男子高校生に栄養療法やってみた④
(1話から読む)
ガチャ
帰ってきた!!
私も、二人の小学生の息子たちも
そわそわしています
息子たちはワクワクと緊張で
よくわからない表情をしています
今日から、週に3日のホームステイが始まります。
私はできるだけなんでもないフリをしながら
「おかえり~手を洗っておいで、ご飯できてるよ」と
声を掛けます
「はい」
彼のために用意した部屋へ行って
着替えた彼は
降りてきて食卓につきます
塾帰りに遅く帰ってきたので
私たちは食事をすでに済ませています
私は食器を洗いながら
彼の様子を盗み見します
今日のメニューは
ごはん
豚の生姜焼き
人参の肉巻き
キャベツの千切り
レンコンとサツマイモの炒め物
味噌汁
どや。
肉×肉の重ね技。
普段インスタントばかり食べているので
ミネラル不足のはず。
だからトレースミネラルと亜鉛リキッドを盛った
味噌汁。
味噌汁は飲みなれてないかな~キツイかな~
栄養的には自信があったので
彼がテーブルに着くまでは
たっぷりのドヤ感がでていたことでしょう
食卓についた彼を盗み見ると・・・
なんか!
ごはんじっと見てる!
え?食べずに見てる?
なんかあかんのか・・・!?
別に何も言っていない
座っただけのジャンキー高校生を前に
私の自信は、血糖値さながらの急降下
「いや!私の専門、栄養だし!」という
謎の言い訳で
自分をなだめていました
なんか嫌いなもんあったんかな・・・
肉2品も用意したで?
高校生=肉は間違いやった的な?
そりゃUFO焼きそばにはかなわんよな
食べるかな
「なんか、食べられへんのあったら
残しときな」と
残されたときのショックを
緩和する保険をかけ
見守りました(横目で)
結局彼は
生姜焼きと肉巻きを残し、
部屋へ上がっていきました
もう一度言います。
生姜焼きと
肉巻きを残し。
渾身のタンパク質重ね技が
悲しく皿の上で泣いています
うらめしそうにこちらを見ています
高校生なら肉は喜ぶだろうという
安直さがいけなかったのか
ただ単においしくなかったのか・・・
ほんで、食器は下げないのね。
あーはいはいはい。
すでにそこにはいない高校生に
強気を取り戻した私は
鼻息荒く
「ごちそうさまーとか
おいしかったですーって
今時小学生でも言えるのにね~
はーやだやだ」とつぶやき(もちろん脳内で)
食器を片付けました
はー、気ぃつかうな。
*
翌朝
7時49分のバスに乗るには
45分には家を出なければいけません
7時に起こしましたが
一向に降りてきません
子どもたちはとっくに朝食も準備も済ませて
テレビを観ています
7時30分過ぎ
ようやく制服姿で降りてきて
食卓の朝ごはんを見て一言
「あ、卵無理っす。」
あ”ぁぁぁぁん?
とはギリ言わなかったですが。
「あ、あかんの?え、嫌いって意味?」
「あ、まぁ、はい」
「え、お弁当にも入れてもたで?」
「あぁ・・・・」
いや食べろや。
とはギリ言わなかったのですが。
ご飯と味噌汁だけ食べて
急いで出ていきました
食器を下げずに。
(根に持っている)
*
その日は学校から自分の家に帰る日で
お母さんからメッセージが来ました
・卵は幼少期以降食べていない
・れんこん(お弁当に入れていた)は食べたことないかもしれない
・小食で白ご飯はあまり食べないから少な目が良い
とのこと。
あ”ぁぁぁん?
さすがに声に出ました
いや、自分で言えや。
いや、食べろや。
あーあかんあかんあかんあかん!
これくらい、想定内。
こっから。こっから。
気を
取り直して作戦を立てます
困ったときはゴールの確認です
ゴールはなんやった?
そう、彼の体調をよくすること。
*
その晩彼はまたうちへ帰ってきました
私は、晩御飯を食べる彼の前に
白い紙とペンを持って
座りました
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