不登校よりもその後の方が本当に困っています
いま、こども基本法第10条に基づく、
市町村こども計画をパブリックコメント中です。
いくつか寄せられた意見のなかで、
不登校のこどもの支援はよく意見があります。
不登校の後のこどものことは、ありません。
いわゆる、ひきこもりのこと。
悲しいかな、
今、公表している市町村こども計画案の中にも、
そのあたりのことは書いてありません。
不登校のこどもは増えています。
コロナの前は、多少の発熱があっても出勤したり、
体調が悪くても無理してでも仕事を全うすることを
「良し」とする社会の空気がありました。
コロナをきっかけに、
無理して出勤しなくていいという風潮になりました。
また、少し前ですが
JR西日本の宝塚線の脱線事故をきっかけに、
鉄道の運行だって時刻表どうりじゃなくても、
安全運行のためのダイヤの乱れはあって当然という風潮になりました。
コロナをきっかけに、
学校に行きたくないのであれば、
無理して通学する必要はない、
出席しなくてもネット環境があれば勉強だってできる、
みたいな風潮になりましたね。
その流れを否定する気持ちは全然なくて、
むしろ、自分の気持ちや体に正直に生きていくことを
お互いが認め合う社会はいいことだとは思っています。
ただ、
ちょっとした気持ちのムラみたいなときとか、
たとえば睡眠不足でやる気が出ないときとか、
勉強不足でテストがいやなときとか、
そんな比較的簡単な「無理」も認めてしまうと、
これはどうしたものかとは思います。
歯を食いしばるような粘り強さって、
必要だったりしますよね。
結果的に増えてきた不登校の子への支援策は、
どこの自治体も少しずつ進んでいくと思います。
そして、
市町村こども計画でも
学校に行かなくても学べるようにと、
パブコメでも
不登校のこどもの対策を望む意見が提出されています。
私は2人息子がいますが、
1人は中学生のときから不登校になり、
高校に進学せず、今も家にいます。
私となら外出できるひきこもり。
もう5年くらいになります。
もう1人は、高校を退学しかけたところを、
高卒認定を取り、
いつでも退学できる気持ちになったら、
赤点が怖くなくなり、
高校はなんとか卒業しましたが、
就職した会社を退職し、家にいます。
もう1年半すぎました。
彼も無職の引きこもり。
彼にはなんとか再スタートを切ってほしく、
専門学校やハローワークや求人サイトや
なんだかんだと話しかけますが、
本人は「遠い」「興味ない」のどちらかを答えるのみで
あいかわらずずっと家にいます。
どうするつもりなんだろうとは思うものの、
本人を追い込みすぎてもいけないのかと、
見守るポーズをとっています。
息子2人ともが家にいて、
ちょっとした家事を手伝ってはくれるものの、
本格的な戦力(家事手伝い)ではなく、
やっぱり不規則な無職生活です。
やらなくてはいけないことが何一つないので、
好きな時間に寝て起きて、
24時間冷暖房のきいた室内で、
リビングか個室かで
ゲーム、ネット三昧の毎日。
好きな時間にお風呂して、
ラクチンな服装で寝転んで。
外出しないので体力はありませんが、
外出しないので感染症にもかかりません。
ただ、歯の治療には通っています。
不登校になった息子は、
自閉症スペクトラムと知的障害があるので、
なかなか自分で行動できず、社会との関わりを持ちにくい子です。
小学校のころからほとんど勉強らしい勉強をしていません。
授業らしい授業を受けていません。
「いや」と言えば「配慮」してもらえました。
常識や知識はすべてネットからです。
歴史は興味がないようでほとんどなにも知りませんが、
数学も因数分解とか解の公式とか存在自体知らないでしょうが、
それでも理科的なことはよく知っているし、
字は手の力が弱くて書けませんが、
通常の文章であれば、漢字も十分読むことはできます。
ローマ字入力で文章の入力もすらすらとできます。
熟語や慣用句などの表現は、紙の辞書を読んでいます。
知識や常識は、
学校というサポートがなくてもある程度得ることはできると思っています。
大学入試に必要な学力はなかなか難しいでしょうが、
やりぬく経験やそこから得る自信は、
社会を自立して生き抜く力みたいなものは、
学校でしんどい思いをして
乗り越えて得られるのではないかと感じます。
2人とも、
学校に所属しているときは、
まがりなりにも先生からの連絡や情報提供などはありました。
卒業したら、外からの働きかけはもう何もなくなります。
この子たちがどうしたら社会との関わりを持てるのか、
どうしたら再スタートを切れるのか、
特に、
支援学級から不登校になり、ずっと家にいる子は、
どうしたらいいのでしょう。
今の社会を見回すと、
学校を年齢的に卒業したこどもは、
親がこどもを社会に導くことが求められているのでしょう。
市町村こども計画にもそのあたりは空白ですし、
パブコメでいただく意見も不登校対策ばかり。
とはいえ、
私もどうしたらいいのか、
正直いってわかりません。
誰に息子を出会わせればいいのか、
どこにつれていけばいいのか、
どう話しかければいいのか。
私もできる限り外に連れて行ったり、
関わりのある人にお願いしてみたりしますが、
正直いって、どうにもなっていません。
どうすればいいのかわかりません。
もちろん、療育手帳を持っている子については、
福祉的なところに数カ所、相談にいきました。
何人もお話は聞いてくれました。
アドバイスもいただきました。
でも、
不登校から始まって社会を外れてしまった子には、
自ら動くエネルギーも自信もなくて、
「なにがしたいの?」
「好きなことは?」
と聞かれても、「ない」のです。
「こんなのはどう?」
と聞かれても、わからないので「いや」なのです。
どれもわからないことだらけで、
私もわからないので無責任な説明はできないし、
私なら、「わからなくてもやってみよう」と思えることも、
「わからないからやらない」という思考回路。
だからこそ
母がもっとしっかりすればいいんでしょうが、
「どうする?働く?」と話しかけても、
「働けるとは思えない」と言います。
本心からそう思っているようです。
いや、何かのご縁があるはずだとは思うけれども、
それも、どこに?と聞かれれば・・・
これまた無責任に大丈夫とも言えず。
わからないけどあるかもしれないと、勇気を出す素振もありません。
不登校歴の長い自閉症スペクトラムの子は、
「だからずっとこのまま死ぬまで家にいる」と言います。
そして
「お母さんより先に死ぬ」と言います。
生活保護を受ける手段も知らないでしょうから、
また申請しようという勇気もないでしょうから、
もし私がいなくなったら、どうなるでしょう。
私が冷たい死体になってしまったら、
警察でも、救急車でもいいからとにかく誰かに助けを求めなさいとは言ってます。
そのまま放置したら息子が犯罪者になってしまいますから。
刑務所に保護してもらうのはちょっと辛いです。
不登校のときよりも、
その後の方が長いし、
その後の方が深刻。
学校は、15才になると自動的に手を離されてしまいます。
もっと簡単に社会と関わることができることがあればいいのに。
地縁、血縁が希薄なもので、
不登校が終わった後の方が、
社会からの支援や関わりがなくて、
孤立しているような気がしています。
どうすればいいのかなぁ…
あれこれやってみよーと思えないのは
どうしてなんだろう。
私はあれこれやってみよーと思ってしまうタイプなんだけどなぁ…
それって今までの経験や自信がそう思わせるのかな、
それが教育なのかな・・・
子育てって難しいです。
本当に困ってます。