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大学教員の仕事(やめそうな学生への対応)

大学教員の仕事には、学生のお世話と言いますか、学生対応が世間の想像以上に含まれます。
それには、大学をやめたいと言う学生への対応が含まれます。
今回はそのような学生への対応について書きます。

結論から言うと、やめたそうにしている学生はそのうちやめます。
卒業まで引き延ばすのはほぼ不可能です。


たいてい、このような学生の場合、親の「大学まで行って欲しい」という願望と、本人の「まだ働きたくないけど、勉強は嫌いで苦手」というモラトリアム願望の結果、とりあえず入れそうな大学に行くという進路決定に至り、うちのような誰でもウェルカムなFラン大に来ています。
彼らは大学で学びたいというモチベーションがきわめて低いため、何かをきっかけに「大学をやめたい」と言い出すわけです。

そこで、我々、大学教員の出番なわけです。
まずは、やめそうな学生と仲の良い学生に探りを入れ、諜報活動を展開します。なぜやめたがっているのか、きっかけは何なのか、情報を得ることで対応策を練ります。

情報を集めた上で、親に連絡し、自宅生であれば、学生の近況などを聞いたりします。だいたい、この時点で、親は学生が大学をやめたがっていることは把握しています。
そして、家ではその話題になると喧嘩になり、ちゃんとした話し合いにはならないことが多いため、なぜか大学で彼らの話し合いの場を設ける流れになります。
話し合いの場では、やめさせたくない親とやめたい学生の間に入るとみせかけつつ、なんとなくやめさせない方向にもっていかせようとします。
内心、多分そのうちやめるよねと思いながら。

正直、大学を退学するのは学生の意思なので、仕方のないことだと思います。
気が進まないまま大学に進学して、目標も見つけられず、ただ楽しくない毎日が続くのであれば、退学という決断をするのは当然だと思います。
ですが、我々、私立大学の教員は私立大学という民間企業に勤める会社員のような存在ですので、顧客(=学生&保護者)を失わないように営業努力(=引き留めトーク)を一応しないといけません。

国公立大の教員であれば、学生の気持ちに寄り添い、どうすることが学生の幸せにつながるか、一緒に考えるところですが、大学の利益のために動かざるをえない自分が悲しくなります。

すべての私立大学がうちのような対応をしているわけではないと思いますが、今後、少子化によりFラン大がさらに増えたときには、多くの大学がこのような引き留め営業をしないといけなくなるのでしょうね。

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