板書の極意~レイアウトと書き方の方法論
世界史講師のいとうびんです。
今回は板書の技術についてのあれこれを書いていきます。板書が書きづらい、きれいに書きたいという方々、とくに初年度や教員志望者のみなさんは、ぜひ読んでいただきたいです。
…さて、これを言ってしまえばおしまいですが、
板書が上手くなる最大のコツは「慣れ」です。
そもそも垂直に立てられた黒板に字を書くという、普段の生活であれば、まずしないことをするわけですから、必然的に慣れることは欠かせません。
しかし、ただ字を黒板に書けばいいというわけでもありません。ベテランの先生でも板書がお世辞にもきれいとは言い難い方もいます。
そこで今回の記事では、ちょっと気を付けるだけで板書の見栄えがグッと良くなるテクニックを紹介します!
板書テクニック その①
~横書きの1行をまっすぐに書くには
では本論に入るにあたり、まずは板書でのあるあるな問題点を紹介しましょう。
とくに初年度の方でよくあるお悩みのひとつに、横書きの行がまっすぐに書けないということがあります。
文字が上に傾いたり下に傾いたり、文字のサイズがそろわなかったり、、、
このお悩みの改善点には、次の2つがあります。
【1】暗線を利用する
黒板やホワイトボードには、「暗線」と呼ばれる薄いマス目が書かれていることが多いです。
この暗線、すなわち薄いマス目を利用するのが手っ取り早いです。
この暗線のマス目よりひと回り大きいくらいが、1文字の目安です。生徒の個人差はあるでしょうが、40人クラス程度の教室であれば、後ろの席の生徒でも充分見えるはずです。
文字の大きさの感覚をつかめたのであれば、下のように文字を書くとより効果的です!
マスに嵌めようとするより、暗線の線を文字の中央に持ってくると、行のバランスが良くなります。
文字の下に線があるより、真ん中に線があるように書くと行のバランスが格段に良くなります。これは書道の硬筆やボールペン字においても同じことが言えます。
実際に書いてみると意外と書きやすいですよ!
あとは暗線が行の中央を通るように書くことで、行と行の間隔もきれいに開けることができるというおまけつきです。
【2】黒板を分割する
1行を書いて文字がブレる理由は、行が長くなるにしたがって文字の上下の幅を一定に取りづらくなるためです。
そこで、授業開始時などに黒板にあらかじめ分割線を引いておくことをおススメします。
上の図のように黒板を3ないし4分割すると、横書き1行当たりのバランスがとりやすくなります。
大方の30~40人規模の教室であれば、3分割で充分でしょう。
もし3分割でも行がまっすぐ書けないときは、4分割にして1行当たりの文の長さを短くするのも手です。
慣れてくると、分割線を書かなくとも自然と十分な幅をとれるようになります。
黒板全体の見栄えもよくなりますよ!
板書テクニック その②
~文字を美しく書くには
さて、続いては文字の書き方のコツです。
これについては書道での書き方を少し応用させると効果的です。ちょっとした点に気を付けるだけでバランスがとりやすくなると思います!
ではまず ↓ の写真をご覧ください。どちらの「吉」の字がバランスよく見えますか?
おそらく 右 の方がバランスがよいように見えませんか?(ちがったらごめんなさい><;)
では、両者の違いは何でしょうか?
そう、右の「吉」の字は全体的に右斜めになっています。
この斜めに書くというのがポイントです!
書道の経験のある方はご存じかもしれませんが、習字教室では毛筆でも硬筆でも斜めに書くことを最初で習うことが多いです。
ではなぜ斜めに書かせるかというと、文字のバランスがとりやすくなるためです。板書でもこの斜め書きというのはそのまま利用できます。
しかし斜めすぎても、もちろん不自然な字が出来上がるだけですので、限度があります。
その限度が、水平面に対し約6° というのが一般的な基準です。このためこの書法は6° 法と呼ばれます。
というわけで、まずヨコの辺については6° 法を用いてみましょう。
具体的には ↑ のような感じですね。基本的に横向きの辺などは6°法を用いて書くとバランスが良くなります。また、横書きで続けるときにも比較的行がブレにくくなります。
ただし「吉」の字の上の辺や「大」の字の辺のように長いものは、やや中央に向かって弓なりに弧を描くようにして書くときれいになります。↓
次はタテの辺です。
タテに関しては「口」のように比較的辺が短いものと、「日」のように長いものとに分かれます。これらについては、
この図のように書いてみると字のバランスがつけやすいです。
以上2つのコツをふまえた板書例が ↓ です。暗線がない黒板を使用しています。
最後に、、、
以上でテクニック面の解説は終わりますが、
ここで一言、最大のコツを述べます。
それは、ゆっくり書くことです。
授業中はどうしても「早く書かなきゃ」と焦りがちになりますが、
まずは少し遅くても、字を丁寧に書くことを意識すべきです。
黒板に書く作業に慣れれば、自然と書くスピードは追いついてきますから!
最初に述べましたが、最後は慣れです!
だからこそ気を付けるべきポイントはこの程度で充分だといえます。
今回はここまで。
ご参照いただけましたら幸いです。