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目標の一つだったNHKの朝ドラへの出演を叶え「役者として今が一番楽しい」という井上祐貴の見ているもの

NHK連続テレビ小説(以下:朝ドラ)『虎に翼』に第20週から登場した主人公・寅子の再婚相手・星航一の連れ子たち。その一人、長男の朋一を演じる井上祐貴は、2024年の目標に「朝ドラ出演」を掲げていたのだとか。出演を叶えた今の心境とこれからのことを聞いた。

■朋一はピュアな男の子

——朝ドラ「虎に翼」に伊藤沙莉さん演じる佐田寅子のお相手・岡田将生さん演じる星航一の連れ子・朋一役でご出演されました。出演が決まった際はどんな感想がありましたか?
 
井上 嬉しかったです。大河ドラマと朝ドラへの出演は目標の一つでもあったので。大河ドラマには昨年出演できたこともあって、朝ドラ出演を今年の目標の一つとして掲げていましたし、それが決まったことはやっぱり嬉しかったです。
 
——実際に撮影現場に入られて、父親役の岡田さん、義理の母親である寅子役の伊藤さんの印象はいかがでしたか?
 
井上 撮影中はお父さんとお義母さんとして過ごしていますから、完全にお父さん、お義母さんというイメージですが、撮影以外のタイミングではお兄ちゃんとお姉ちゃんという感じです。フラットに話しかけてくださいますし、お酒のことやゲームのこと、趣味のことといったいろんな話で盛り上がって、楽しいです。
 
——朋一はどのような人物として演じましたか?
 
井上 朋一はピュアで、家族が好き。特にお母さんのことが好きなのですが、そのお母さんが亡くなったときのお父さんの対応にずっと思うところがあって。ただ、それを言っても意味がないと、言わないで過ごしてきたのが、寅子さんが星家に来たことによって、何も言わない関係が崩れていくんです。そこにいら立ちを覚えたことから、人間として成長していくのですが、そんな朋一に対してはやっぱりピュアな男の子だなという印象が強いです。

■役者としての瞬発力、決定力、説得力を磨く現場

——朝ドラの現場で役者としてどのような学びを得ましたか?
 
井上 今回初めて朝ドラを経験して思ったのは、撮る分量も多く、何回もリテイクする様な撮影ではないことへの驚きでした。本番は基本的に一回で、よっぽどわかりやすく噛んだり、セリフを忘れたりすればもう一度撮ることもありますが、みなさん、そういうこともないですから、その一回の本番に一番の芝居をできるかどうかが試されている気がしました。「今のはダメだったので、もう一回お願いします」と言える空気ではないですし、「次はここをもうちょっと強めに言おう」という機会もない。その一回に全てを任せられている気持ちになります。自分次第という感覚ですし、その芝居を本番までいかに作り上げるかが大切だということを感じています。なのでそれまでに不安に思うところや疑問なども解消するようにして、何の引っ掛かりもない状態で本番を迎えるようにしています。
 
——お芝居の瞬発力と決定力、説得力を求められるのですね。
 
井上 それをすごく感じています。徐々に芝居を調整していくようなやり方ではついていけないなと思いましたし、ちゃんと準備をしないと大変だなと思いました。
 
——様々な年代、様々なタイプの役者さんとの共演になったかと思いますが、そういったほかの役者のみなさんからの学びはありましたか?
 
井上 役に対してのアプローチの仕方が人それぞれ違うなと感じました。例えば僕が脚本を読むとき、なんとなく「この方がこの役のこのセリフを言うんだな」とイメージをしながら読むんです。だいたいはそのイメージ通りだったりするのですが「そうきたか!」ということも多々あって、それがとても楽しいですし、芝居の学びになっています。

■役者として、とにかく今が一番楽しい

——今年は、朋一はもちろん『マルス-ゼロの革命-』の二瓶久高役、2025年公開の映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』などでお芝居をされてこられました。上半期を振り返るとどのような時間でしたか?
 
井上 『マルス-ゼロの革命-』での役は挑戦でした。僕のことを知ってくださっている方からすれば、ああいう役のイメージはなかったと思うし、僕自身にも正直なかったです。お話をいただいたときには「悔いのないように挑戦しよう」と思って、自分ができることを精一杯やろうと臨みました。あの役と出会えて本当によかったと思える撮影でした。
 
——それこそ昨年は目標の一つでもあった大河ドラマへの出演もあり、様々な作品と出会われてきた今、改めて役者という仕事の面白さはなんですか?
 
