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英会話習得への遠い道のり

資格や検定、今までしてきた勉強などについて、デザイナー目線で書いています。
今回は英語について。

習い事としては最長の期間続けていて、話も長くなりそうなので、どうせならいっそのこと、最初から書いてみようと思います。

習い事以前:中高の英語は得意科目でした

最初に英語を習ったのは、多くの人と同じように中学一年生の時。初めに覚えた文章はご多分に漏れず、This is a pen.  

この文は言うまでもなく、当時の中学生に英語なんて使う機会はまずない。でも習い始めの先生に恵まれたこともあり、新しい言葉を覚えるのはとても面白くて得意科目になりました。

特に中2の時の英語の先生がイギリス留学帰りで発音も話題も本場っぽく、こちらのモチベーションもあがったのは幸運だったと思います。
(イギリス留学なんて夢の夢。のちに自分が経験するとは思いもせず…)

街で外国人を見かけることさえほとんどない当時は、英語での会話は現実味もなく、授業は当然読み書きがメインで疑問もありませんでした。全くのカタカナで教科書を読む先生もいて、高校の時は「あの先生、アメリカ行った時通訳つけたらしいぜ」というまことしやかなうわさまでありました。(本当だったんだろうか?)

英検は4級、3級とサクッと受かって、何を間違ったか何の準備もせずに2級を受けて撃沈。検定はそのまま諦めてしまいましたが、英語自体は得意科目のまま卒業しました。

専門学校の英語のゼミは脱落

高校卒業後通ったデザインの専門学校は夜学でしたが、土日の昼間、ゼミをいくつか取りました。英語も一度取ったのですが、専門学校で高校と同じような文法の座学の授業は少々退屈してしまって続きませんでした。

かといって、昼仕事・夜勉強のルーティンの中で独学する気力もなく、これはちょっともったいなかった。高校と同じことやってると思っても、続けていたらあんなに忘れることはなかったはず。

その時は、語学って勉強しないと(接していないと)忘れるってことがわかっていなかったんですね。

留学前にカルチャースクールの早朝英会話で集中授業

専門学校を卒業して2〜3年経った頃、つまり高校を卒業して英語から離れて4〜5年経った頃。

友人を頼ってドイツに行くことになりました。

ドイツで泊めてもらう友人は里帰りで1ヶ月ほどいなくなります。ひとりでそこにいても面白くないので、その期間、イギリスに短期留学することを思いつきました。

我ながらいいアイディア! 

と決めたはいいが、中高で習ったことはだいぶ忘れていたので、いきなりイギリスの学校に行く前に、通勤途中にある百貨店のカルチャースクールの早朝英会話に通うことにしました。

だいぶ昔のことなので記憶が曖昧ですが、確か8時くらいから30分(か40分)くらいずつ、週3〜4回。その後会社へ。

先生はカナダ人。説明も何もかも全部英語で日本語一切なし。

ブランクのせいもありますが、外国人と話すのは人生初+生の英語で、なにを言っているのか本当にさっぱりわからない。今思うと少しフランス語訛りだったような気もする……

それでもほぼ毎日続けているとだんだん耳も慣れ、先生を真似しているうちに、自分でも似たような音が出せるのが面白くなってきました。

半年くらい通ったでしょうか。出勤前のクラスはまあまあきついのですが、学生時代はもっときつかったし、なにより若かったので続きました。いわゆる謎の体力。

私は歌うことにはちっとも興味がないけれど(下手だしね)、自分の口から今まで出せなかった音(発音)が出せるようになるのは本当に面白いと思う。後から覚えた新しい言葉で誰かと意思が通じるのも面白い。それに気づいたのは多分この辺りが最初。フランス語も然り。

一回のレッスンは短時間でも、集中して頻繁に通ったのは効果があり、高校を卒業した当時の語彙や文型は戻らずとも、耳と口はだいぶ慣れました。

ケンブリッジの語学学校に1ヶ月のプチ留学

そして退職、渡独。

最初の数週間は、夏休みをとって一緒に行った元同級生と一緒にヨーロッパをまわりました。コミュニケーションはカタコトの中学英語と5ヶ国語会話集。それと小さな辞書。旅するだけならこれでなんとかなります。

休みが終わった同行者が帰国した後は、ドイツの友人宅にそのまま居候です。買い物などのために簡単なドイツ語は覚えますが、数字と挨拶、簡単な決まり文句くらい。そうこうしているうちに友人の里帰りの時がやってきました。

