神と交わる舞台⁉️
お能「井筒」のシテを終えて早くも1週間。
やっと感想をアップします。
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先日はあるお方に、
「井筒をやることは天命だったんですね。」といわれました。
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確かに、代役を受けるときには悶絶して1日悩みましたが。。
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でもどこかで。。
これは私の人生の中で、
やるべきこと、
やらなければならないこと、
と分かっていました。
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能楽コラボのプロデュースや、
能楽の普及活動など、
少なからず能楽に関わらせて頂いている者としても。
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これをやり切れば、
何か違う視点が見えるのでは?
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そして、その通り‼️
私の視野は大きく変わりました!
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己と対峙する鏡の間。
陰陽五行の五色で出来た揚幕。
あの世とこの世を結ぶ橋掛かり。
能面の小さな穴から視る世界。
究極まで無駄を省いた舞。
まるでスローモーションのように流れる刻。
能面の中に響く、囃子の音、地謡の声。
その充満する音の中で、
緊張で震える生身の自分の声。
そして、突き刺さる早鐘のような自分の心臓の音。
本来は神様に見せる芸能。
春夏秋冬、東西南北を表す四方の柱。
まるで結界が張られたような空間。
三間四方の小さく、そして無限の舞台。
神様と人とが交わる神秘的な場。
なぜ、能面で視覚を奪い、
装束で身動きを取り難くするのか?
能面、能装束を身に着けなければ、
視えなかった世界がありました‼️
そして、観る側にとっては。。
能面を掛けているからこそ生まれる想像力。
西洋音階ではない、右脳で聞く音。
日本の武術にも通じる足腰の安定感。
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それらは、日本人の心に響き、
知らぬ間にDNAに訴えかけてくる。
そして、その幽玄の舞台とは裏腹に。。
能楽師が5人掛かりの仕上げる装束付け。
当日だけしか着用出来ない貴重な能装束。
シテが揚幕を出る時、帰ってくる時に正座して待つ能楽師。
シテ方、囃子方、ワキ方、地謡方。
その四者がその場の見計らいで紡ぐ調和。
みなで練習を重ねていくことなく、個々の鍛錬で生まれる芸能。
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それらは同じことの繰り返しはなく、
全て一期一会であるということ!
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ともすると、
現代社会においては非合理的とも思えるやり方を継承する意義。
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それらの意味、意義が自分なりに腑に落ちました!
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ずっと不思議でならなかったお能への疑問。
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その答えに近づけることが出来ました。
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仕舞を4年しか習っていない私、
当然レベルも技術も経験も、
何もかも足りない!
当然です!
・なんと、囃子方の演奏を聞くのも、
地謡方の謡を聞くのも、
前日の申し合わせが初めてでした!!
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そんな私に、技術的なこと以外に何が出来るのか。。
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とにかく、「井筒」のストーリー性と世界観を大事にしました。
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そして、
「森羅万象の縮図である三間四方の舞台を浄めて回る。」
という金春流能楽師 山中一馬さんからの言葉を胸に舞いました。
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さらに、自分で謡をうたっている以外のところは
常に「ありがとうございます」と心の中で呟いておりました。
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鏡の間で、鏡に映る能面に「有難うございます。」
揚幕の中で、師匠藤井先生と秋雅先生に「有難うございます。」
前シテの菅田さんに「有難うございます。」
推薦してくださった野口さんに「有難うございます。」
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揚幕が上がり、橋掛かりを運んでいるときには、
舞台上の玄人の先生方に「有難うございます。」
観て下さってる皆様に「有難うございます。」
本舞台に着いた時には、
私の人生に関わって下さったみなさんに「有難うございます。」
そして、舞囃子を舞っているときには、
この宝生能楽堂の舞台に「有難うございます。」
・神羅万象 すべてに感謝します!
感謝だけを胸に今の私の精一杯を舞いました。
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観て頂いた方からはこんなご感想を頂きました。
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「とても不思議な事がありました。
上籔さんが登場し、舞台に立ち正面を向いて足を揃えたとき、
井筒の面が瞬きをしました。
ええ、ハッキリと見ました!
もうそこに立っていたのは有常の娘でした。
彼女が井戸を覗いたときには胸が傷みました。
愛する人を思い続けていた彼女の気持ち、
年をとった自分に気づいてしまったときの落胆、
思い出を抱きしめ消えてゆくときの気持ち。
全てを内に向ける能とフラメンコとは、
表現方法が正反対だと思うのですが、
葛藤はなかったですか?
上薮さんは、どのように受け止めて舞っているのだろうかとても興味があります。
機会があったら教えてくださいね。」
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実は須田も鏡の間で能面を掛けた私を見て、
何度か能面が瞬きするのを見た!
と不思議なことを言ってました。
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宝生の女面で最高峰といわれる「節木増」
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鏡の間でこの能面を掛けた自分と対峙した時、
初めて能面を「美しいー!!」と思いました。
自分の舞や謡のレベルがどうであるかはさておき、
この能面に恥じないように精進しようと心に決めました。
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長文になりましたが。。
当日はどなたにもご挨拶できなかったので、
この場をお借りして。。
ご来場頂きました皆様。
お心を寄せて頂いた皆様。
藤井雅之先生、秋雅先生。
舞台上の諸先生方。
装束付けの能楽師の皆様。
撮影してくれたカメラマンの皆様。
藤雅の同門の皆様。
お手伝いの皆様。
楽屋で共に緊張を味わった同志の皆様。
支えてくれた隆さん。
全ての出会い、ご縁に感謝します。
本当に有難うございました!
写真:新井躍大(高校生カメラマン)
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