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イノセント・デイズ/早見和真
出会ってしまった。私の人生においてこの作品はずっと心のどこかにあり続けるだろう。
読み始めたときは、家庭環境や友人、社会に恵まれない女性が元恋人を恨み事件を起こした。その女性の過去を綴っていく作品なんだなと思っていた。
裁判で死刑の判決を言い渡された内容が章になっており、その時関わった人物から当時の幸乃がどういう子供だったのか、家庭だったのか、性格だったのかが語られる。
ニュースで犯人の写真
私にふさわしいホテル/柚木麻子
小説家になりたい加代子が才能がありながらも、中々芽がでない。そんな加代子が紆余曲折あって売れっ子になるサクセスストーリー。そんな単純な説明では終わらせられないのが、この作品、いや、柚木麻衣子さんである。
予想外というのか奇想天外な加代子に振り回されていく周りの人達。なんだか、なりふり構わず、自分の夢を追いかけ、叶えるために手段は選らばない。そんな加代子のパワフルさや執念に笑わしてもらいながらあっ
派遣社員あすみの家計簿/青木祐子
幸せって何だろう。
20代の時に幸せをバロメーターであらわすためには、有名な企業に就職、良い男と付き合う、ブランド品を身に着ける、女としてチヤホヤされる。そんなことにすがりながら幸せをアピールしたい。でも一体誰に?
自分が何も持っていないのではという不安から焦り、何かを持っている人と関係があることで自分の価値を求めてしまう。そんな主人公あすみが寿退社した直後に婚約者に逃げられ、どん底から這い上
そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ
本屋大賞にも選ばれていいて、ありとあらゆる本屋に平積みされているのを数年前に見ていた。読みたい、読みたいと思いつつ機会がなかったのだが、今回は巡り会った。
瀬尾さんの作品を読むのはこの作品が初めて。まず、驚かされたのはストーリー設定。父が2人、母が3人という異色の設定にも関わらず、なぜかすんなりと受け入れてしまうのは瀬尾さんの巧みな語り口と登場人物の嫌味のなさからくるのかな。
私は個人的に森宮
ありふれた愛じゃない/村山由佳
堅実な年下の彼とワイルドで危ない匂いがするけど猛烈に惹かれてしまう元彼。
20代後半から30代になると誰しもふと考えてしまうのではないか。このままあれふれた人生を歩んでいってもいいのか。若い頃は少年すぎる刺激のある彼氏に安定を求め、歳を重ねる毎に刺激を求めてしまう。周りからの評判も良く、会社でも信頼されている、豪華な生活はできなくてもお金に困ることはなさそう。彼といると落ち着くし、安心する。彼と