彼女は日本へ。私はドイツからイギリスへ。これが私の初めての一人旅でした。

列車を乗り継ぎ、ドーバー海峡を船で渡り、そこからまた列車を乗り継ぎ、ケンブリッジのホストファミリーの家まで無事辿り着きました。

学校では最初に試験によるクラス分けがあります。

事前に読んだ本には“日本人は試験は良くできるので上のクラスに入るが、会話に慣れていないのでクラスが始まると苦労する”とあったのですが、いろんなことをすっかり忘れていた私は見事、下から三番目のクラス(日本人の中では一番下のクラス)に入り、その点ではちょうどよかったと言えるかも。

授業は当然全部英語で、これは事前にカルチャースクールに行っておいて本当に良かったんですが、最初に面食らってしまったのは意外にも文法用語でした。

先生が頻繁に言うsubjectとかverbとかobjectとか、最初何を言っているのかさっぱりわからなく…

あ、学校で習った S V O とかってこれのことだったの!? と気づいた時はひとりで笑いました。

6年間、中高で勉強して、誰も「S」がsubjectだなんてひとことも言わなかったよね。(カルチャースクールでは文法の話はなかった)すっごいベーシックな話をしていたのに、ぽかんとして不審がられて(たぶん)しまった。

そんなトンチンカンな状態でしたが、エルビスコステロの歌詞を題材にしたりと初級ならではの工夫がされている授業で、とっつきやすかったように思います。

バカンス気分でほとんど素の状態で行った1ヶ月程度でそんなに効果が出るわけもなく、英語スキルの向上は微妙でしたが、授業だけでなく、ホストファミリーとのコミュニケーションも当然英語でなんとかしなくてはならず(大人だけでなく子どもとも!)、ついでに近所で差別的な言葉を投げかけられたりして、短い間でしたがいろんな経験をしました。

クラスメイトはイタリア、スイス、ユーゴスラビア(当時)、イラク、そして日本からとバラバラ。しかも下のクラスのせいか私を含めて皆、母国語訛りが強く、国際色豊か感倍増。年齢層も広くてなかなか個性的なクラスでした。

(たぶんお互いに)難しいことが言えなくて、最低限の会話しかできなかったのは少し残念。

トップ画像はケンブリッジの書店で買った中級テキスト。これは数十年経って、個人レッスンの時に使うことになりました。チンプンカンプンだった割には良いチョイスだったよう。

帰国、そして再び長いブランク

ドイツ(+各国)で7ヶ月滞在&旅行して帰国した後は、今度は広告制作の会社に就職し、しばらく英語からは遠ざかってしまっていました。

時はバブル(の後半)。駆け出しのデザイナーに余暇などはないのです。もちろん習い事なんてできるはずもなく。

あの頃を知らなかった人にたまに言われることがあるんですが、バブル期は皆綺麗に着飾って踊っていたわけではないし、皆儲かってウハウハだったわけでもない。ぺーぺーのデザイナーはただただ朝から未明まで働き、そしてまた朝から未明まで働いていたのです。基本給は確かに高卒の同世代に比べて良かったようだけれど、小さな会社で残業代も出ないしなんの手当もない。実働時間を考えたらたぶんかなり安かった…。しかも最初は実家から通っていたので、寝る時間さえほとんどありません。

まあそんなわけで、いつかまた習いたいなあと思いつつ、英語はまたしても一旦お休み。デザイナーとしてやっていけるかどうかの分かれ道だった頃で、これは今考えてもしかたなかったと言えそう。

ローカルな英会話教室でのメリットとデメリット

実家を出て都内に暮らすようになって、仕事も多少余裕ができてきた頃、近所に英会話教室ができるときいて行ってみることにしました。近所で週一ならなんとか通えそうです。

大手と違い完全月謝制で、一度に何ヶ月分かの授業料を納めたりしなくて良いのも魅力でした。やめたければいつでもやめられる。

1クラスは最大5名。習い始めは簡単なテキストを使っていましたが、慣れてくると新聞の記事などを題材にしたりとかなりフレキシブル。クラスメイトも時間帯のせいかいろんな職業の人がいて、近所なので個人的にも親しくなったり気軽な感じでした。勉強勉強していないので忙しい身でも続けやすいのは良い点でした。

