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名古屋の旅 2024 冬 ① | えび千両ちらしとイノベーティブ・フレンチ

東京から西へ300キロ、東海地方最大の都市、名古屋へ行ってきた。
静岡より西はなかなかご縁がなく「近くて遠い地」だった名古屋へ初めて訪れることになった。

名古屋ド素人の自分による名古屋の知識はなり乏しい。
 ・ういろう、ひつまぶし、小倉トースト、名古屋コーチン、味噌かつ
 ・名古屋城、熱田神宮、大洲商店街、喫茶マウンテン
今回の一泊二日の旅で、これらのステレオタイプがどのように変化していくのだろうか。

新幹線改札で引っかかる

行ってきたのは2月。
祝日の金曜日、そして三連休初日の東京駅はとんでもなく人であふれていた。
駅構内の土地勘は一応あるものの、在来線から新幹線乗り換え口までの順路がわからなくなるほど行き交う人&人で各通路が埋め尽くされていた。

新幹線に乗るのは久しぶりで、前回乗った時はまだ紙の切符を買っていたため、モバイルPASMO且つ同行者の分も事前予約するという完全チケットレス&キャッシュレスは今回が初めての挑戦となった。スマホアプリ「EXアプリ」で1ヶ月前から座席指定で予約は完了した。同行者のSuica番号も予め入手し、手順に従いアカウントへの紐付けも完了していた。

連休初日の新幹線乗り換え口は人で溢れており、人が次々と無言で改札に吸い込まれていく。本当にモバイルタッチだけで改札を通れるのか、ドキドキしながら乗り換え口を通った時、

ピンコーン

と異常を知らせる不穏な音と共に無慈悲な赤ランプが点灯、私だけが引っかかってしまった。(同行者は通れた。)
何故なのか。ちゃんとアカウントに予約を紐付けたはずなのに。
1日の利用者数が何百万人となるであろう連休初日の東京駅にて、新幹線連絡改札の一つを止めたのは私でございます。ごめんなさい。ごめんなさい。
幸い係員の方が近くにいてテキパキと対応してくれたものの、相当イラっとしていた感じは否めなく、しかしながら悪いのは私の方である。ほんとすんませんでした。

テクノロジー怖い…
こうやって人は老いていくのかと改めて感じる。私は新幹線にすら乗れない人間なのか。もう東京はおろか地元から出られない、いや家から出ないほうがよいかも…とただでさえ低い自己肯定感がもはや瀕死状態に。
前回の「ポーたま」で飛行機に乗り遅れそうになった件と同様にこの手の出来事は著しく自己肯定感を損ねてくるものだ。

※引っかかった原因
・EXアプリで紐つけたPASMOの番号末尾:XXXX
・モバイルPASMOの本来の番号末尾:ZZZZ
入力ミス?どころでないレベルで全く違う番号だったわけだが、何故そうなったのか。
現在のiPhoneに変えた際に物理カードのPASMOをモバイルPASMOに切り替えた。どうやらカード→モバイル形式に切り替えることにより番号が新たに付与され、同時にカードの番号は無効化されるとのこと。(したがってカードはもう利用できない)それを知らずにEXアプリで予約をモバイルPASMOに紐付ける際にカード裏面の番号を見て入力したため、既に無効になった番号に紐付けていたということだ。
番号入力すらままならない無能なのかと落ち込みかけたが、これは結構な罠なのではないだろうか。PASMOだけでなくSuicaでも同様のことが起こり得るため、モバイルSuicaに変更した際は注意が必要だ。
参考:「モバイル PASMO にすると番号も変更されるのだった

駅弁 えび千両ちらし

新しいテクノロジーによっていきなり出鼻をくじかれた一方で、恩恵もあった。
人気すぎることから売切れ必至で入手困難と言われる新潟発の伝説の駅弁「えび千両ちらし」が何と事前ネット予約で確実に購入可能なのだ。

蓋を開けると飛び出してくるのは一面の玉子焼き。
ピンク色のえびそぼろが散りばめられた玉子焼きをめくると、その下にはうなぎ蒲焼、コハダ、イカ、えびの具材がお目見えする。ご飯と具材の間にはおぼろ昆布が敷いてあり見た目も鮮やか。この隠蔽感は倹約令の中、豊かな海の幸の具材を箱の底に隠した岡山の「返し寿司」を想起させる。

卵焼きは優しい甘みのある出汁味でたっぷりいただけるのが嬉しい。コハダは締め具合が絶妙で、柔らかく煮たイカは噛み締めるほどに味わい深い。新潟県産のコシヒカリを使用したご飯もしっとりしていてついつい進んでしまう。
見た目の奇抜さだけでなく、お味も上質で売り切れ必至も納得である。
東京駅へ行く機会があるならば是非予約購入をお勧めする。

