薔薇の牧場で舞う者は 002
@アデレード・南オーストラリア
街を見ていた。
窓一面に広がる光の群れ。その向こうに、セントヴィンセント湾。左手前にフルリオ半島〜カンガルー島。南極大陸へと繋がる海はその先だ。
「どう思う。」
「何のことかしら。」
「命名のことさ。」
「●●●:・・・ のことね。」
「そうだ。」
「いいんじゃないの。日本語で良い表現があったわね。
O!YEAH!SAIKO!」
「お家再興、だな。」
「そう!それ!他の拠点は・・・の後ろに地域名をつけるけど、かの場所だけは頭につけた。それが数百年前の屋号と同じになるとはね。」
「偶然なのか、必然なのか?」
「偶然に決まってるじゃないの。でも、解るわよ。あなたの気持ちは。」
「−−−準備は出来たか?」
「もちろんよ。」
「あとどれくらい?」
「3分20秒」
突然、彼女は歌い出した。データ送信で済むものを。いかにも彼女らしい。
「🎵-----------
データ検索。2023年1月リリース。3分15秒の短い曲。だがChoiceはバッチリだ。その歌詞!我が父祖の思いもかくあらん。
小さな小川が幾つも合流し、一本の大河になった。よくぞここまで来たものだ。神に感謝す!
歌は続く。
🎵-----------🎵-----------
歌が終わる。
Hey!着いたわよ。」
15メートル背後のドアが外から開いた。
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