内田先生のご講演を聴いて④「オンラインで人は心を通じ合い、コミュニティを作り、人を育てられるのか」
先日、内田樹先生のご講演を聴くチャンスがありました。
とても貴重な時間だったので、
心に残っていることを、
私の主観が混じりながら、
備忘録的に記録しようと思います。その4です。
先生のお話:オンラインでは話さない。私の話を耳で聴くのではなく、心で聴いて欲しいから
講演や授業でも、マイクを通じてスピーカーを通じて話をするのは、
好きではない。
むしろ、お断りしたいくらい。
なぜなら、私の話を機械を通して聴くことは、
私の話を耳で聴くことになるからだ。
私の感情が正確には伝わらない恐れがあるからだ。
私が話をするときは、ちゃんと心で聴いて欲しい。
それは、マイクやオンラインではできない。
目の前で、対面で、声のトーン、マイクが拾わない音を感じて、
頭ではなく、心で理解して欲しい。
急激に進んだ、リモートワーク、オンラインミーティング
感染症拡大防止のために、
オンラインでのコミュニケーションが増えました。
説明会などの事務的なものや、
形式的な説明は、オンラインで十分。
市役所の決算の効果額で言うならば、
出張旅費の執行が未執行の部署もあるんじゃないだろうか。
それから、
会いにくい距離のある人との打ち合わせは、
オンラインで話せれば、準備の時間がほぼゼロで便利。
私の勤める市役所ですらそうなのだから、
経費にうるさい企業では、
もっとオンラインミーティングを推奨しているんじゃないかと思います。
内田先生のご講演に、一緒に行こうと誘った友だちは、
システム会社に新卒で入社して以来、SEをやっていました。
今は、ジョブローテーションで管理部門にいますが、
彼女の職場では、オンライン、リモートワークが当たり前だそう。
そこで課題になっているのは、人材の育成。
一緒にいてこそ、マイクなしでこそ、話せることがあるはず。
近くにいてこそわかる、仕事の進め方、会話方法。
気づき、自ら育っていくこと。
モノの言い方、提案の方法、課題・問題点の発見・・・
学校を卒業し、1年目からずっとオンラインでは、
指示された作業はこなせていても、
自分から仕事を見つけてやっていく、
答えのない問題を探し、挑んでいく、
学校では学ばなかったような人材育成的なところが、
フォローできているのか、
とても心配に感じているそうです。
心で聴くとは
確かに、
オンラインだと大きな声ではきはきと、順番に話をし、
聴いているのか、聴いていないのかはわからないけど、
話は進む。
電話よりも情報量は多いとはいえ、
確認作業、単純な打ち合わせ業務ならともかく、
人材育成という観点からは、心許ない。
問題点があっても、マイクで発言・発信しない限り見つかることはない。
ましてや誰かが雰囲気を察して見つけてくれることもない。
内田先生の言う、
耳で聴くのではなく、心で聴いて欲しいとは、
ロマンチックとかそういうことではなく、
コミュニケーションでお互いに心を動かし合いたい、
という渇望から来るのではないだろうか。
耳で事務的に聞けばいいこともあるだろう。
オンラインじゃないと出会えなかったこともあるだろう。
だけど、
同じコミュニティ、共同体として生きていくには、
心でコミュニケーションすることが大切だと思う。
内田先生くらい、
お話が聞きたいと、申し込みが殺到する人なのだから、
ある程度、マイクは必要。
大声で話すと、全然面白い、その場でしか生まれない、
化学反応的な会話は少なくなるかもしれない。
先生も大声で話すのはプロパガンダ的な、
手垢のついたことしか言えないものだとおっしゃっていました。
だけど、です。
私も友人も、マイクを通じても
内田先生のお話にぐいぐいと十分に引き込まれ、
時の経つのを忘れていました。
内田先生の一言一言は、
すべて味わい深く、思慮深く、
無駄がありませんでした。
私たちは私たちなりに心で聴けたと思っています。
帰り道、カフェで感想を話し合いました。
こういう友だちがいるって、ありがたいです。
そして、カフェという場を提供してくれる人がいることも、
本当にありがたいです。
カフェは、
持続する地域コミュニティ、地方創生に
必要だと、私は思っています。
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