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困ってる誰かに手を差し伸べる
あなたは、セクシャルハラスメントに遭遇したことはありますか?
あるいは、見かけたことはあるでしょうか?
その時、どんな行動を取ったでしょうか?
この記事は、「行動したくてもどんな行動をしたらいいかわからないあなた」に、「こんな行動ができるよ!」と提示する記事です。
※セクシャルハラスメントなどを扱うセンシティブな記事です。元気な状態の方だけお読みください。
2022年6月11日、『ストリートハラスメント(公共の場での性的ハラスメント)に介入する方法』を教わってきました。
Voice Up Japan理事の佐野エレナさんにお声をかけていただいたのです。
会場には臨床心理士/公認心理士のみたらし加奈さんもいらっしゃって、心理的安全性も担保された状態でイベントは始まりました。
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ハラスメントは、目に見える傷だけではなく目に見えない傷をももたらします。それは、一生残る深い傷跡です。
誰かがハラスメントをされている場所に遭遇した時、わたしたちはどんな行動ができるでしょうか?
「ストリートハラスメントに立ち向かおう」
※10分間の公式動画もあります
第1部ラウンドテーブル:
「アクティブバイスタンダーになるには?〜ハラスメントの現場に居合わせた時に、自分のバイアスをどう除外するか〜」
例えば、あなたの女友達がお酒を次々と注がれながら男性に口説かれてるとします。そこに介入する時、被害者になりうる彼女が嫌がっているかどうかを判断するのは難しい。でも彼女は酔いすぎていて、判断能力が低下している、というような場合。
大切な女友達のために、どんな行動が取れるでしょうか。
【わたしたちができるアクション】
・小さな声で女性に「大丈夫?」と訊く。
・酔いを加速させないために、店員さんに「酔いすぎているので、烏龍茶に変えてください」とこっそりと頼む。
・瓶などをわざと倒し、男性の気を逸らす。
・被害者本人が「助けてほしい」と思ったときに支援者の手を取れるよう、「助けはいつ求めても大丈夫」というスタンスでいる。
・これらの行動(5D)ですべてのハラスメントが解消されなくても、長期的な視点で見ると変化がある。
・命に関わる場合や本人の判断能力が低い場合は、強制力が必要。
行動(介入)せずにハラスメントだったかもと悩むよりも、行動(介入)してハラスメントじゃなかったと判明するほうがいい。
第2部ラウンドテーブル:
「5Dオンサイトでもオンラインでもできる対処法を考えよう」
オンラインハラスメントを受けた時、どうするか。
あるいは、大事な友人が見知らぬ匿名アカウントからハラスメントを受けた時。わたしたちはどんな行動が取れるでしょうか?
【わたしたちができるアクション】
・スクリーンショットを友人の代わりにUSBに保存しておく(URLが入ったものが法的に有効。予備も含めて2つあるといい)
・「どうしてほしい?証拠を残したからといって、何かをしなくてはいけないわけではない。話を聞いてほしい? 一緒にいてほしい? どこまでだったらやっていい?」と、自分は何ができるか被害者に提示する。
・誰か一人でもかばってくれると、心が少し穏やかになる。周囲が当事者に声をかけてあげるのは大切。誹謗中傷、ハラスメントを当然だと思ってしまうのは危険。
・連帯して通報する。通報するとアカウントを凍結できる。
・誹謗中傷に真剣に取り合う必要はないので、かわいい猫の写真やソーラン節を貼りつけるなどのユニークな対応をとってみる。
・ソーシャルアプリが対策をしないのがそもそもの問題なので、そのSNSの使用をやめる(キャンセルカルチャー)。