一面に敷き詰められた玉子焼きからの
玉子をめくると具が隠されている

新幹線で1時間半、えび千両ちらしを食べ終わるとまもなく名古屋へ到着。なお、あいにくの天気で途中、富士山は見えなかった。
ランチの予約があるため、新幹線口から地下鉄桜通線へ移動。初見でもわかりやすく迷わず乗り換え対応できた。

名古屋市内の移動は市営地下鉄をメインに利用した。
名城線、桜通線、鶴舞線を利用したが、機能的で乗り換えもわかりやすく、しかも各駅のトイレも綺麗で大変お世話になった。休日のため比較的空いていたと思われるが、平日の朝夕ラッシュ時はどれくらいの混雑になるのだろう。

マップ:https://www.kotsu.city.nagoya.jp/jp/pc/subway/routemap.html

le Lotus ロテュス / イノベーティブ・フレンチ

地下鉄桜通線で名古屋から4駅の高岳で下車し、そこから徒歩3分ほど。デザイナーズマンションの1Fにエキゾチックな植栽と共に佇む控えめなエントランス。木の温もりと角のない丸いフォルムをテーマにしていると思わせる内装で、木製のテーブルと椅子が5セットほどと数席のカウンター席からなるこじんまりとした作りである。カウンターでシェフの所作を見させてもらうのも一興と思ったが、今回はテーブル席を案内いただいた。完全予約制のフレンチレストランだが、堅苦しさのない心地よいカジュアルさになんだかホッとする。この素敵な空間でどんなお料理が出されるのだろう。

最初に運ばれてきたのは大型の木型に乗せられた前菜だ。
浅くくり抜かれた滑らかそうな木型の器に、石と木の枝そして店名の由来でもある蓮の葉がデコレーションの小道具として効果的に使われており、前菜5品がそれぞれ個性の異なる登場人物として引き立てられていた。
前菜は次の5品を一口ずつ。
ケークサレ、キッシュ、アオリイカ、カツオ、エビフライ
いずれも丁寧に作られており、また名古屋らしさもあり?ディスプレイ手法も相まって、とてもワクワクした。

前菜5品:緑の葉は店名でもある蓮の葉
ボール型に成形されたバター

続いては冷菜。
鯖とリコッタチーズを薄く切った大根で羽二重餅のように挟んだもの。
トッピングの擦りおろされた碧南人参は甘くて見た目も鮮やか。
そして鯖とチーズがこんなに相性が良いとは。W主役の鯖とチーズをさっぱりとした大根で包むことにより、バランスの良い一皿としてまとめ上げられていた。

薄切りの大根の中に鯖とリコッタチーズが隠されている。羽二重餅のよう。

続いては縮緬キャベツのシューファルシ(ロールキャベツ)。
縮緬キャベツのしわしわがよくスープに絡む。スープ自体はとても優しい味付けで、添えらえたフルーツトマトの甘味が良いアクセントになっていた。 

縮緬キャベツのシューファルシ

メイン一品目はヒラスズキのクリームソース。
なめらかなクリームソースの上から醤油味の黒いソースが点々と振り掛けられている。この白と黒のソースが混じり合うとバランスの取れた味となり、身厚の白身魚によく馴染む。トッピングの素揚げされた菜の花はサクサクとしており、柔らかな白身魚と異なる食感が楽しめた。

ヒラスズキをクリームソースで。菜の花の素揚げをトッピング。

メイン一品目が出されると、室内がウッディなアロマで満たされた。キッチンに目をやると、ストーブに薪がくべられ炎が上がっていた。そしてその炎でメイン二品目の神楽牛が調理されていた。最終的に神楽牛は切り分けられ、カラフルなグリル野菜と一緒に提供される。薪の香りを纏った赤身肉をコクのあるソースでいただく。焚き火のアロマと舞い上がる炎のビジュアルはメインディッシュ上の世界を飛び越えて、空間全体をも演出する効果的な舞台装置となり、記憶に残るひと皿となった。

薪で香り付けられた神楽牛

大満足のメイン2種のあとはデザート。
いちごとチョコレートメインの可愛らしい盛り付け。
そしてコーヒーと共にミニャルディーズ。
一口サイズのカヌレ、マカロン、羊羹も全て手作りだそう。

いちごミルクアイスとチョコレートエクレア
ミニャルディーズ:カヌレ、マカロン、羊羹を一口ずつ

これで全てのお料理が提供された。
居心地の良い店内の雰囲気も相まって、なかなか去り難い。
しかし、お腹も気持ちも大満足であった。
これが名古屋での最初の食事とは幸先が良さそうである。

le Lotus
愛知県名古屋市東区泉3-23-20 グランエスポワール泉 1F

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