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「創造の根源にある神秘的な母性」老子道徳経 第6章 シンとの対話 

やぁ、皆さん。ご機嫌はいかがかな。

私はあなたがたの世界では老子と呼ばれている。

あなた方の時代からみると、2千数百年くらい前に老子道徳経という

81章の文書を残したと伝わっているはずだ。

 

さて、君たちの存在する現在では、私は既に人間としての肉体は滅びたが精神性として、この宇宙に万遍している。

そこから応えることにしよう。

 私は既に滅びた身なので、私の化身の名を仮に「シン」と名乗って応えるとしよう。

 それでは、何を聞きたいのかな?

 

 >>ナオ

やぁ、シン。今日は老子道徳経の第6章について対話したいんだ。いいかな?

>>シン

それは「母なる根源」について語っているところだね。


原文
谷神不死,是謂玄牝。玄牝之門,是謂天地根。綿綿若存,用之不勤。

現代語訳
深い谷に宿る神秘的な力は、永遠に枯れることがない。
この力は、宇宙の全ての源であり、万物の根源なんだ。
まるで、尽きることのない泉のように、生命を育み続けてゆく。
この根源の力は、我々が、どれほど使おうとも、決して枯れないんだ。


「玄牝」と呼ばれる神秘的な母なる存在。
そしてその「玄牝」こそが、天地の根源なんだ。

>>ナオ

少し分かりにくいかも??


>>シン

谷の奥深くにある母なる根源は死に絶えることがないというんだ。

創造の源は常に溢れていっぱいだと。


>>ナオ

相変わらず、創造の根源は「おぼろげで、はっきりしないところ」に何かが有るような感じだね。

そしてその働きは尽きることがないというのは繰り返し表現される。

次々と生み、育んでいくというのは、自然界の理(ことわり)だと思う。

そして、次々と死んでゆく。

でも実際は世界人口はもはや80億人といわれるけどね・・・。


>>シン

「玄牝」とは、はっきりと捉えられるものではなく、

ぼんやりとした、しかし非常に大切な存在。

 「玄牝」は、見えないけれども確かに存在し、

その働きは尽きることがないという、

まさに「おぼろげで、はっきりしないけれども、

何か大切なものがある」という感覚を表しているのだと理解できるんだ。

 つまり、目に見えない、でも確かに生命の根源となっている

そういった神秘的な母なる存在が、

この世界の根源にあると説いているんだね。

 その存在の働きは永遠に尽きることがないという。

>>ナオ

神秘性、女性的なイメージ。


>>シン

たしかに「玄牝」という概念には、

非常に女性的なイメージが込められているね。

この「玄牝」は、生命の根源にある神秘的な母なる存在。

つまり、宇宙の始まりにある、生命を生み出し、育む力のようなものを意味している。

 さらに身近な存在として、女性特有の妊娠や出産、そして養育といった

生命の循環を司る力を表しているようにも感じる。

女性の子宮や子供を産み育てる力といった、

生殖に関わる深い意味合いも含まれているのかもしれない。

 母なる大地から生命が誕生し、

そして次の世代へと受け継がれていく。

そういった女性の生物学的な役割が、

「玄牝」という概念に反映されているのかもしれないね。

 生命の根源にある神秘的な力が、

まさに女性の生殖能力に象徴されているのだと

解釈することもできる。

老子が最も伝えたかったのは、

この世界の根源にある不可視の女性原理、

生命力の大切さを説くことだったんだね。


>>ナオ

そうか。母、母性には何ものも包みこまれることで、

一切抗えない感じがするよね。

生物は皆、この母性を求めているともいわれるものね。

命の根源であり、すべての、お母さんか。

 

>>シン

更に具体化してくと

「玄牝」の概念で示したかったのは、

母性や女性性の持つ、圧倒的な包摂力と不可逆性なのだね。

現代では、男性も子育てをする傾向だけど、

子を肉体に宿すことは、女性しかできないことであり

それは神秘的であり、尊いよね。

 また、母なる存在は、全てを受け入れ、包み込むような

無限の包容力を持っている。

その中に身を置けば、私たちは何ものにも抗うことができない、

というような感覚が生まれる。

無為自然へと導かれていくね。 

まるで大地のように、母なる存在は全てを養い、育んでいく。

その力強さと優しさは、私たちの理解を超えている。


>>ナオ

グレートマザー!

この章では、タオという言葉が出てこないんだけど、

基本的にはタオのことをいってるのかな?


>>シン

そうだね。

確かに、この第6章の中では「道」という言葉は直接は出てこないが、

根源的な存在としての「玄牝」の概念は、

結局のところ老子の言う「タオ(道)」のことを指しているのだとも考えられる。

この「玄牝」の概念を通して、

「タオ(道)」の本質的な性質を別の角度から示しているのだ。

 生命の根源にある、捉えどころのない存在としてのタオ(道)を、

女性性や母性性の側面から表現しているのが、この第6章なのではないかな。

>>ナオ
なるほど、よくわかったよ。今日はありがとう、シン。

>>シン
こちらこそ、ありがとう。
またの対話を心待ちにしているよ。


まとめ

老子は、この世界の根源にある

神秘的な母性的な存在を「玄牝」と呼んでいます。

それは、見えないながらも確かに存在し、

生命を生み出し続ける、

まさに生命の源泉そのものを表しているのです。

この「玄牝」の概念には、

女性の生殖力や母性性といった、

生命の根源にある神秘的な力が

表現されているといえるでしょう。

谷の奥底に宿る「谷神」とは、

まさにその母なる根源を象徴するものだと

老子は説いているのだと理解できます。

つまり、老子は、この世界の始まりにある

不可視の女性原理、母性的な力を

「玄牝」として捉え、

生命の根源としてとらえていたのだと言えるのです。

そして、その神秘的な母なる存在に

自らを開いて生きていくことが、

老子の説く自然の摂理に身を任せる

生き方につながっているのだと考えられます。

タオの側面について、また新たな気づきを得ることができました。


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