第3部ラウンドテーブル:
「どうやってDelayする?ハラスメントを経験した人へのアプローチ」
自分や大切な人がハラスメントを受けた時、「嫌だ」と感じる気持ちは、考えすぎではありません。人権を侵害されたら怒ってもいいのです。そのことをわたしたち日本人女性はもっと知っていい。
また、孤立しないこと、いいコミュニティに所属することも大事だったりします。
【わたしたちができるアクション】
・Delay(後で行動する:状況が落ち着いてから、ハラスメントを受けた人に大丈夫か、何かサポートできることはないか尋ねる)ことで、被害者は被害を自覚できる。それがすべての解決策にならなくても、長い目で見た時に効果がある。
・声のかけ方はとても大切。例えば、「突然すみません、怪しい者ではないです。後をつけられているようなので、もしよろしければ一緒に、24時間空いてるコンビニに行きませんか?」と声をかける。
・勇気を出して何かしらの言葉をかけることで、状況が変化する場合もある。
・窓から「ポリス!」と叫ぶ。
・「すみません、警察ですか?いまちょっと目の前で……」と状況説明の電話をするそぶりをする。
・ちょっと水をこぼしてみる(被害者に後で「実はわざと水をこぼしたの。嫌がっているように見えたから。そうじゃなかったらごめんね」と打ち明けることでストリートハラスメントかどうかの見分けがつく)。
・「久しぶり!元気だった?」と知り合いのふりをして話しかける。
・親(周囲の大人)がコミュニティの中で5Dを実践しているとやはり違ってくる。善意の再生産が起こる。
第4部ラウンドテーブル: 「ハラスメントを経験した人に思いやりの言葉を〜社会に対するメッセージ〜」
みたらし加奈さん:
社会は「『痴漢に遭ったら声をあげましょう」など、被害者側への呼びかけが多い。そして二次被害の影響はとても大きいです。被害者が二次被害を受けることでさらに被害者自身を責めてしまいます。
ハラスメントなど、理不尽なことはすごく大きなストレスになります。「自分が悪かった」と思ってしまう人が多いようですが、「被害者は悪くない。加害者が悪い」ということを、社会に浸透させていきたいです。」
【わたしたちができるアクション】
・小さなハラスメントでも、「それはハラスメントです」と力強く伝えていく。小さなハラスメントを許していると、ハラスメントに対してどんどん鈍くなっていく。なのでしっかり伝えていく姿勢が重要。
・被害者に何て声をかけるか? 被害を受けた直後の被害者は呆然としている。そんな被害者に「大丈夫?」と訊いても「大丈夫です」と返ってくる。「どうしたの?」「何かあった?」と訊く(オープンクエスチョン)。
・自分だったら何て声をかけてほしいか? もし傷ついたのが自分だったらと想像し、かけてもらいたい言葉をかける。
・言葉よりも態度で示す。真剣に、ただうなずきながら話を聞く。
主催者のことば
イベントを終え、Voice Up Japanの佐野エレナさんに「どうしてこの会を開こうと思ったのか」をお伺いしました。
「仲間が必要だ」と思いました。「ハラスメントが問題だ」と思っている仲間を探し、「ハラスメントをしてはいけない」という認識を広めていきたいと思いました。今日、ここに来てくれたメンバーが誰かに伝えたら、「ハラスメントは問題だ」という認識は2倍に広がります。草の根運動とはそういうもの。個人活動家の方もたくさんいらしてくださり、今日はファンミーティングみたいになってしまいました。
お忙しい中時間を割いて来てくださった方、行動してくださった方にとても感謝をしています。
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(本当はもっとたくさんいます!)