井上 とにかく今が一番楽しいです。なにを撮っても面白い。今、時期的にいいマインドなのかもしれません。「これは自分には難しいかもしれない」と最初に思ったとしても、出来た時のことを想像したら「すごく楽しい」って思うんです。この仕事をしていなかったら知らなかったであろうことを体験することができるのはすごく楽しいですし、「新しいことを知れた!」とポジティブにとらえている自分がいる気がして。それがこの仕事の一番の面白さだと思います。
 
——2024年8月の今、思うご自身の「将来の役者像」を教えてください。
 
井上 今とまったく一緒の感覚でいられるわけはないと思いますが、今よりももっと楽しんで、なおかつ貪欲に、どんな状況にも満足せず、役者を追及していって、楽しんでいるような自分でいたいです。でも今のままいけばそうなっているだろうなとも思っています。

■応援してくださるみなさんの反応が楽しみ!

——そして井上さん。2025年カレンダーが発売されることとなりました。撮影の思い出をお聞かせください。
 
井上 昨年までは日常を切り取ったようなカレンダーだったのですが、今回は作品性の強いカレンダーというのをテーマに制作をしたので、見た目の強いヘアメイクや衣裳・アクセサリーを取り入れました。例年は制作の過程で表紙が決まることが多いのですが、今回は「これかこれ」と表紙の候補を絞っての撮影でした。もちろん全ページに全力投球はしましたが、今回のカレンダーに関してはこれが表紙になるんだ、と時間と気力を注いで撮影をした写真の中から選ばれた表紙です。ちなみに惜しくも表紙にならなかった候補写真が裏表紙になったので、その変遷を想像しながら見ていただけたら嬉しいです。
 
——東京と大阪で発売記念イベントもあります。今、イベントに向けて楽しみにしていることを教えてください。
 
井上 今回カレンダーイベントで初めて大阪に行かせていただくので嬉しいです。応援してくださるみなさんと直接お会いできる機会はなかなかないので、カレンダーを手にしたみなさんの反応が見られることが楽しみです。
 
——では最後に今年の後半への意気込みをお願いします。
 
井上 新しいことに挑戦をしたいなと思っています。それは別に仕事のために、ということじゃなくても良くて。自主的に始めたり挑戦したりしたことが仕事に繋がることだってあると思いますし、今まで触れてこなかったことに触れる、そんな2024年の後半にしたいなと思っています。なので積極的にいろんなものに触れていきたいと思っています。

【リーズンルッカ’s EYE】井上祐貴を深く知るためのQ&A

Q.理想の夏休みは?

A.僕は海派なんだなぁ、と今、この質問を受けて海か山かと想像した瞬間に思いました。もちろん山も好きですが、やっぱり海が好きだなぁ、と。シュノーケリングとかもやりたいですね。昔、水泳を習っていたので、泳ぐのも好きですし、マリンスポーツもやりたいです。最近、特にすごく暑いので水に触れたいですね。あと今、気になっている川の近くでやるテントサウナもいいですね。自然の川が水風呂になるので、やったことないけれど想像するだけでニヤけます。

Q.この夏、おすすめのレシピを教えてください。

A.冷製パスタです。夏になるとよく作ります。おすすめの具はオクラともずく、それから梅とミョウガ、そして大葉と茹でた豚バラを水で締めた冷しゃぶを冷たいパスタに絡めて食べると美味しくて、めっちゃ好きなんです。味付けは塩昆布とめんつゆ。塩昆布の塩味で食べるのがいいですね。このレシピ、そうめんやうどんでもいけるのですが、僕は冷製パスタの細目の麺で作っています。

<編集後記>

大河ドラマと朝ドラ出演が目標の一つだったという井上さん。「おじいちゃんとおばあちゃんがいつも見ている番組ですし、いつか出て欲しいと願ってくれていたので、叶えることができて嬉しかったです」という笑顔が印象的でした。

<マネージャー談>

理想の夏休みを聞かれて、海か山の二択で考える井上の天然が出ていた今回の取材。ちなみに私は、井上は旅好きだと思っています(笑)
ただ、本人も話していた通り、日々本当に楽しんでいるのがわかります。そして、現場での本番の一回にかける気迫も。
真面目でちょっと不器用で少し天然な井上をこれからも注目していただけると嬉しいです。

<撮影の様子はこちら!> 

【プロフィール】
井上祐貴(いのうえ ゆうき)
1996年6月6日生まれ。広島県広島市出身。趣味・特技はフットサル、サッカー、水泳、料理、筋トレなど。2017年、大学3年生時に第42回ホリプロスカウトキャラバンに友人の推薦で応募。審査員特別賞を受賞し、翌年ホリプロ所属に。2018年ミュージカル『ピーターパン』(海賊マリンズ役)で俳優デビュー。2019年特撮ドラマ『ウルトラマンタイガ』の工藤ヒロユキ役で初主演。代表作にドラマ「unknown」(闇原漣役)、ドラマ「何曜日に生まれたの」(江田悠馬役)、大河ドラマ「どうする家康」(本多正純役)など。近作にドラマ「マルス-ゼロの革命-」(二瓶久高役)、NHK連続テレビ小説「虎に翼」(星朋一役)、映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」(ハルヒ役)」。


取材・文/えびさわなち
写真/まくらあさみ


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