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信じられるものが曖昧な時代に、たしかに”信じるべきもの”を。 - 人生をかけた自由研究

「べき」という言葉は、基本的には使わない。

でも敢えて、

この記事のタイトルに「べき」を使っている背景には、

強い意志と想いがある。

今の時代は

目に見えない、
触れることができない、

その一方で猛烈な力をもって、
私たちを取り囲む
“信じざるをえないもの“ に
溢れているような気がする。

たとえば、
正体不明の他者の目や世間体、
数値化された「いいね」、
大きな影響力を持ち合わせてしまった
いわゆる“ネットの声”。

世の中の指標があまりにも曖昧になった今、

どんなに強く抗おうとしても、
あまりにも身近な存在となっているがゆえに、
しばしば心を揺るがしてくる。

気づいたら、
“信じざるをえなく“ なっている時代。

そんな今、
私たちが
本当に信じるべきもの、
信じていいものはなんだろう…。

唯一、嘘をつかないもの。

一方で、これだけは信じていいと思う瞬間がある。

それは、純粋に心が先に動いた瞬間。

たとえば、

不器用ながらも、
自分の大切な人が、
自分のために紡いでくれた素直な言葉に触れたとき、

「嬉しい。」「あたたかいな。」と感じる瞬間。

その瞬間には、

論理的に「〇〇だから美しい」と
頭で考えているわけでもなく、

「〇〇が良いと言っているから良い」という
誰かのジャッジでもなく、

たしかに自分自身の心で、
美しさやぬくもり感じている。

きっとそれは、

送り主が、

”知らないだれか”ではなく、
同じ思い出を共有している ”大切な人”だからだ。

その素直な心の動きは「信じるべきもの」でしかない。

頭よりも先に心が動いた瞬間の自分に、嘘はない。

わざわざ手間と時間をかけて、
「不要不急」のメッセージを伝えるための手紙に、

本当の意味で心が動かされた経験がある人も
少なくはないのではないだろうか。

続いて、手紙を受け取る側の目線から、
手紙を書く側の目線に視点を変えてみる。

真の手紙とは。

手紙を書くとき、

忙しない日々から一歩抜け出し、
ゆっくりとした時間軸に入っていく感覚がある。

「相手に想う」時間を通して
自分の気持ちが整理できたり、

生きるうえで本当に大切なことや存在に
気づいたりすることもある。

持論だけれど、

”うまくやる”ための手紙は、
信じるべきものと定義しがたい。

「手紙で差別化をしてやろう!」
「検索してでてきた文章を書き写そう!」

そんな背景が見え隠れすると、
ものすごく冷静な気持ちになる。

私が考える「真の手紙」は、

書き手が自分の心の奥底にある気持ちにまで目を向けて、

素直な気持ちを、その人らしいスタイルで紡いだもの。

そんな自分との対話を経て生まれた言葉こそ、

書き手にとっても、受け手にとっても、
本当に「信じるべきもの」ではないのだろうか。

手紙は、最古のタイムスリップ装置

最後に「形あるもの」という側面に焦点をあてる。

手紙は、

時間の経過とともに、
その愛おしさが増す不思議なものでもあったりする。

それはきっと、

たとえ関係性が変わっていたとしても、
たとえ書き手がこの世にいなかったとしても、

手紙の中で文字と言葉は生きているから。

いつ見返しても、
どこで見返しても、

ちゃんといてくれる。

その当時のその人らしさが
押し花のように留められている。

まるでその瞬間にタイムスリップしたかのように
その時の気持ちを思い出させてくれたりもする。

そのどちらもが、ものすごく鮮明に。

そんな存在、他にあるのだろうか。

人生をかけた自由研究 - 仮説と実験

私が「手紙のヒト」として
届けていきたいのは、

【信じるべきもの】。

信じたいものを信じることは
とっても難しいこと。

だけれど、
それを探し、見つけることこそが、

生きる意味なのではないだろうか。

もし、

その ”信じたいもの” の対象が、

誰もが心の底にもっている
「だれかを想う優しい気持ち」になるならば、

世界はもっと美しくなる。

その先には、

想像力に溢れたあたたかい世界が待っている。

私はそんな世界で生きていたい。

だから、

私は「手紙のヒト」という新しい道を切り拓いている。

手紙のヒトとして手掛けたいのは

一過性のトレンドでも、
ただただ映える手紙でもない。

世界中の人の心に響く、
やさしい、熱狂。

「あなたが大切」と伝えてくれる手紙の存在と、
だれかを想う時間を通して、

信じるべきものを届け続けたい。

手紙という存在の価値は、
きっと世界に光を与えてくれる。

それをどうやって形にしていくのか。

この仮説と実験の繰り返しは、私の人生の自由研究

もし、

手紙しかない世界だったら

私たちはもっとだれかを優しく思えるのだろうか。

2024.08.12
手紙書道家 akina |手紙のヒト

いつか、あなたに届きますように。







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