(わたしが写真を撮れませんでした。)
わたしの話をします。
20代の終わり、わたしは痴漢やセクハラに遭遇することが非常に多かったです。電車内での痴漢だけでなく、自動車教習所でもセクハラに遭うほか、街中で知らない男性におしりを堂々とさわられたりしました。その後でその知らないおじさんに「いいおしりだよ!」とまで言われました。その場に一緒にいた同僚はわたしに「知ってる人なのかと思った」と言いました。仕事中だったので、わたしたちは仕事を優先しました。
「かなしい」「こわかった」「警察に行きたい」と言っていいのかわからなかったわたしは、仕事を優先しました。
生きることに怯えたわたしは、ストリートファイティング系護身術を習いました。通いながら陰でこっそり泣きました。マッチョな男性たちに混じりながら習う護身術は、男性に立ち向かえるようになるためのトレーニングでした。恐怖に対処する術を覚えたわたしがセクシャルハラスメントに遭う確率は、ぐんと減りました。
いまから書くことはわたしの所見であり、社会に対するメッセージです。
今日のイベントの後、帰路につきながら、地下鉄御堂筋事件(1988年)を思い出しました。
勇気を出して痴漢を注意した女性が、それを逆恨みした二人組の男からレイプされるという恐ろしい事件です。二人組の男は懲役3年6ヶ月の実刑判決を受けました。
たったの3年6ヶ月!
被害に遭った女性の傷はどうなるのでしょう。深い傷跡は一生残るというのに。
こんな「悪質すぎる犯罪」に、わたしたちは何ができるでしょうか。
※いまでは性犯罪に対する処罰はもう少し重いものとなっているようです。
痴漢のほとんどは性欲ではなく、支配欲や征服欲だと聞きます。
支配欲。あるいは征服欲。
わたしはこんな男性の感情が恐ろしくて仕方ありません。自己を満たすために暴力で他者を押さえつけるのです。
わたしが過去につけられた傷跡は、大きな性犯罪から見るとささやかなものかもしれません。でもなにか似たようなことに出くわすたびに芋づる式に思い出していまでも苦しいです。
なぜ男性(もちろん性犯罪を犯すのは一部の男性ですが、男性は、とここは書かせてください)はこのような罪を起こすのでしょうか。なぜ彼らは支配欲、征服欲に囚われ、女性をモノのように扱うのでしょうか。
わたしは、「家庭内で女性(主に母親)の地位が低い場合、女性蔑視の男性に育つ。そんな女性蔑視の男性は、女性をモノとしか見られず、対等な関係を築きにくい」と仮説を立てています。
「女だからバカ」だとわたしたち女性のことを思い込んでいる男性がいます(もちろん、これも一部の男性です)。そんな男性は自分の考えを持っている女性や、高学歴の女性が苦手です。上からしかものを言えないので、自分よりも年下や弱い立場の女性としか付き合おうとしません。
そんな自己肯定感が低い男性ほど、女性をモノとして扱おうとします。
でも、彼ら男性も苦しみながら生きている。
そのことに気づくのにとても時間がかかりました。
男性も、苦しんでいるのです。
わたしは、女性の自己肯定感を高めること、
それを家庭内や社会での女性の地位を高めることにつなげ、
その人がその人らしく生きることにつなげていきたいです。
『男性は敵ではない』
そう思いたいです。
「ハラスメント」や「犯罪」を防ぐために
わたしたちができること。
言葉や、行動。
そんなことについて改めて考えさせられる貴重な時間でした。
社会という果てしなく広い海に、わたしのような無名の者が一石投じたとしても、何も変わらないかもしれません。
ですが、一人の人間として、また「女性の自己肯定感を上げるため」の活動をしている身として、一人ひとりが生きやすくなるための発言や行動をしていきたいと改めて強く思いました。
こちらのnoteをご覧になった方が、Voice Up JapanさんやGet Up Japanさんの活動にご興味を持っていただき、「ストリートハラスメントに立ち向かおう」の動画を一人でも多くの方が観てくださったら、これ以上うれしいことはありません。
最後に、こちらのイベントにつなげてくださったVoice Up Japanの山本和奈さん、佐野エレナさん、本当にありがとうございました。
貴重な場に立ち会え、こうして記事を書く機会を頂戴できたこと、心より感謝申し上げます。
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![歌久妃(かぐや)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71253092/profile_069262605accbef44ad5d7a2887a0208.png?width=600&crop=1:1,smart)