「30代半ば、自分の行く末が見えてきた」白石隼也、11年ぶりのカレンダーはこだわりが凝縮された1冊に
白石隼也が11年ぶりにカレンダーを発売する。
今回のカレンダーのテーマは「日常」。そんなカレンダーについて白石は、ロケハンから参加し「やる価値のあるものを作り上げた」と気合い十分で話してくれた。
自身の私物やオフの顔が満載のカレンダーの中身について、12月から控える舞台「応天の門」についてなど、たっぷりと語ってもらった。
◾️いつものチームでクリエイティブなものを創作したい
――カレンダーを出すのは2014年以来、11年ぶり。コンセプトのアイデア出しから参加されたそうですね。
白石 カレンダーってかっこいい写真が多いじゃないですか。キマった写真が。ただ、僕としては、そうじゃなくて「いつものスタッフと、ちょっとお金をかけてでも、クリエイティブな写真を撮れる機会にしたいな」と考えました。それなら、やる価値があるし、おもしろいものが作れるんじゃないかなって。
――なるほど。
白石 だから、正直ファンの方に向けたカレンダーというよりも、いつもやってるチームでクリエイティブなものを創作するというのがモチベーションで。正直、ファンの方が求めているものかどうかはわからないです(笑)。
――そうは言っても、タバコを吸っている写真など、なかなか見ることができないカットが満載なので、ファンの方からしたら貴重かと。
白石 実はタバコの写真に関しては、昨年イベントグッズ用に写真を撮ったときのがすごく好評だったのも含めて、ちゃんとメモリアルで作ったほうがいいかなってマネージャーが言ってくれて、今回も入れ込むことになりました。いまどきタバコを吸っている姿を前面に出してる人、なかなかいないですけど(笑)。
◾️事前のロケハンにも参加。アイデア出しから関わって思うこと
――「日常」というテーマにしたのは、なぜでしょうか?
白石 素の僕に近いものを見せていこうと決めたので、僕が普段やっていることだったり、僕自身のリアルな生活だったりを切り取りながらやっていこうと思ったんです。
――事前のロケハンにも参加されたそうですね。
白石 そうですね。今回は、クリエイティブディレクターみたいな人がいるわけでもなく、本当に僕を含めたスタッフ陣で、アイデア出しから始めて、みんなで持ち寄って作っていきました。その流れで「ロケハンに行きましょう」ということになったのですが、僕も行ったほうが当日、短い撮影時間の中で、うまく回るかなと思ったのもあって参加したんです。
――小物も自分でご用意されたとお伺いしています。
白石 そうですね。協力できることはしたいなと思って、ところどころで僕の私物が写り込んでいます。履いているパンツもリアルに僕のパンツだったり(笑)。
――アイデア出しから参加されることって、なかなか経験がないかと思うのですが、率直に楽しかったですか?辛かったですか?
白石 楽しさ半分、しんどさ半分でした。自主映画を撮っているような感覚でしたね。
――どういったところが大変だったのでしょう?
白石 ライティングがしっかりと決まっていて、そこにモデルが立つ……といったような決まったショットを狙っていくというのは、わりと時間がかからないんです。一方、今回は僕の自然な表情を撮るというのがテーマだったので、そういうふうに狙って撮った写真がほぼないんですよ。いろいろなアプローチや動きをして、奇跡の1枚みたいなものをどれだけ残せるかっていうのを、フィルムカメラで撮ってくれたので、緊張感がありましたね。今、フィルムも高いですから、無駄にさせられないなって思いましたし(笑)。だから、いかにリラックスしながら、自然な表情が出せるかという部分に苦戦しました。
――そうだったんですね。
白石 だから、見ていただける方にはドキュメンタリーのような写真を楽しんでもらえたらなと思います。ここまで素っぽい写真は、今まで撮ったことなかったので。
◾️水風船で思いっきり濡れたショットも
――本当にいろんなシチュエーションがありますが……お気に入りのカットはありますか?
白石 改めて見ると何がいいんだかさっぱりわかんないものもありますね。「え?これ、大丈夫……?NG出さないの?」っていうのも込みで。(笑)
――そんなことないですよ!
