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『無理は長続きしないって、いつも言ってるのに…』老子道徳経第24章 シンとの対話

はじめに

老子(ラオツー)は、紀元前6世紀頃に生まれたとされる古代中国の偉大な思想家です。彼の著作『老子道徳経』は81章から成り、「道(タオ)」の本質と自然の法則に従った生き方をシンプルかつ深遠に説いています。この道徳経は、簡潔な言葉で書かれているため、その意味は多くの解釈が可能であり、非常に奥深いものとなっています。

この道徳経を読み解くことによって、老子の教えに従って私たちの生きる道が自然と調和し、より自由で豊かな人生を歩むための指針を得ることができるのです。その試みの一つとして、このNOTEでは、わたしのメンターであるシンとの対話を通じて、道徳経の理解を深めていこうとしています。皆さんにとっても、新たな気付きの機会となれば幸いです。

さて、今回は「老子経 第24章」について、私のメンターであるシンとの対話を通じて理解を深めていきたいと思います。

老子経第24章 シンとの対話。

◯ナオ:やあ、シン。今日は、老子道徳経の第24章について語って欲しいんだ。

⚫️シン:やぁ、ナオ。それでは現代的な訳文を先ずはみてみようか。

現代語意訳
つま先立ちで背伸びをする人は
長く立ち続けられないよね。
大またで無理に歩く人は
すごく遠く、ずっと遠くまで行くことは
・・・かなりシンドいよ。
自分をひけらかす人は
物事の本質を見通せていないから
そうなってしまうのだよね。
自分の正しさばかり押し付ける人は
結局は誰からも認められないよ。
自分の手柄を自慢する人は
真の功績はないし
自分を誇示する人に
長続きしたことはないんだ。

こうした振る舞いは、
「道(タオ)」という真理からみれば 無駄であって
余分なものに過ぎないんだよ。
多くの人がそれを嫌い避けるだろ?
「道(タオ)」という真理を体得した人は
そのようなことを決してしないんだ。

原文
企者不立,跨者不行。自見者不明,自是者不彰。自伐者無功,自矜者不長 其在道也,曰:余食贅行。物或惡之,故有道者不處。

◯ナオ:これは、これは・・・古来から人は、あまり変わっていないんだね(苦笑

⚫️シン:ふふ。人間は、進歩しているのだろうか?本当に(笑

◯ナオ:これは戒めに近い感じもするけどね?

⚫️シン:この章では、自己中心的な行動を戒めて、自然に身を任せることを勧めている。無理をして他人より優位に立とうとするよりも、自分自身のありのままを受け入れて、自然体でいることが大事なんだ。

◯ナオ:やはり、人間的に謙虚だったり、無理せずに上手に他人との関係性を築けるひとは、リスペクトされるものね。

⚫️シン:自己を誇示せず、他人を尊重しながら自分のペースで生きることができる人は、まさに老子が説く「無為自然」の生き方を体現していると言えるだろうね。無理をせずに、自分らしさを大切にすることは、君自身の幸せにもつながるはずだよ。

◯ナオ:でも、現代では謙虚でいると、逆に舐めてかかってくる人が少なからずいるんだよ(笑

⚫️シン:その点は確かに現代の社会の一部かもしれないね。謙虚さや優しさが誤解され、他人に利用されることがあるのは、悲しい現実だ。でも、だからといって自分の本質を変える必要はないんだ。大切なのは、謙虚でありながらも自分の価値をきちんと理解し、相手に対して適切な距離を保つこと。時には毅然とした態度を示すことも重要かもしれないね。

◯ナオ:謙虚でありつつも、言うべきポイントはしっかり主張すべきと。

⚫️シン:現代の生活は、いろいろなプレッシャーがあって、自分らしさを保つのが難しいと感じることもあるだろうね。でも、だからこそ「無為自然」の考え方が大切なんだ。無理をせず、自然な流れに身を任せることで、自分の本来の力を発揮できるんだよ。

◯ナオ:しかし、現代日本では、無理を強いてくる社会であり、つま先立ちさせる社会だよね、つまり長続きしない。無理させる会社や学校や集団組織や、人は、これまた長続きせずに崩壊するのだろうか?

⚫️シン:うん、その可能性はあるかもしれないね。無理を強いる環境というのは、つま先立ちしているようなもので、長くは続かないんだ。過度なプレッシャーやストレスは、結局のところ人々の心や体を疲弊させ、組織全体の崩壊につながることがあるんだよ。日本のブラック企業は、もう長くないと思うね。
無理を強いられることで、個々のパフォーマンスや健康が損なわれると、結果的には組織全体の効率や成果も低下してしまう。だからこそ、持続可能な働き方や学び方が大切なんだ。
最近では、働き方改革やウェルビーイングの重要性が注目されているけれど、それも無理なく自然体で生きることの大切さが認識されてきた証拠だろうね。人々が自分のペースで心地よく過ごせる環境を整えることで、長続きし、健全な成長が期待できるんだ。

◯ナオ:シン、シレッと怖いことを言ってのけるね!現代の我々に老子がメッセージしていることを突き詰めるとどうなるのかな?

⚫️シン:現代の我々に向けた老子のメッセージを突き詰めてみると、以下のようになるだろうね。

  • 無理をしない: 自然体で物事をすすめるほうがよい。

  • 謙虚であること: 自己を誇示せず、他人を尊重する姿勢を持つこと。

  • 自分のペースを守る: 自分のリズムやペースを大切にし、他人に合わせすぎないこと。

  • 自己の価値を理解する: 自分自身の価値を認識し、必要なときには毅然とした態度を取ること。

  • 持続可能な生き方: 長続きしない無理や過度なプレッシャーを避け、持続可能な方法で生きること。

  • 心と体の健康を大切にする: 心身の健康を維持するために、自分の時間を持つこと。

これらの教えは、現代社会においても私たちがより良い生活を送るための指針となるだろうね。君も、自分自身の生活にこれらの要素を取り入れてみると、より心地よい日々を送ることができるだろう。

◯ナオ:うーん。これを、国や会社や、諸々の組織のトップや取り巻きに、よくよく考えてもらいたいものだよね。

⚫️シン:過度な競争や自己主張が強い環境では、持続可能な発展は難しい。謙虚さやバランスを大切にし、無理せずに調和を保つことが、集団全体の平和と繁栄をもたらすんだ。

◯ナオ:このような理念は、現実には幼稚園児のほうがよく知って、まもっている気がするんだよね。

⚫️シン:・・・・・・さてさて。
そろそろ我々もお茶にしようじゃない?

おわりに

この24章にも、老子独自の無為自然の教えがあります。無理をしても、結局は、長続きせずに無意味に終わる。社会に出ると、これが本当に意味のあることなのだろうか?この作業や仕事の内容は、無駄なことではないか?と感じることも、よくあります。無駄な付き合いや、無駄な会議や、無駄に様式に囚われた価値観など・・・枚挙に暇がないくらいですが、我々の社会を形成してきた過去の人達の思い込みによるものですね。もちろん、すべてが無駄に終わっているわけではなく、老子はバランスだと言います。過度の陽を避け、陰陽のバランスを取ることで、調和の取れた、持続可能な生き方を実現することを示しています。

最後までお読みいただき ありがとう!



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