反面、先生によるところも大きくて、びっくりするくらい良い先生も多かったのですが、中には???な先生も。基本的に同じ先生が担当してくれる担任制でも、事情でやめたりすると違う先生に代わります。やたら厳格で気分屋だったり、先生というよりただのネイティブスピーカーというだけなのでは?みたいな先生もたまにいました。

それでも近所だし、時間帯も通いやすく、とにかくここは長い間通いました。先生と合わなくてやめようかと思ったこともあったんですが、結論から言うとやめなくて良かった。というのは会社勤めでデザイナーをしながら継続して通えるところは結構条件が限られるから。

そんなに厳しくなくて、半分クラスメイトとおしゃべりにいくような感じなのでだらだらと続けられたのも実はポイント。変なプレッシャーがないのは大きいです。

一旦やめて離れてしまうとすっかり忘れてしまい、再開するのが大変なのは経験済み。

大手の英会話スクールで教育給付金制度を利用する

家の近くの教室に通い慣れてきた頃、教育訓練給付金制度を知りました。会社員のうちに利用したいと思い、無謀にも今までの教室にプラスしてもうひとつ英会話をやってみようと大手の英会話スクールに申し込みました。

〇〇校、〇〇校…と主要駅に展開されているところで、教育訓練給付金制度は最初のうち、こういう大手しか扱ってなかったと思います。

給付金のコースは週2回で、4〜5名までのクラスと8名までのロールプレイング中心のクラスの二本立てでした。それに加えて今までの教室と、週3回の英会話重点期間に突入です。

こう書くとなんだかすごいですが、レギュラーの教室は雑談ベースなので可能だと踏んだのです。この時にはアートディレクターを名乗っていて、ある程度スケジュールをコントロールできたのも大きい。

さて、大手のスクールはテキストもカリキュラムもしっかり設計されていて、毎回目標があり、わかりやすく勉強できます。そこはメリットなのですが、少しばかり落とし穴がありました。

英会話のグループレッスンというのは、たいてい生徒同士で会話をさせたり、ロールプレイングをさせたりするので、授業の良し悪しや相性は先生や教材だけでなく生徒も関係してくるんですね。

そこは学生街の駅前のスクールで、生徒も学生が多い。それ自体は別にかまわないのですが、英会話を習いにきているはずなのになぜか“しゃべりたがらない”学生さんが一定数……。近所の英会話教室は、どこで話を挟んだらいいのだろうかというくらい喋る人も多かったのでカルチャーショックでした。

特に多めの人数のクラスで、ペアを組んでの会話練習。先生は見回るだけだった時。

定型文を少しだけ変えて会話(らしきもの)をすればいいのに、ペアを組んだ相手の学生さんがあいまいな笑みを浮かべるだけでひとこともしゃべってくれないことがあって困りました。こちらから話を始めてみても、ゆっくり話しかけても、テキストを見せて指差しても反応なし。

自分でお金払ってないからこうなるの?本当は来たくないの?恥ずかしいの?間違えるのが怖いの?といろいろ考えたけど、なんというか、彼の事情はともかく私のお金と時間はこの沈黙に消えてしまうわけ?とちょっと腹も立ち……回ってきた先生にどうにかしてと軽く訴えたのですが、人数が多いので私たちばかり世話を焼いているわけにもいかないようで。

なので教室を探す時は、どんな層が多いのかも聞いてみたほうが良いのかも。フリーカンバセーションが多いところは尚更、話題なども共通項がある方が楽しいし、馴染みやすい。

他の少人数クラスで、初顔合わせの学生さんと二人だけだった時、先生が学生さんに、私に対して何か質問をしてみてと言ったところ、私を前にしばらくじっと考えて発した第一声が、

How old are you? 

……これは学生同士、あるいはかなりの高齢者か子どもに聞く質問(汗)。
私はその時どう考えても学生には見えない30代。倒れそうになりました。
(何を聞いて良いかわからなかったとはいえ、せめて名前を聞いてからに……)

いろいろ課題もありましたが、週3回集中して勉強したこの時期、いつものクラスでのコミュニケーションが少し楽になったという感触はありました。なんだかんだ言っても、やはり時々集中してレッスンを受けるのは効果的。

でも、このスクール、初めに面接(日本人とネイティブの先生両方)があってそれで中級のクラスに入ったんですよね……。中級クラスなのに一言も発しないとか、初対面のかなり年上の社会人にいきなり年齢聞くとか。年齢聞いたのは英語以前の話だけど(中級なら他の質問ないの?というのはあるが)、しゃべらないで面接が成り立ったのか、大学生は面接免除で中級以上になるのか、なんだったんだろう。