白石 あ、でも、この外で撮影したシリーズはお気に入りかな。最初と締めで雰囲気の違うアップめの写真を使っているんですけど、これちょうどマジックアワーのタイミングで、いい自然光が来たから撮れたんです。天気次第では「難しいかもしれないね」って言ってたんですけど、天気が味方してくれてよかった。
――さまざまな条件が重なり合ってできた1枚なんですね。あとは、水風船のお写真も印象的でした。
白石 これは「梅雨」っていうテーマで作成しました。これこそファンが喜ぶかどうかはわからないんですけど、結構思いっきりかけられて。フィルムっぽさもあるし、いいショットだなと思います。
――ここまでずぶ濡れになることって、なかなかないでしょうね。
白石 そうですね。本当は6月とか梅雨っていうテーマで雨とか水みたいなものを絵に入れて撮ろうと思ったんですけど、撮影した日がすごく快晴で(笑)。傘を差して水を降らせても全然しっくりこなかったんですよ。
それで、最後に一応持ってきた水風船を使って遊んでるところを撮ったら、けっこうおもしろいのが撮れました。こういう狙っていないハプニングみたいなのが撮れるのも、写真のおもしろさだなと改めて思いました。あと、思い出と言えば、実は直前に親知らずを抜いて、顔が腫れちゃったんですよ。それが落ち着いた直後に撮ったっていうこともあって、若干凹んでいるようなものもあると思います(笑)。正直、ギリギリまで撮影できるかはわからなかったので、キャンセル料が発生するのはいつからかみたいな話もしていました。
――そうなんですか(笑)。気になるところで言うと、幼少期の写真も載っていますね。
白石 はい。わりと本邦初公開的な写真を引っ張り出してきました。実は、本編では使われていないですけど、全く同じポーズでも写真撮ったんですよね。
――文字とかイラストなど、手書き感も溢れていますね。
白石 ここは、こだわりというよりも編集してみて、ここまで手作り感のある写真が続くのであれば、文字も決まったフォントを使うよりは、ちょっとずらして自分で書いたほうが合うのかなと思ったんです。細部に至るまで手作り感が溢れてます。
◾️初の“平安京”作品「楽しみでしかない」
――12月には舞台「応天の門」も控えていますね。稽古はこれからとのことですが、お話をいただいた際のお気持ちを教えてください。
白石 いつもお世話になっているプロデューサーさんからお話をもらったのですが、演出の青木(豪)さんが僕がやっている舞台を見に来てくださったことや、明治座さんとの繋がりなど、いろいろなご縁を感じて、お受けしたいと思った次第です。
――何か楽しみにしていることはありますか?
白石 そうですね。平安京の話なんですけど、僕、舞台で時代劇ってやったことないんです。時代劇自体も、江戸時代と戦国時代までしかないので、それより前の平安時代のお芝居ってどうなるんだろうってワクワクしています。一言で時代劇と言っても、所作とか言葉とか、衣装とか、けっこう違うと思うんです。なので、そういうところをイチから学ばなきゃいけないなと思っています。
――なるほど。
白石 カツラや衣装も、すごい重たかったりするでしょうね。そういう風に考えると、初めてなことがたくさんあるので、そこに関しては、とても楽しみです。あとは、明治座っていう歴史のある劇場、和のものが似合う場所で平安時代をやれるのもとてもいいなと考えています。とりあえず、稽古が始まるのが楽しみです。
【リーズンルッカ’s EYE】白石隼也を深く知るためのQ&A
Q.そろそろ秋が近づいてきました。この夏、やり残したことは?
A.今年は夏、全然遊べなかったんです。なので、海とか川に行きたいですね、秋に。沖縄とかで夏を取り戻したいなと思っています。
Q.2024年の前半を振り返ってどんな半年間でしたか。
A.いつも通り、劇的な変化はありませんでした(笑)。ただ、自分が目指していく方向というか、自分の道みたいなものを明確に定められるようになってきた半年間だったなっていう気はしていますね。30代も半ばに近づいて、より自分自身の方向性みたいなのが自分のなかでは固まって、日々充実していました。
Q.オフの時間はどんなことをしているのでしょうか?
A.去年舞台の脚本をやったり演出をやったり、その前は映画をやったりして、自分自身でも創作を続けたいなと思っています。なので、一人の時間は、そういうものの準備だったりとか、仕事以外のインプットをする時間に企てていますね。その辺が明確になってからは、本当に毎日がとても充実していて、1日1日がすごく短いように感じて。このまま死ぬんじゃないかなっていう思いも同時に感じています。「あっという間に終わっていくんだ、本当に」っていうことも感じ始めた年頃なので、ダラダラやってんじゃなくて、スピード感もってやっていきたいですね。
<編集後記>
写真のこだわりを聞くと「難しいな」と言いながらも、1つ1つのエピソードを丁寧に答えてくださった白石さん。本文中では紹介しきれなかった、冷やし中華を食べているものや、お風呂場での撮影、部屋でくつろいでいる風のカットなど、普段は見られない写真がたっぷりと詰まっています。今後、白石さんがどのようにクリエイティブに携わっていくのか、楽しみです。
<マネージャー談>
今回のカレンダーは本当にいつもの白石隼也を作り上げているメンバーと共に作り上げた作品のようなカレンダーになっています!
撮影は真夏で、本当に暑くて…みんな疲弊している中で白石が士気を上げ続けてくれました。冬服を着てもらったり、一番暑くて大変なはずなのに…!(涙)
カレンダーに入っている文字はすべて白石の手書きです。
「あらしのよるに」の稽古前に早く来てもらって、ファミレスでひたすら文字を書いてもらったり…本当に最初から最後まで白石隼也がしっかりと手作りしたカレンダー、ぜひご覧いただきたいです!
取材・文/於ありさ
写真/RYO SATO