おいてけぼりの国【その闇 編】
周回遅れをきめこんで
かき回すコーヒーの渦の中に
沈み込み 飲み込まれていきそうな毎日
どす黒く 深い 隙間を
時間で埋めて
お釣りがこないかと
空を見上げている
鞭打つ番人は いないけど
見張りのいないこの港
船を出そうにも
潮目がわからず
立ち尽くすのみ
世間は
光の速度で進んでいるのに
私は
のろまな足を
後ろ向きに動かす
亀にも笑われそうな
いや、
亀にさえ
相手にされない
歩みの遅さ
さっきのコーヒーは
もう冷めてしまって
湯気に乗り
漆黒の宇宙へ
旅立つすべはない
ドウシテココニキタ?
ドウシテココニイル?
繰り返される
尋問のような
時間だけが
私の
生活を覆い
そして
いつの間にか
昨日は一昨日となり
今日は昨日となり
でも
いつまでたっても
今日が未来(あす)にならずにいる