「禅の響 -ZEN no OTO- | 息観 」2万7000回の呼吸
息をみて
息をみて
その人をみて
自分をみて
姿をみる
人間が1日どのくらいの呼吸をしていると思いますか。だいたい2万7000回だそうです。では皆さんは2万7000回のうち、どれだけ呼吸を大切にしていますか。実際には無意識に行われていますから、とても難しいでしょう。
僕は尺八を教える時、尺八を長い時間練習するよりも、日々の生活を丁寧にした方が上手になると伝えています。それには理由があります。その前に、皆さんは何か大切にしているものはありますか。物でも人でも言葉でも構いません。それを側に置いているとどうでしょうか。おそらく殆どの人が、優しい気持ちになったり、心が楽になるのではないでしょうか。
大切なものは受け入れられる
物でも人でも大切なものの前ほど、僕たちは心を開ける物です。もし、あなたの心が開いていないのであれば、所有欲です。しかし大切なものが人である場合、心を開いき続けるのがとても難しい。開きすぎていても難しい。
話は変わりますが、僕は毎年、尺八用の竹を採りに行きます。ちょうど、この季節。11月から2月までがシーズンです。竹を採る時、僕は一礼をして、命を奪う覚悟をします。そのものが生き物であっても植物であっても姿勢を変えないことが僕のポリシーです。そうして命を奪う残酷さを知ることで尊さを学びます。なぜ、この話をしたかというと、残酷と尊さを実感できた時、初めて人は自分の命を大切に、また終わりがある事を実感します。余談ですが、僕は小学校2年生くらいから感じるようになりました。きっかけは様々です。虫を殺す友達を見たことであったり、親戚が亡くなり、火葬される仏様を見たり。自分の命を大切に思うことは、自分の2万7000回の呼吸を大切にすることです。そうすると、他人の2万7000回の呼吸も大切に思えてきます。他人の呼吸を大切に思えると、仲間のことを大切に思えるようになります。そうしているうちに、生物の多様性や、地球についても残酷さと大切さを感じるように僕はなりました。
呼吸を大切にすることは、目に見えないものを大切に思うことに繋がります。
広大な大切なものに触れた後、もう一度、自分を振り返ってみてください。あなたは自分を大切に思えていますか。身体や心にほころびている部分はありませんか。
苦境を見る
どんな人生であっても苦境はあるものです。もし、苦境や挫折がない人生であれば、それはかなり表面的な、既に作られた人生を歩んでいます。
是非、自分で、生まれてから今までの人生をストーリーにして書いてみてください。事実の羅列になっていないですか。感情を思い出せますか。
感情とは呼吸の集合体です。つまり色々な視点から相手の感情がどうして構成されているのかを感じる事は呼吸を知る事に繋がります。それは言葉で知る事はできません。どんな状態であっても、心を開き、苦境であっても、相手の呼吸を信じる。その心が大切なものを増やすのだと思います。
人生、100年。9億8,550万回の呼吸を大切に。
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