはどうしてなのかな」「二股してる様な極悪人だったらまだ良かった」なんて思っているからこそ、好きな人の好きな人には敵わないのだと本当はわかっていた。まさに、なんだかとてもみじめな気分だった。
この曲を聴いていると、僕と同じ境遇の友達と「わかるわかる!」と言いながら仲良く話しているような気持ちになれた。少し気分が楽だった。

×××

これらは抜粋に過ぎない。本当はもっとたくさんのSHISHAMOの曲とともに、ここまで歩んできた。

SHISHAMOの曲は基本的に実体験でなく、一曲ごとにストーリーを創作するスタイルであるという。
それぞれの曲の中にいる主人公たちはみんな、僕の友達だった。僕が辛いときも楽しいときも、隣でずっと支えてくれていた。

ありがとう、SHISHAMO。
みなさんの心に、悲しいことが起きませんように。

https://youtu.be/oQWm7oYrWvo?si=LTMgTqOAXq6fwXGh

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