個人レッスン

前述の地元の英会話教室にはだいぶ長い間通っていたのですが、ある時クラスがなくなることになり、個人でレッスンを受けることになりました。

カフェで行うので若干落ち着かないところもありますが、私のほうで打ち合わせや抜けられない仕事がある時、逆に先生の都合が悪い時は違う日にずらしたり、このコロナ禍ではオンラインに切り替えたり、臨機応変にできるのは大きなメリット。すでにフリーランスになっていたのもこのスタイルが合う理由かもしれません。

会話はそもそも静かなところでばかりするものではないので、カフェの少しざわざわした中で話すのも、実地訓練に近い良い練習。

個人レッスンなので私の希望を最大限汲んでもらえるし、自分が喋る以外はネイティブの英語が聞けるので、グループレッスンよりも相当濃い時間。沈黙があるとすれば自分のせいなのでハードではあるけれど、上達には近道かなと思っています。ある程度しゃべれるようになりかけてきた頃だったのも良いタイミングでした。

といっても、他の日に勉強する時間はあまり取れないので、度々(何度も教えたのに忘れてると)呆れられてはいます。でもめげない。英会話を続けるにはある程度の鈍感さというか、マイペースを認める気持ちも大事かも。

ゆっくりではありますが、個人レッスンを始めた頃よりは自然に話ができるようになってきている実感があるし(←先生がどう思っているのかは別として)、仕事で英語を使う時に気軽にアドバイスを求められるのもありがたいです。

まとめ

デザイナーにとって長期間習い事を続けるのは、なかなか困難なことなんじゃないかと思います。通う時間が取れても自分で復習したりするのはまた別の次元。くじけそうにもなりますが、語学はとにかく、だらだらとさぼりがちでも、少々いい加減でも、やめないことが肝心じゃないかというのが私の今のところの結論です。

ただし、いつもだらだらしているわけでもありません。

仕事が忙しくて疲れて面倒になったりすることもあるんですが、逆にすごくやる気になることもあり、そんな時は集中していろいろ試してみます。勉強していると、伸び悩む時期と突然上達する時期が交互にやってくるので、この割り切りは理にかなっているんじゃないかと思っています。

かけた時間と費用に今の習熟度が見合っているかは微妙だけど、気づけばレッスンの際には普通に世間話ができているし、BBCの記事など海外の情報も前に比べたらだいぶ読めるようになっている。ドラマや映画もだんだん聞き取れる部分が多くなってきました。

まだまだ途上で、知らない単語は湧いて出てくるし、学生の頃に比べて単語を覚えるのは大変。普通の生活では使わないので覚えたはずのことも忘れる忘れる。あと、面と向かって話すのはいいけど電話は苦手だし、読むのはやっぱりちょっとイマイチ。でも少しずつできるようになっているし、少なくとも後退はしていないはず。

現状、特に際立った目的もないんですが、いろんな意味で世界が広がることは確かだし、なにより言葉を習うのは好きなので、可能な限りずっと続けるんじゃないかと思っています。バイリンガルは脳トレにもなるようですし、違う意味でも有効かも(笑)。

おまけ:デザイナーとしてのメリット

最後にいつものようにデザイナーとしてのメリットを少し。

今の私の現状から考えると、英語の制作物を担当する時、よほど難しい内容でなければ日本語のテキストをもらうときと同じような感覚で扱えるので、トンチンカンなレイアウトは避けられます。制作中にアクセントとして英文を入れたい時も、不安な場合は先生にチェックしてもらえます。

だいぶ前にデザインしたものを海外で印刷するということで、英語で説明をつけたこともありました。珍しいケースでしたが、印刷に限らず海外とやりとりすることはこれからきっと増えていきますよね。

初期の経験では(相当の片言でしたが)プチ留学後に戻ったドイツで仕事にありついたことも。

変わったところでは外国人エージェントからSNSを通じてスカウトやオファーが入ることもあり、面接に行ったこともあります。

結局、請負ではなくヘッドハンティングの話だったので、そこまででおしまいでしたが、ここでのコミュニケーションもクリア。海外でなくても外資系企業で働きたいなどの希望があれば、道が広がる可能性も。若いデザイナーさんなら特に、デザインスキルだけでなく、英語は勉強しておいて損はないんじゃないかと思います。


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藤原ユカ| L'escargot Design
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