「認知症に寄り添う暮らし」(1)
9月21日はWHOで世界アルツハイマーデーに指定されています。
そして日本では9月は認知症月間として様々な講演会研修会など啓もう活動がおこなわれます。
認知症について一緒に考えましょう。
1.認知症と診断されたら:まず知っておきたいこと
物忘れが続いて家族から物忘れが以来の受診を勧められた方はいらっしゃいますか?または繰り返しの話や身近なものの探しに認知症をひそかに疑っているご家族もいらっしゃると思います。
だれでも物忘れをするようになります、困るのはトラブルになること
同居している家族が心配しても、夏休みに遠方から来ている子供たちは、そんなことないよ。前から名前を覚えるのが苦手だったんだから。と軽く考えることはありがちです。
同居と言っても、朝は早く仕事に行き、夜は遅くなる若い世代は高齢者と生活時間が異なり、日中どのように過ごしているかはわかりにくいことがあります。
物忘れは誰にでもあります。特に現役世代でも、忙しすぎる方がたはついうっかり約束を忘れたり(私?)話を聞いているようで聞いていないことで覚えていないことはあるものです。
ただ、見つからないものを誰かが隠したように思ったり、覚えていないことを人のせいにしたりするようになると、ご本人の不安感が増している状態です。
いつもの行動はできるので、かかりつけ医もわかりにくいです。
私もいつもご夫婦で仲良くいらっしゃる女性患者さんの付き添いの夫が認知が低下しているのに気づかないことがありました。
ケアマネが来院して、近くのお医者さんを紹介して下さいと言われて旦那さんが認知症のためにご近所でトラブルを起こしているを知りました。
診察室という小さな空間で、毎度おなじみの会話は流ちょうでしたが、被害妄想とか思い込みが強くなりトラブルになっていたようです。
歩いて行けるお近くのクリニックをご紹介しました。
困るのは物忘れ(記憶の低下)よりも生活上のトラブルです。
軽度な認知症と診断されても、何回も同じことを繰り返すことに家族が耐えられなければ家族関係がうまく行かなくなります。
町内会の会計を引き受けて、レシートを紛失してしまったりすることも周りに迷惑をかけることになるでしょう。
家族ができること
「もの忘れ外来」では頭の画像検査(CT,MRIなど)心理検査(長谷川式)、血液検査などを行います。認知症の原因を見つけるわけですが、治療法があるものもないものもあります。
物忘れ外来をいきなり勧めて両親との関係を悪化させないために
高齢者が自分は認知症だから受診したいと申し込むことはありません。
まずは家族がかかりつけ医に付き添っていって、最近のエピソードを相談するのが良いと思います。
かかりつけ医も気づかないところがあるのです。
でも、専門外来へのかかりつけ医から情報提供書を書いてもらって、受診するのが近道です。そのためには家族からの情報が必要です。
一緒に外来受診しようと思うと親御さんの生活への関心が向いて、お風呂で着替えをしているか?夜寝られているか?以前に比べてできなくなったこと(外出、計算、手紙を書く、電話帳をつくるなど)を見つけられるかもしれません。自然にサポートしていると案外気づかないことも。
そして診断がついたとしても
高齢化は自然な過程であり、認知症もその一環です。
恐れすぎず、むしろ受け入れることで、より前向きに生活ができるでしょう。家族や支援者が認知症を普通のこととして受け入れることで、本人も安心して生活できる環境が整います。
認知症は「怖い病気」ではなく、ひとつの年齢に伴う変化なのです。
2.家族が支える認知症ケアのコツ
3.施設での安心できる暮らしを目指して
(施設での対応として、失語症や難聴の方への支援策を紹介)
4.認知症の方が安心できる環境づくり
5.認知症とともに生きる社会を目指して