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私がレッジョ・エミリア教育を選んだ理由
レッジョ・エミリア・アプローチという、幼児教育アプローチを知っていますか?
イタリア発祥の幼児教育として、モンテッソーリ教育はよく知られていますよね。
レッジョ・エミリア・アプローチも、イタリア生まれの幼児教育アプローチです。
「世界で最も前衛的」な幼児教育と評価され、アメリカのGoogle社付属幼稚園でも
導入されました。
日本の幼児教育関係者からも注目されていて、私の住む町には視察の方が
日本からたくさん訪れています。
私はレッジョ・エミリア・アプローチの本場の街で
生後5か月から保育園に通った息子の母です。
今日は私が我が子にレッジョ・アプローチを選んだ理由を語ります。
レッジョ・エミリア・アプローチってどんなもの?
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まず初めに、レッジョ・エミリア?初めて聞いた!という方のために、
レッジョ・エミリア・アプローチをご紹介します。
レッジョ・エミリア・アプローチの幼稚園ではどんなことをするの?
レッジョ・エミリア・アプローチは、
北イタリアのレッジョ・エミリア市という町で生まれました。
モンテッソーリ教育ほど細かく体系化されたルールはなく、
年度ごとに大きなテーマがあったり、先生からテーマを振られることはあるのですが、
子ども達の興味によってカリキュラムが創られていきます。
レッジョ・エミリア・アプローチのカリキュラムの事例
長男が3歳児クラスに通っていた時は『太陽』がテーマでした。
「太陽とは何か?」と先生が問いかけ、子ども達が意見を交わし合う会話から始まった。
それぞれが思う太陽の絵を描きました。
また別の日には、紙粘土で太陽の形を作り、作品を展示。
子ども達の「太陽とは何か?」の会話の中に、植物が太陽の光で育つことが出てきたので、
園児達は先生と、近隣のスーパーマーケットに腐葉土を買いに出かけました。
幼稚園の庭でみんなで花の種を撒きました。
他の日には、先生と園児達は列をつくって手を繋いで、地域の図書館に出かけました。
図書館の方に、植物に関する調べものに適した本を紹介してもらいました。
このように期間を限定することなく、決まった骨組みもなく
ひとつのテーマが掘り下げられながら、様々な活動に展開していくことが
レッジョ・エミリア・アプローチの面白さです。
レッジョ・エミリア・アプローチの教育理念
このアプローチの基礎的な原則は、
「子どもは、自らの興味に導かれながら、自らの知識を積極的に構築していく」
という考え方です。
園児の興味が導き出したプロジェクトは
数か月や1年かけて長期的に取り組まれ、好奇心が掘り下げられていきます。
レッジョ・エミリア・アプローチには以下の2つの前提があります。
・子どもは「権利の主体」である
・子どもは「知識の生産者」である
そして、レッジョ・エミリア・アプローチのカリキュラムの過程は、子ども、教育者、そして家族の社会的関係の輪の中で、行われます。
時間のリミットやゴールがないことが、教育法としての
レッジョ・エミリア・アプローチを曖昧にしているのだと思います。
この幼児教育法がどんな効果や成果をもたらすのか?
レッジョ・エミリア・アプローチに感心をもった日本の幼児教育関係者や保護者の方々にとって
教育研究の結果は気になる点であるでしょうね。
私がレッジョ・エミリア・アプローチに期待すること
レッジョ・エミリアの保育園と幼稚園に、長男は丸4年、次男は2年半通い、
今月から新年度を迎えました。
我が子の潜在的能力と可能性を最大限に開花させたいと願う母親の一人として、
大切なのはプロセスであると考えています。
子どもの脳は、0歳から3歳の時期にもっとも発達します。
(親子の愛着形成も、この時期は大変重要です。)
また、子どもの人格形成は3歳までに土台ができ、6歳までにある程度の性格が形成されます。
だからこそ、この時期に知覚を刺激する様々な体験や、創造や表現のプロセスを積むことは
脳の豊かな発達のために重要だと、私は考えます。
そしてこの時期に質の高い集団社会に属することは
今後も集団社会の中で生きていく息子達が人格形成の土台をつくるために重要だと考えます。
それは、砂時計の砂のように少しづつ、少しづつ積み重なっていくもので
砂が落ち切った後よりも、砂が落ちていく1秒1秒の美しい過程を私は見ていきたいです。
親子の愛着形成も人格形成も、一日にして成るものではありません。
それなら結果に期待するよりも私の心も今ここに息子たちといて、
自分も共に成長していきたいと思います。
私がレッジョ・エミリアを選んだ3つの理由
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何のゆかりもないレッジョ・エミリアに私と夫が住み始めたのは、私の願望から始まりました。
子どもを授かることを意識した時にレッジョ・エミリア・アプローチを知り、
この町に住みたいと願いました。
転職活動の末に、私はレッジョ・エミリア企業で働くことになりました。
ミラノからレッジョ・エミリアに引っ越し、出産。
私はレッジョ・エミリアで親としての第二の人生をスタートさせました。
私がレッジョ・エミリア・アプローチを選んだ理由は、3つあります。
子どももひとりの人である
レッジョ・エミリアの、「子どもも一市民」「子どももひとりの人である」という考え方に
深く同意したことが、一番の理由です。
私は、両親に大切に育ててもらいました。
その一方で、父の私への接し方には親が上であることが前提で子ども扱いされているように感じ、
母の過干渉に子どもの頃から悩まされていました。
大人と同じようにひとりの人間として尊重されているように思えずにいた少女期の反動で、
「子どももひとりの人である」という考え方が私の育児のベースになっています。
社会性を育む教育アプローチであること
私は個人的には、幼児の段階での英才教育には関心がありません。
保育園や幼稚園は、子どもにとって家庭外で出会う初めての社会です。
社会性が実際に身につくのは4歳から5歳頃からですが、ある日突然身につくものではなく、
もっと幼い年齢からの延長であると考えています。
レッジョ・エミリアは、個性を大切にしながら集団の中で互いの意見を尊重します。
社会で生きていく子どもには、自分も他人も尊重できる社会性を身に付けて欲しいと
思いました。
子どもが苦手だった
私は子どもが苦手でした。
我が子が健康に生まれてきてくれたことは本当に恵まれいる。
だから「子どもが苦手」なんて言えなかったけれど、子ども好きなタイプではありませんでした。
私には、もう一つ昔からある特徴がありました。
それは、苦手克服のためにわざわざ嫌いなものに飛び込んでいって、克服することが得意なこと。
親になるのなら、幼児教育で世界一で有名な町に自ら飛び込んで
環境にどっぷり浸からせてやろう☺というのが、私の戦略でした。
レッジョ・エミリア・アプローチの幼稚園に通う息子の様子
息子たちが保育園に通っていたときは、その日の活動の様子をまとめたドキュメンテーションが
日々メールで送られていました。
充実した保育園生活を送っているのが見られて、毎日の楽しみでした。
幼稚園にあがってからも、2人とも「幼稚園が好きなの」と言って
楽しそうに通っていて、夕方に迎えに行くと帰りたがらないくらいです(笑)
5歳の長男が唯一嫌がっていることは、お昼寝の時間。
教室を暗くするのが嫌だ、と言っていますが、
長男はもう午睡をしたくないんですよね。
レッジョ・エミリアの幼稚園、5歳児クラスも午睡があるんです。
息子たちの幼稚園生活で印象的だったことをこれからも記事にしていきますね☺